2日目の今日は昨日よりも昼休みが短い。午前の科目の試験時間が長かったからだ。だから、今日は翠ちゃんと会う約束はしていない。それぞれ、リスニングをしながら頭を英語に切り替える時間という位置付けだ。
昨日とほとんど変わらないメニューのコンビニ弁当を、イヤホンをつけながらゆっくり食べる。今日はちょっと散歩できればいいや、くらいにしか思っていないから、急がなくていい。英語の音源を聴いていれば、誰かの話し声や答え合わせの声にうっかりメンタルをやられることもない。
ゆで卵の殻を剥く。この殻を綺麗に剥けたら、英語もうまくいく、なんていうくだらない願掛けが思い浮かんで、無理やりかき消した。余計なことはやめよう。そんなわけないじゃないか。そもそもゆで卵の殻が完璧に剥けることなんてそう頻繁にはない。この願掛けが現実になるのなら、私はほとんどの場合英語で失敗するってことになる。やめてくれ、そんなの最悪すぎる。だって、英語は私の一番の得意科目なんだから。
食べ終わって、ゴミをコンビニの袋にまとめる。30分くらい散歩できるだろうか。貴重品だけ持って、建物を出る。工学部3号館から安田講堂前の広場を一周して、元来た道を戻る。昨日も今日も雲ひとつない青空が広がっていて、低気圧に悩まされることはなかった。
何かと心配だったのは、受験と生理がかぶること。私は結構生理痛が重いし、何より頭がぼーっとして全然働いてくれない。試験時間が長いため、全然トイレに行けないし、漏れも不安だ。ハンデを背負って試験に臨まなくてはならないのは絶対に嫌だった。そうしたら、ありがたいことに先月から少し周期が遅れていて、まだ来そうにない。これもラッキーのおかげか、はたまた受験のストレスで周期がずれたのがめぐりめぐっていい形で還元されたのか。いずれにせよ、しんどい思いをしなくて済むのは本当によかった。
——こんなどうでもいいことを考えるのはやめよう。今は英語に集中しないと。
周りには私と同じように、イヤホンやヘッドフォンをつけて歩き回っている受験生が結構いる。彼らは今、どんな思いで受験に臨んでいるのだろうか。翠ちゃんはどうしているのだろう。
着席時間が近づいてきて、教室に戻る。もう脳内は英語モードに切り替わっている。順調だ。あとは短めの英文解釈を1問やって、疲れない程度に単語でも見よう。
そうこうしているうちに、試験監督が入ってきて、4度目の注意事項の説明。ただ、英語はリスニングやらマークシートやら、他の科目とは異なるポイントが多いため、台本は少し長めになっているようだった。もうとっくのとうに飼い慣らした緊張感。マークシート用の鉛筆は共通テストのときより1本少ない、4本。もちろん、記述の解答は愛用のシャーペンで書く。
最後の科目だ。ここですべてを出し切ってやる。私は絶対にこの大学に入るんだ。
「では、英語の試験を開始します。試験時間は120分間、終了時刻は16時です。試験開始45分になりましたら、リスニング問題の放送が始まります。——それでは、はじめ」
最終的な解く順番は、4A→1B→2A→2B、リスニングを挟んで1A→4B→5にしている。まず最初に人より多くページをめくって、4Aの問題を探した。
——絶対に終わらせる、解き切る。難化しても獲り切る。
英作文は今年も面白かった。数年ぶりに写真から考えたことを自由に述べる問題が出題された。こっちは意外と大丈夫だった。何を書けばいいかは少し迷ったけど、絶対に間違えていない確信のある文章を選ぶことができるから、下手にテーマを絞られていない方がいい。
