第十六話「死に場所を選ぶ者」
雨は、まだ止まなかった。
織田軍の野営地を覆う空は、重く、鈍い鉛のような色をしていた。足元の泥は深く、歩を進めるごとに重さを増す。それでも、誰も口に出して不満を言うことはなかった。明日の戦が、誰にとっても、容易ではないことを悟っていたからだ。
その日の夕刻。風走組の詰所に、太一の姿があった。肩にはまだ包帯が巻かれており、わずかに片足を引きずるような歩き方だった。だが、彼の背筋はまっすぐだった。
「太一さん……」
声をかけたのは矢野だった。焚火の横に腰かけ、矢を束ねていた手を止めて立ち上がる。
「参戦するつもりか?」
矢野の問いに、太一はゆっくりと頷いた。
「静が前に出るなら、俺はその後ろにいる。俺が静の盾になる」
迷いのない言葉だった。その声に、静が、焚火の影から顔を上げる。
「太一さん……本当に、行くんですか。怪我が癒えたわけじゃないのに」
「静。お前の言葉はいつも真っ当で、冷静だ。だがな、理屈じゃない時もある」
太一は、そっと刀の柄に触れる。その手には、少しの震えがあったが、それを恥じる素振りはなかった。
「俺は……お前の後ろで、守りたいんだ」
「そんなことのためなら、無茶しないでください。太一さんが命を賭してまで、僕には守られる必要性がありませんから」
静は、目を伏せたまま、焚火の炎を見つめていた。
その横顔に、矢野が言葉を投げる。
「静。お前、自分が隊の一員だってわかってんのか?」
問いは、短く、鋭かった。火がはぜる音が、その間を埋めた。
静は、ゆっくりと顔を上げる。
「間違ったことを言っているとは思いませんけどね」
その声音は、まるで何かを読み上げるように、平板だった。
矢野は立ち上がり、静の正面に立つ。
「答えになってない」
「そうですか?」
「前、お前”死にたいわけじゃない”って話してくれたよな? じゃあ、お前を守ろうとする太一さんの気持ちだってわかるだろうがよ」
静の目が、かすかに揺れた。
「……ええ、死にたいわけじゃない。……ただ、僕を守る行為の必要性がないと思ってるだけです」
それは諦念でも、投げやりでもなかった。言葉を削ぎ落とし、最後に残ったものだけを差し出すような声音だった。
矢野は歯を食いしばり、拳を握りしめた。
「そんな気持ち、戦場に持ってくんじゃねぇよ!」
怒鳴ったあと、矢野は一歩、静ににじり寄る。
「軽々しく言うな。隊全体で補いあってここまで来ただろうが。守り、守られる。お前も、その一員だ」
静は、焚火の明かりに照らされたまま、まっすぐに矢野を見つめ返した。
「……ありがとう、ございます」
静かに、そう言った。
だが、その声には、なぜか温度がなかった。
(……この人は、自分が生きるということに、もう何の欲もないんだ)
矢野は、その静の姿を、どこか遠くに感じた。
その夜、三人は同じ鍋を囲んだ。
味噌を溶いた湯に干し飯をほぐし、芋を入れ、刻んだ塩漬けの菜を加える。豪華とは言えぬが、三人分としては十分な量だった。
太一が酒のひと瓶を取り出すと、静がわずかに目を見開いた。
「太一さん、それ……まだあったんですね」
「最後の一合さ。こんな夜に呑まずにいつ呑む」
太一は笑いながら、器を三つ並べた。
「矢野。お前も一緒にやるだろ」
「ああ……」
器に注がれた酒は、思ったより澄んでいた。香りは、どこか甘く、木の皮のような渋さが混じっていた。
乾杯の声もなく、三人はそれぞれに口をつけた。
口に含んだ酒の熱が、ゆっくりと喉を伝い、腹の底へと沈んでいく。
誰もが、その温もりを頼りなく思いながら、けれど一口ずつ、確かめるように味わっていた。
