第三話「水面の揺れは、先に沈む」
春の雨が続いた。
それは、季節の気まぐれというよりも、戦場の湿り気に呼応するように、断続的に降った。
この土地に慣れてきた者たちは、布を編み直し、薪を乾かし、天幕の縫い目に油を差しながら、黙々と日常の手入れを繰り返した。
戦の気配が遠のいていた。
あるいは、嵐の前の静けさだったのかもしれない。
「なあ、静。……お前さん、傘って持ってた?」
そんなふうに言葉を投げたのは、昨日の昼食時、今村だった。
彼は濡れた薪を火にかけながら、火の起こり方よりも、静の返答の方に興味があるようだった。
「傘、ですか」
「うん。子供のころさ。紙でできたやつとか、父親の大きいやつとか、そういう……ほら、覚えてたりとかしねぇ?」
静は、火に手をかざしながらしばし黙っていた。
やがて、少し笑って言った。
「……憶えていません。でも、濡れても平気だったことだけ、憶えています」
「……はは。なんだそれ。強いな、おまえは」
今村は笑いながら言ったが、静の目には、その笑いがほんの少しだけ、遠く見えた。
雨が、火の軒を打つ音だけが、沈黙の隙間を繋いでいた。
※
その日、静は矢野とともに、前線の補給路の再確認に向かった。
足元はぬかるんでいたが、ふたりは慣れた歩幅で、ほとんど音を立てずに森を抜けていく。
斥候と警戒の役目を兼ねていたが、実のところ、その任は“静と矢野であれば任せられる”という部内の空気が先行していた。
戦術的には不適切だった。
だが、実際、ふたりが向かえば、情報は確実に持ち帰られ、誰も傷を負わずに帰陣する。
それは、信頼という名の慢心にもなり得た。
「……ずいぶん、静もこの部隊に馴染んできたな」
森を歩きながら、矢野がふと言った。
静は、前を向いたまま、穏やかに言葉を返す。
「……はい。気づいたら、そうなっていました」
「よかったじゃないか」
「ええ。でも――」
「でも?」
「どこまでが僕で、どこからが“ここに合わせている僕”なのか、たまにわからなくなります」
矢野は黙った。
静の言葉には、どこか、深い水底のような重さがあった。
慣れるということは、時に、自分の輪郭を失うことでもある。
「……それでもいいと思うけどな。変わったって」
「そうですか」
「戦場にいるやつらなんて、皆、どこか変わっちまってるよ。だが、そうやって“変わった自分”で、生きてくしかないだろ」
静は、わずかにうなずいた。
「……それでも、“変わること”と、“変えてはいけないもの”がある気がするんです」
矢野はその言葉の意味を、咀嚼するように黙って歩いた。
たしかに、静のなかには、“変えない”と決めているものがある。
それは剣の使い方だったかもしれないし、命に対する線引きだったかもしれない。
その芯が、彼の“白さ”であり――“孤独”の源でもあった。
※
その夜、水嶋が静に話しかけてきた。
「なあ、静。……隊長が言ってたんだが、近くの谷に物資を送る任務、やっぱ俺たちのとこに回ってくるらしい」
「補給線が近い方が早いですからね」
「おまえも来る?」
「命令なら」
「命令じゃなくてもさ、おまえがいれば安心だって、皆そう言ってる」
水嶋は、どこかそれを誇らしげに言った。
静は少しだけ目を伏せた。
「……そういう言葉が、いちばん怖いんです」
「え?」
「“安心だ”とか“静がいれば平気”とか。……それが重なると、誰かが判断をやめてしまう。考えるのをやめて、命を預けるようになる」
「でもそれって、信頼だろ?」
「違います。信頼は、責任とともに成立します。でも、あれは……」
静の声は、低く、少しだけ震えていた。
「……甘えです」
水嶋は、その言葉に何も返せなかった。
※
翌朝、霧が出た。
視界は五十歩先が限度で、森の奥は白く染まっていた。
その霧の中で、異変は起きた。
哨戒に出ていた先遣隊が、戻らなかった。