和文英訳は少し怪しい。日本語で書かれた小説の一部を抜粋して、それを英語に直すのだが、「奇を衒う」という表現が入っていて困った。「奇を衒う」ってどう言い換えたらいいんだ? 変な行動を取ってわざと目立つ、みたいな意味だよね? "behave strangely"? でもそれだとただ変に振る舞うだけで、目立ちたがっているニュアンスが出ない……。不定詞の副詞的用法で目的を付け足せばいい? "behave strangely to attract attention"とか? まあ、それで伝わるか。文法的にもおかしくはないだろうし、ネイティブによるこの言葉の連なりの使用頻度なんてここではわかるわけがないから、これ以上考えていても仕方ない。
英語はとにかく時間との戦いだから、こまめに時計を確認して、スピードを調整しながら進まなければならない。何度も何度も過去問や模試を繰り返し解いて、体に染み込ませた時間の感覚を使いこなし、それぞれ5分、15分、10分、10分で解いていく。大丈夫、ここまでかなり順調だ。前半の残り5分はリスニングの下読みに使う。
東大のリスニング問題は、5択の選択問題が全部で15問。もともとは4択問題だったそうだが、最近になってひとつ選択肢が増えたらしい。共通テストのリスニングもそうだけど、問題用紙に印刷されている選択肢を先に読んでおかないと、解答が間に合わない。聴きながら選択肢を読んで答えるなど、超人の所業に等しい。最低でも5分、長めの人で8分から10分ほど下読みの時間を取っておくのが普通だ。
プツリ。
放送器具のスイッチが入る音がした。あ、そろそろ始まるんだな。鉛筆に持ち替えておこう。
「あーあー、これから、英語のリスニングテストを開始します。該当のページを開いてください……」
待って待って、何その不明瞭な音! マイクテストもろくにしていなさそうな声が聞こえてくる。想像よりも雑な録音に驚いていると、すぐに問題文の読み上げが始まってしまった。慌てて耳を傾ける。
まるで録音ですらないかのような、今放送室で数人の英語話者を集めて話し合わせているかのような、そんな音声に戸惑いを隠せない。
教室によっては、リスニングがほとんど聴こえなくて撃沈、なんていうこともあると聞いていた。でも、この教室は別にそういうわけじゃない。放送器具の調子は普通だろうし、教室の後ろの方に座っている私でも、音はしっかり届いている。そういう音質の悪さじゃないのだ。
こういう感じなのか。もっと綺麗なアナウンサーの読み上げみたいな音声じゃないんだ。
——仕方ない、切り替えろ。これで聴き取るんだ。
最初の数問は余計なことを考えていたせいで、よくわからないまま終わってしまった。とりあえずそれっぽい選択肢に丸をつけ、マークシートを塗りつぶす。
あっという間に3パートの音声が流れ切る。
「以上になります。筆記試験の解答を続けてください。このままリスニングの解答を続けてもかまいません」
ブツリ。
放送は終了し、大して点数を集められた実感もないまま、15問のマークを終える。まあ、最初からリスニングでそんなに取れるとは思っていない。他のところから取ってくればいいんだ。1問2点で16点目標。半分超えれば上出来だ。それくらいは取れているだろう。
ゆっくりと深呼吸をしながら、一番最初のページに戻ってくる。要約問題だ。ここから読解のオンパレードだから、さらに気合いを入れていこう。
和訳まで順調に解き終わる。あとは第5問の小説かエッセイだけだ。今回はエッセイらしい。読み進めていくうちに、だんだんと著者の状況や人生の流れが掴めてくるはずだが……。
——なんか、これ読みづらいな。主題が見えてこない……。どうしてこの著者はこんな感情になったんだ? 何がこの人の心を突き動かしているんだろう?