「……こんな夜に、酒が呑めるなんてな」
ぽつりと太一がつぶやく。
「……ほんとに」
静もまた、言葉少なに頷く。
焚火の炎が揺れる。その影が、三人の顔を、それぞれの過去のように映し出していた。
「太一さん」
静が、器を持ったまま、太一のほうを見た。
「僕は、太一さんが、いてくれて良かったと思ってます」
「なんだよ、急に」
「……言えるときに言っておこうと思っただけです」
太一は苦笑した。
「俺も、静が仲間で良かったと思ってるよ。矢野も、そうだろ?」
矢野は、器の縁を見つめたまま、小さく頷いた。
誰も、明日を保証しない。それでも、今この場にある命と会話と酒だけは、確かなものだった。
雨の音が、少しだけ弱まった。
夜は、まだ続いていた――。
※
夜が更けるにつれ、火はだんだんと小さくなり、酒瓶の底が見える頃には、三人とも、無言で器を前に伏せていた。
太一は眠りにつき、矢野はその隣で、刀の手入れをしていた。だがその視線は、時折ちらりと、静の方をうかがっていた。
静は火の傍に座り、膝に白鞘の刀を置いていた。目は開かれていたが、どこか遠くを見つめているようで、周囲の気配に反応することもなかった。
それでも、矢野は声をかけた。
「……静」
静は、ゆっくりと顔を向けた。
「矢野さん、眠らないんですか」
「……お前が気になって、な」
それは嘘ではなかった。眠ろうとしても、脳裏には静の言葉がこびりついていた。
――僕を守る行為に価値がないと思ってるだけです。
「なあ、静」
「はい」
「お前……さっき突き放した言い方したのって太一さんを戦場から遠ざけるためなんだろ?」
静は、一瞬考えたあと、演技がましく笑った。
「やだなあ……矢野さん。僕の心は優しくはできていませんよ。単に非効率的だなぁって思っただけです」
そう言って、静は刀の鞘を指でなぞった。
「怪我をおしてまで僕を守る必要性がない。言葉の通りです」
「嘘……だな」
「どう思おうとご自由に」
静は、目を閉じた。
「僕は人じゃありませんから」
矢野は、言葉を失った。――ただの兵器。
それは、願いではなく、祈りでもなく。もっと冷静で、もっと澄んでいて、それでいて、どこか異質だった。
「……でもよ。それって、守られること、人から大事に扱われることを諦める理由にはならない」
「求めてはいけないんです。虚しくなるだけなので」
静は、火の残り香のような声で言った。
「ただ……そうですね、自分の生の終わらせ方くらいは、選びたいなあ……それくらいは、求めてもいいのかもしれませんね。そのくらいです」
その言葉は、どこか虚ろだった。
「……そんなもの、選ぶなよ」
矢野は、思わず吐き出していた。
「求めるな、そんなもの。当然誰にも選ばせない。お前の死に様なんて、誰の都合にもさせねえよ」
静は、ゆっくりと目を開けた。
その瞳には、火が映っていた。けれどその奥には、炎の揺らめきでは掴めない、なにか別の“光”があった。
「……ありがとうございます、矢野さん」
「やめろ」
「?」
「ありがとうって……まるで、さよならみたいに言うな」
静は、その一言に、わずかに驚いたような顔をした。
そして、ゆっくりと笑った。
矢野は、睨むようにその笑みを見つめた。
「俺は、お前を守る。戦場でも、どこでも。お前は確かに、俺の数段先を行くだろう。でも、お前は人だ。俺はお前と仲間だ。だから、最後まで守るぞ」
静は、その言葉を否定しなかった。けれど、それ以上の何も言わず、鞘に指を添えた。
遠く、夜の空がうなった。雷ではなかった。雲の奥で、風が鳴っていた。
――風が変わる。戦が、近い。
静は立ち上がった。