通常であれば、四刻もあれば帰還するはずの部隊が、五刻を過ぎても戻らなかった。
天幕内に緊張が走った。
隊長が指示を出すより早く、静が立ち上がった。
「行きます」
「ひとりでか?」
「足跡がまだ残っているはずです。矢野さん、もしよければ、あとから合流をお願いします」
その言葉に、矢野が即座に立ち上がる。
「俺も行く」
「静、おまえ――」
今村が言いかけたそのとき、静が振り返った。
「まだ、誰も死んでいません」
その言葉に、誰も何も言えなくなった。
そのとき、天幕の外で誰かが走ってくる音がした。
「帰還者です! ひとり、帰還しました!」
※
佐々木だった。顔に裂傷、肩から血を流し、声にならないうめき声をあげていた。
水嶋が彼を抱えたとき、佐々木はうわごとのように言った。
「囲まれた……三十、いや、四十……谷に……罠が……源田が……っ……」
そこで言葉が途切れた。
静がすぐに腰を上げた。
「矢野さん。行きましょう」
矢野は言葉を交わさず、頷いた。
※
濃霧の森の奥、静と矢野は、血の匂いを辿った。
足跡はぐずれ、倒木の裏に蹲るように、ふたりの兵の亡骸があった。
そして――。
さらにその奥に、罠にかかり、負傷しながらも弓を構える源田がいた。
彼の周囲には、十を越える敵影。
「矢野さん、僕が行きます」
「静――おまえ、待て、数が――」
だが、次の瞬間には、もう姿がなかった。
白装束が霧を裂いて舞う。
剣が、叫びを残さず人を斬る。
その音は、風だった。
※
敵兵は十四名。
すべて、成人の男だった。
剣を握る手には力が宿り、目の奥には、ためらいのない殺意があった。
ここは谷の入り口、木々の枝が折れて斜面に散らばり、雨水がぬかるみを作っていた。
その真ん中に、源田がいた。
左足を罠に挟まれ、身動きのとれないまま、片手で弓を構えていた。
震える指先。擦り傷からは血が滲み、雨で濡れた頬に泥が張りついている。
それでも彼は、諦めていなかった。
だからこそ、静は、そこへ降り立った。
白装束が、霧を裂いて現れる。
その姿に、敵兵たちはわずかにたじろいだ。
――なにか、おかしい。
そう直感した者がいた。
だが、言葉にする前に、静は動いた。
「この人に、指一本触れさせません」
静の声は、音ではなく、“斬撃の予兆”のようだった。
「なんだこいつ……」
そう呟いた敵兵が、一歩踏み出そうとしたその刹那――
空気が断たれた。
白が、疾った。
剣閃が、時間を裂いた。
斬られた男の首が、音を立てるより先に落ちた。
血は、静の装束に一滴も届かなかった。
「囲め! 一気にやれ!」
叫んだ男が突進する。
二、三、四。――複数の剣が同時に静へと振るわれた。
だが、静は踏み出さない。
ただ、立っているだけに見えた。
しかし次の瞬間、敵兵の膝が折れた。
「ぐ……あっ!」
剣を持ったまま倒れた男の肩に、深い裂傷が刻まれていた。
「後ろだ!」
誰かが叫んだ。
振り向いたときには、もう遅い。
静の剣が、第二の男の胸元に、深く食い込んでいた。
刃が抜かれたとき、血が霧と混じり合い、空中に細い紅の筋を描いた。
剣戟の音が木霊する。
斬られたのは敵ばかりだった。
誰一人、静の身体に触れられなかった。
その動きは、“殺意”ではなかった。
ただ“止める”ための斬撃だった。
踏み込みも、抜刀も、刃の角度も。
すべてが、敵を“止める”ためだけに計算されていた。
「この……化け物が……!」
三人目が叫びながら突き出した剣を、静は左手で鞘ごと受け止め、
右手の剣でその腕を斬り裂いた。
「うわああっ!」
男の叫びは霧のなかに溶けた。
源田は、その光景を呆然と見ていた。
まるで、芝居を観ているようだった。
あまりにも現実離れしていた。
戦っているというより、“演じている”かのようだった。
静は、血を纏わぬまま、次々と人を斬っていく。
怒りも、憎しみも、なかった。