結局、最後までいまいち何ひとつ掴めないまま、問題に進むことになってしまった。とりあえず解けるところを埋めていく。記述もなんとかそれっぽいことを書く。これだってアピールだ。いかにもちゃんと読めているんですよ、わかっていますよ私、という感じを押し出せば、部分点はやってくる。
そうして、最後の選択問題に突入する。本文全体の内容を理解していないと解けないものが毎年出ているから、今年もそうなんだろう。そう思って、問題文を読むと、思考の霧が一気に晴れる。
【なお、以下の選択肢においてtheyおよびtheirは三人称単数を示す代名詞である】
問題文の最後には、こんな一文が付け足されていた。
——そうか! これはジェンダーの話なんだ! 著者は体は女の子だけど、心は男の子なんだろう。だから、男装して劇に出た自分の映像を、マイナスの感情なしで見ることができているんだ。ああ、ちゃんと読めば確かにそう書いてある。
思わぬヒントに、私のテンションは天井を突き抜けて行った。これなら、解ける、わかる。さっきの問題も明確に正しい答えが見えてくる。
ただ、ひとつだけ問題があった。残り時間が5分しかないこと。
急げ! 私はこのときのために、これまで書くスピードを極限まで高めてきたのだから。このあと指が動かなくなっても、疲れで帰れなくなっても、どうでもいい。この5分で終わってしまうんだ、全部出し切らないと!
記述問題の解答を消して、普段では考えられないようなスピードで文章を生み出す。日本語が多少ほころびていても、伝えたいことが伝えられればかまわない。
あと1分。この秒針が回り切るまでに、マークシートを塗り変えろ。
「試験終了。筆記用具を置いてください」
間に合った……。わかったところは全部書き換えられた。これで、第5問からしっかり点数を獲って来られたと思う。
「解答用紙の確認に入ります。終了の合図があるまで、席を立たずにお待ちください。その間、今から配る入学資料に目を通していてもかまいません」
透明なビニールに入れられた資料が前から回ってくる。表紙には安田講堂がデカデカと写っている。その瞬間、実感がぶわりと湧き上がってきた。
——終わったんだ、私の戦いは。今、ここで終焉を迎えたんだ。
開放感で、全身から力が抜ける。青い炎がお別れを告げるように、ゆらりと手を振って萎んでいく。試験監督が必死で数を数えているのをぼーっと見たあと、私は目を瞑り、天井を見上げて受験生としての生活とさよならした。
昨日とほとんど変わらないメニューのコンビニ弁当を、イヤホンをつけながらゆっくり食べる。今日はちょっと散歩できればいいや、くらいにしか思っていないから、急がなくていい。英語の音源を聴いていれば、誰かの話し声や答え合わせの声にうっかりメンタルをやられることもない。
ゆで卵の殻を剥く。この殻を綺麗に剥けたら、英語もうまくいく、なんていうくだらない願掛けが思い浮かんで、無理やりかき消した。余計なことはやめよう。そんなわけないじゃないか。そもそもゆで卵の殻が完璧に剥けることなんてそう頻繁にはない。この願掛けが現実になるのなら、私はほとんどの場合英語で失敗するってことになる。やめてくれ、そんなの最悪すぎる。だって、英語は私の一番の得意科目なんだから。
食べ終わって、ゴミをコンビニの袋にまとめる。30分くらい散歩できるだろうか。貴重品だけ持って、建物を出る。工学部3号館から安田講堂前の広場を一周して、元来た道を戻る。昨日も今日も雲ひとつない青空が広がっていて、低気圧に悩まされることはなかった。
何かと心配だったのは、受験と生理がかぶること。私は結構生理痛が重いし、何より頭がぼーっとして全然働いてくれない。試験時間が長いため、全然トイレに行けないし、漏れも不安だ。ハンデを背負って試験に臨まなくてはならないのは絶対に嫌だった。そうしたら、ありがたいことに先月から少し周期が遅れていて、まだ来そうにない。これもラッキーのおかげか、はたまた受験のストレスで周期がずれたのがめぐりめぐっていい形で還元されたのか。いずれにせよ、しんどい思いをしなくて済むのは本当によかった。