「そろそろ、交代の見回りに出ます」
「行くな」
「これは任務です。……それとも、命令違反をしますか?」
矢野は唇を噛み、何も言えなかった。
静は一礼し、歩き出す。白装束が、夜の闇の中に吸い込まれるように消えていく。
その背を見送りながら、矢野はひとり、呟いた。
「……死ぬなよ」
その声は、もう静には届いていなかった。
※
夜明け前、再び雨が降り始めた。
太一は支度を整え、静かに弓を背負っていた。傷は癒えてはいなかったが、彼の目に迷いはなかった。
「太一」
矢野が声をかける。
「……お前も、止めても行くんだな」
「俺も、止めたくて仕方ない。でもな……静が前に行くなら、俺はその後ろにいないと、後悔すると思う。あいつは正論並べて、俺を守ろうとしてたがな」
「……盾になるってやつか」
「ああ。あいつには恩がある。あいつの背中に矢が刺さるくらいなら、俺が受けた方がマシだ」
太一はそう言って、笑った。
矢野はしばらく黙っていたが、やがて口を開く。
「静が言ってた。“死に方くらいは選びたい”って」
「……そうか」
「でも俺は、もしもあいつが死に場所を定めたとしてもだ、あいつを止める。死なせねえ。何があっても、な」
太一は、矢野を見つめ、頷いた。
「その時は……俺も、あいつの盾になる」
「三人で、生きて帰ろう」
「……ああ」
そのとき、雲の切れ間から、かすかに朝陽が覗いた。
雨が、止みかけていた。
静はまだ戻ってこなかったが、矢野には、どこかで風が吹いたような気配があった。
この戦で、何が待つのか。誰が、何を残すのか。
――それでも、選ぶのは自分自身だ。
静の命も、矢野の命も、太一の命も。それぞれが、それぞれの選択の先にあるのだと。
そして――
彼らは、それぞれの“背中”を、互いに見つめながら、剣を取った。
雨は、まだ止まなかった。
織田軍の野営地を覆う空は、重く、鈍い鉛のような色をしていた。足元の泥は深く、歩を進めるごとに重さを増す。それでも、誰も口に出して不満を言うことはなかった。明日の戦が、誰にとっても、容易ではないことを悟っていたからだ。
その日の夕刻。風走組の詰所に、太一の姿があった。肩にはまだ包帯が巻かれており、わずかに片足を引きずるような歩き方だった。だが、彼の背筋はまっすぐだった。
「太一さん……」
声をかけたのは矢野だった。焚火の横に腰かけ、矢を束ねていた手を止めて立ち上がる。
「参戦するつもりか?」
矢野の問いに、太一はゆっくりと頷いた。
「静が前に出るなら、俺はその後ろにいる。俺が静の盾になる」
迷いのない言葉だった。その声に、静が、焚火の影から顔を上げる。
「太一さん……本当に、行くんですか。怪我が癒えたわけじゃないのに」
「静。お前の言葉はいつも真っ当で、冷静だ。だがな、理屈じゃない時もある」
太一は、そっと刀の柄に触れる。その手には、少しの震えがあったが、それを恥じる素振りはなかった。
「俺は……お前の後ろで、守りたいんだ」
「そんなことのためなら、無茶しないでください。太一さんが命を賭してまで、僕には守られる必要性がありませんから」
静は、目を伏せたまま、焚火の炎を見つめていた。
その横顔に、矢野が言葉を投げる。
「静。お前、自分が隊の一員だってわかってんのか?」
問いは、短く、鋭かった。火がはぜる音が、その間を埋めた。
静は、ゆっくりと顔を上げる。
「間違ったことを言っているとは思いませんけどね」
その声音は、まるで何かを読み上げるように、平板だった。
矢野は立ち上がり、静の正面に立つ。
「答えになってない」
「そうですか?」
