ピピピピ。ピピピピ。
 アラーム音に瞼を開けると、そこにはいつも天井。
 水色のカーテンを開けると光は眩しく、去年と相反して早期の梅雨明けを予期させてくる。

 金曜日。出勤の為に、お気に入りの淡い水色のブラウスに、白いスカートを履く。それに合うパウダーをのせ、ピンクのアイメイクをすれば完成。
 パンプスに足を通し、パタパタとアパートを出ていく。

 最寄り駅まで十分。駅に着き、電車を待っている合間に確認するのはこの駅の全体時刻表。
 終電時刻は十一時三十一分。
 何度も確認したのに、今日も結局確認してしまった。


「おはようございます。朝から暑いですねー」
「ああ、おはよう。本当、急に暑くなったよね。もう梅雨明けしちゃったんじゃないの?」
「まだ六月ですよー!」
 軽い雑談に声をあげて笑う。

 健斗の言う通りだった。こちらが心のフィルターを外して思い切って話しかけたら、驚くほどに馴染めた。

 あの別れから、私はひたすらに今を生きた。過去を忘れ、ひたすら。
 ……そんな時、変わった私に待ち受けていた出来事。それは。