——こんなどうでもいいことを考えるのはやめよう。今は英語に集中しないと。
周りには私と同じように、イヤホンやヘッドフォンをつけて歩き回っている受験生が結構いる。彼らは今、どんな思いで受験に臨んでいるのだろうか。翠ちゃんはどうしているのだろう。
着席時間が近づいてきて、教室に戻る。もう脳内は英語モードに切り替わっている。順調だ。あとは短めの英文解釈を1問やって、疲れない程度に単語でも見よう。
そうこうしているうちに、試験監督が入ってきて、4度目の注意事項の説明。ただ、英語はリスニングやらマークシートやら、他の科目とは異なるポイントが多いため、台本は少し長めになっているようだった。もうとっくのとうに飼い慣らした緊張感。マークシート用の鉛筆は共通テストのときより1本少ない、4本。もちろん、記述の解答は愛用のシャーペンで書く。
最後の科目だ。ここですべてを出し切ってやる。私は絶対にこの大学に入るんだ。
「では、英語の試験を開始します。試験時間は120分間、終了時刻は16時です。試験開始45分になりましたら、リスニング問題の放送が始まります。——それでは、はじめ」
最終的な解く順番は、4A→1B→2A→2B、リスニングを挟んで1A→4B→5にしている。まず最初に人より多くページをめくって、4Aの問題を探した。
——絶対に終わらせる、解き切る。難化しても獲り切る。
英作文は今年も面白かった。数年ぶりに写真から考えたことを自由に述べる問題が出題された。こっちは意外と大丈夫だった。何を書けばいいかは少し迷ったけど、絶対に間違えていない確信のある文章を選ぶことができるから、下手にテーマを絞られていない方がいい。
和文英訳は少し怪しい。日本語で書かれた小説の一部を抜粋して、それを英語に直すのだが、「奇を衒う」という表現が入っていて困った。「奇を衒う」ってどう言い換えたらいいんだ? 変な行動を取ってわざと目立つ、みたいな意味だよね? "behave strangely"? でもそれだとただ変に振る舞うだけで、目立ちたがっているニュアンスが出ない……。不定詞の副詞的用法で目的を付け足せばいい? "behave strangely to attract attention"とか? まあ、それで伝わるか。文法的にもおかしくはないだろうし、ネイティブによるこの言葉の連なりの使用頻度なんてここではわかるわけがないから、これ以上考えていても仕方ない。
英語はとにかく時間との戦いだから、こまめに時計を確認して、スピードを調整しながら進まなければならない。何度も何度も過去問や模試を繰り返し解いて、体に染み込ませた時間の感覚を使いこなし、それぞれ5分、15分、10分、10分で解いていく。大丈夫、ここまでかなり順調だ。前半の残り5分はリスニングの下読みに使う。
東大のリスニング問題は、5択の選択問題が全部で15問。もともとは4択問題だったそうだが、最近になってひとつ選択肢が増えたらしい。共通テストのリスニングもそうだけど、問題用紙に印刷されている選択肢を先に読んでおかないと、解答が間に合わない。聴きながら選択肢を読んで答えるなど、超人の所業に等しい。最低でも5分、長めの人で8分から10分ほど下読みの時間を取っておくのが普通だ。
プツリ。
放送器具のスイッチが入る音がした。あ、そろそろ始まるんだな。鉛筆に持ち替えておこう。
「あーあー、これから、英語のリスニングテストを開始します。該当のページを開いてください……」
待って待って、何その不明瞭な音! マイクテストもろくにしていなさそうな声が聞こえてくる。想像よりも雑な録音に驚いていると、すぐに問題文の読み上げが始まってしまった。慌てて耳を傾ける。
まるで録音ですらないかのような、今放送室で数人の英語話者を集めて話し合わせているかのような、そんな音声に戸惑いを隠せない。