「前、お前”死にたいわけじゃない”って話してくれたよな? じゃあ、お前を守ろうとする太一さんの気持ちだってわかるだろうがよ」
静の目が、かすかに揺れた。
「……ええ、死にたいわけじゃない。……ただ、僕を守る行為の必要性がないと思ってるだけです」
それは諦念でも、投げやりでもなかった。言葉を削ぎ落とし、最後に残ったものだけを差し出すような声音だった。
矢野は歯を食いしばり、拳を握りしめた。
「そんな気持ち、戦場に持ってくんじゃねぇよ!」
怒鳴ったあと、矢野は一歩、静ににじり寄る。
「軽々しく言うな。隊全体で補いあってここまで来ただろうが。守り、守られる。お前も、その一員だ」
静は、焚火の明かりに照らされたまま、まっすぐに矢野を見つめ返した。
「……ありがとう、ございます」
静かに、そう言った。
だが、その声には、なぜか温度がなかった。
(……この人は、自分が生きるということに、もう何の欲もないんだ)
矢野は、その静の姿を、どこか遠くに感じた。
その夜、三人は同じ鍋を囲んだ。
味噌を溶いた湯に干し飯をほぐし、芋を入れ、刻んだ塩漬けの菜を加える。豪華とは言えぬが、三人分としては十分な量だった。
太一が酒のひと瓶を取り出すと、静がわずかに目を見開いた。
「太一さん、それ……まだあったんですね」
「最後の一合さ。こんな夜に呑まずにいつ呑む」
太一は笑いながら、器を三つ並べた。
「矢野。お前も一緒にやるだろ」
「ああ……」
器に注がれた酒は、思ったより澄んでいた。香りは、どこか甘く、木の皮のような渋さが混じっていた。
乾杯の声もなく、三人はそれぞれに口をつけた。
口に含んだ酒の熱が、ゆっくりと喉を伝い、腹の底へと沈んでいく。
誰もが、その温もりを頼りなく思いながら、けれど一口ずつ、確かめるように味わっていた。
「……こんな夜に、酒が呑めるなんてな」
ぽつりと太一がつぶやく。
「……ほんとに」
静もまた、言葉少なに頷く。
焚火の炎が揺れる。その影が、三人の顔を、それぞれの過去のように映し出していた。
「太一さん」
静が、器を持ったまま、太一のほうを見た。
「僕は、太一さんが、いてくれて良かったと思ってます」
「なんだよ、急に」
「……言えるときに言っておこうと思っただけです」
太一は苦笑した。
「俺も、静が仲間で良かったと思ってるよ。矢野も、そうだろ?」
矢野は、器の縁を見つめたまま、小さく頷いた。
誰も、明日を保証しない。それでも、今この場にある命と会話と酒だけは、確かなものだった。
雨の音が、少しだけ弱まった。
夜は、まだ続いていた――。
※
夜が更けるにつれ、火はだんだんと小さくなり、酒瓶の底が見える頃には、三人とも、無言で器を前に伏せていた。
太一は眠りにつき、矢野はその隣で、刀の手入れをしていた。だがその視線は、時折ちらりと、静の方をうかがっていた。
静は火の傍に座り、膝に白鞘の刀を置いていた。目は開かれていたが、どこか遠くを見つめているようで、周囲の気配に反応することもなかった。
それでも、矢野は声をかけた。
「……静」
静は、ゆっくりと顔を向けた。
「矢野さん、眠らないんですか」
「……お前が気になって、な」
それは嘘ではなかった。眠ろうとしても、脳裏には静の言葉がこびりついていた。
――僕を守る行為に価値がないと思ってるだけです。
「なあ、静」
「はい」
「お前……さっき突き放した言い方したのって太一さんを戦場から遠ざけるためなんだろ?」
静は、一瞬考えたあと、演技がましく笑った。
「やだなあ……矢野さん。僕の心は優しくはできていませんよ。単に非効率的だなぁって思っただけです」