教室によっては、リスニングがほとんど聴こえなくて撃沈、なんていうこともあると聞いていた。でも、この教室は別にそういうわけじゃない。放送器具の調子は普通だろうし、教室の後ろの方に座っている私でも、音はしっかり届いている。そういう音質の悪さじゃないのだ。
こういう感じなのか。もっと綺麗なアナウンサーの読み上げみたいな音声じゃないんだ。
——仕方ない、切り替えろ。これで聴き取るんだ。
最初の数問は余計なことを考えていたせいで、よくわからないまま終わってしまった。とりあえずそれっぽい選択肢に丸をつけ、マークシートを塗りつぶす。
あっという間に3パートの音声が流れ切る。
「以上になります。筆記試験の解答を続けてください。このままリスニングの解答を続けてもかまいません」
ブツリ。
放送は終了し、大して点数を集められた実感もないまま、15問のマークを終える。まあ、最初からリスニングでそんなに取れるとは思っていない。他のところから取ってくればいいんだ。1問2点で16点目標。半分超えれば上出来だ。それくらいは取れているだろう。
ゆっくりと深呼吸をしながら、一番最初のページに戻ってくる。要約問題だ。ここから読解のオンパレードだから、さらに気合いを入れていこう。
和訳まで順調に解き終わる。あとは第5問の小説かエッセイだけだ。今回はエッセイらしい。読み進めていくうちに、だんだんと著者の状況や人生の流れが掴めてくるはずだが……。
——なんか、これ読みづらいな。主題が見えてこない……。どうしてこの著者はこんな感情になったんだ? 何がこの人の心を突き動かしているんだろう?
結局、最後までいまいち何ひとつ掴めないまま、問題に進むことになってしまった。とりあえず解けるところを埋めていく。記述もなんとかそれっぽいことを書く。これだってアピールだ。いかにもちゃんと読めているんですよ、わかっていますよ私、という感じを押し出せば、部分点はやってくる。
そうして、最後の選択問題に突入する。本文全体の内容を理解していないと解けないものが毎年出ているから、今年もそうなんだろう。そう思って、問題文を読むと、思考の霧が一気に晴れる。
【なお、以下の選択肢においてtheyおよびtheirは三人称単数を示す代名詞である】
問題文の最後には、こんな一文が付け足されていた。
——そうか! これはジェンダーの話なんだ! 著者は体は女の子だけど、心は男の子なんだろう。だから、男装して劇に出た自分の映像を、マイナスの感情なしで見ることができているんだ。ああ、ちゃんと読めば確かにそう書いてある。
思わぬヒントに、私のテンションは天井を突き抜けて行った。これなら、解ける、わかる。さっきの問題も明確に正しい答えが見えてくる。
ただ、ひとつだけ問題があった。残り時間が5分しかないこと。
急げ! 私はこのときのために、これまで書くスピードを極限まで高めてきたのだから。このあと指が動かなくなっても、疲れで帰れなくなっても、どうでもいい。この5分で終わってしまうんだ、全部出し切らないと!
記述問題の解答を消して、普段では考えられないようなスピードで文章を生み出す。日本語が多少ほころびていても、伝えたいことが伝えられればかまわない。
あと1分。この秒針が回り切るまでに、マークシートを塗り変えろ。
「試験終了。筆記用具を置いてください」
間に合った……。わかったところは全部書き換えられた。これで、第5問からしっかり点数を獲って来られたと思う。
「解答用紙の確認に入ります。終了の合図があるまで、席を立たずにお待ちください。その間、今から配る入学資料に目を通していてもかまいません」
透明なビニールに入れられた資料が前から回ってくる。表紙には安田講堂がデカデカと写っている。その瞬間、実感がぶわりと湧き上がってきた。
——終わったんだ、私の戦いは。今、ここで終焉を迎えたんだ。
開放感で、全身から力が抜ける。青い炎がお別れを告げるように、ゆらりと手を振って萎んでいく。試験監督が必死で数を数えているのをぼーっと見たあと、私は目を瞑り、天井を見上げて受験生としての生活とさよならした。