そう言って、静は刀の鞘を指でなぞった。
「怪我をおしてまで僕を守る必要性がない。言葉の通りです」
「嘘……だな」
「どう思おうとご自由に」
静は、目を閉じた。
「僕は人じゃありませんから」
矢野は、言葉を失った。――ただの兵器。
それは、願いではなく、祈りでもなく。もっと冷静で、もっと澄んでいて、それでいて、どこか異質だった。
「……でもよ。それって、守られること、人から大事に扱われることを諦める理由にはならない」
「求めてはいけないんです。虚しくなるだけなので」
静は、火の残り香のような声で言った。
「ただ……そうですね、自分の生の終わらせ方くらいは、選びたいなあ……それくらいは、求めてもいいのかもしれませんね。そのくらいです」
その言葉は、どこか虚ろだった。
「……そんなもの、選ぶなよ」
矢野は、思わず吐き出していた。
「求めるな、そんなもの。当然誰にも選ばせない。お前の死に様なんて、誰の都合にもさせねえよ」
静は、ゆっくりと目を開けた。
その瞳には、火が映っていた。けれどその奥には、炎の揺らめきでは掴めない、なにか別の“光”があった。
「……ありがとうございます、矢野さん」
「やめろ」
「?」
「ありがとうって……まるで、さよならみたいに言うな」
静は、その一言に、わずかに驚いたような顔をした。
そして、ゆっくりと笑った。
矢野は、睨むようにその笑みを見つめた。
「俺は、お前を守る。戦場でも、どこでも。お前は確かに、俺の数段先を行くだろう。でも、お前は人だ。俺はお前と仲間だ。だから、最後まで守るぞ」
静は、その言葉を否定しなかった。けれど、それ以上の何も言わず、鞘に指を添えた。
遠く、夜の空がうなった。雷ではなかった。雲の奥で、風が鳴っていた。
――風が変わる。戦が、近い。
静は立ち上がった。
「そろそろ、交代の見回りに出ます」
「行くな」
「これは任務です。……それとも、命令違反をしますか?」
矢野は唇を噛み、何も言えなかった。
静は一礼し、歩き出す。白装束が、夜の闇の中に吸い込まれるように消えていく。
その背を見送りながら、矢野はひとり、呟いた。
「……死ぬなよ」
その声は、もう静には届いていなかった。
※
夜明け前、再び雨が降り始めた。
太一は支度を整え、静かに弓を背負っていた。傷は癒えてはいなかったが、彼の目に迷いはなかった。
「太一」
矢野が声をかける。
「……お前も、止めても行くんだな」
「俺も、止めたくて仕方ない。でもな……静が前に行くなら、俺はその後ろにいないと、後悔すると思う。あいつは正論並べて、俺を守ろうとしてたがな」
「……盾になるってやつか」
「ああ。あいつには恩がある。あいつの背中に矢が刺さるくらいなら、俺が受けた方がマシだ」
太一はそう言って、笑った。
矢野はしばらく黙っていたが、やがて口を開く。
「静が言ってた。“死に方くらいは選びたい”って」
「……そうか」
「でも俺は、もしもあいつが死に場所を定めたとしてもだ、あいつを止める。死なせねえ。何があっても、な」
太一は、矢野を見つめ、頷いた。
「その時は……俺も、あいつの盾になる」
「三人で、生きて帰ろう」
「……ああ」
そのとき、雲の切れ間から、かすかに朝陽が覗いた。
雨が、止みかけていた。
静はまだ戻ってこなかったが、矢野には、どこかで風が吹いたような気配があった。
この戦で、何が待つのか。誰が、何を残すのか。
――それでも、選ぶのは自分自身だ。
静の命も、矢野の命も、太一の命も。それぞれが、それぞれの選択の先にあるのだと。
そして――
彼らは、それぞれの“背中”を、互いに見つめながら、剣を取った。