あるのは、たったひとつの意志――
“この人を守る”。
それだけだった。
七人目が、後方から斬りかかる。
静は振り返りもせず、体を斜めに傾け、背後に剣を差し出す。
刃が、相手の顎を裂く。
動きに、迷いがなかった。
戦場で育った者ではない、なにか“それ以上”の存在。
十三人目が尻餅をつき、剣を取り落とす。
「た、助けて……!」
それを見た十四人目が、背を向けて逃げ出した。
足がもつれ、斜面に転がる。
静は、追わなかった。
ただ、源田のもとへ戻る。
ゆっくりと、ふたたび、白い布が揺れる。
剣を鞘に納める音が、やけに鮮明に響いた。
霧が、また静けさを取り戻す。
敵兵たちは、動けなかった。
生き残った者も、立ち上がる気力を失っていた。
静は、剣の柄から手を離し、しゃがみ込む。
源田と目を合わせる。
「……俺……俺……怖くて……!」
源田の声は震え、頬には涙が混じっていた。
「怖くて、当たり前です」
静は、泥で汚れた膝をつき、源田と同じ高さに目線を落とす。
「怖いという感情は、あなたの中の“生きたい”という願いの現れです。……それが、いちばん正しいことなんです」
源田は、剣ではなく、言葉に泣いた。
その夜のことを、彼はのちに語った。
――あの人は、敵を倒したから怖かったんじゃない。
俺の“怖い”を、否定しなかったから、救われたんだ。
春の雨が続いた。
それは、季節の気まぐれというよりも、戦場の湿り気に呼応するように、断続的に降った。
この土地に慣れてきた者たちは、布を編み直し、薪を乾かし、天幕の縫い目に油を差しながら、黙々と日常の手入れを繰り返した。
戦の気配が遠のいていた。
あるいは、嵐の前の静けさだったのかもしれない。
「なあ、静。……お前さん、傘って持ってた?」
そんなふうに言葉を投げたのは、昨日の昼食時、今村だった。
彼は濡れた薪を火にかけながら、火の起こり方よりも、静の返答の方に興味があるようだった。
「傘、ですか」
「うん。子供のころさ。紙でできたやつとか、父親の大きいやつとか、そういう……ほら、覚えてたりとかしねぇ?」
静は、火に手をかざしながらしばし黙っていた。
やがて、少し笑って言った。
「……憶えていません。でも、濡れても平気だったことだけ、憶えています」
「……はは。なんだそれ。強いな、おまえは」
今村は笑いながら言ったが、静の目には、その笑いがほんの少しだけ、遠く見えた。
雨が、火の軒を打つ音だけが、沈黙の隙間を繋いでいた。
※
その日、静は矢野とともに、前線の補給路の再確認に向かった。
足元はぬかるんでいたが、ふたりは慣れた歩幅で、ほとんど音を立てずに森を抜けていく。
斥候と警戒の役目を兼ねていたが、実のところ、その任は“静と矢野であれば任せられる”という部内の空気が先行していた。
戦術的には不適切だった。
だが、実際、ふたりが向かえば、情報は確実に持ち帰られ、誰も傷を負わずに帰陣する。
それは、信頼という名の慢心にもなり得た。
「……ずいぶん、静もこの部隊に馴染んできたな」
森を歩きながら、矢野がふと言った。
静は、前を向いたまま、穏やかに言葉を返す。
「……はい。気づいたら、そうなっていました」
「よかったじゃないか」
「ええ。でも――」
「でも?」
「どこまでが僕で、どこからが“ここに合わせている僕”なのか、たまにわからなくなります」
矢野は黙った。
静の言葉には、どこか、深い水底のような重さがあった。
慣れるということは、時に、自分の輪郭を失うことでもある。
「……それでもいいと思うけどな。変わったって」
「そうですか」
「戦場にいるやつらなんて、皆、どこか変わっちまってるよ。だが、そうやって“変わった自分”で、生きてくしかないだろ」
静は、わずかにうなずいた。
「……それでも、“変わること”と、“変えてはいけないもの”がある気がするんです」
矢野はその言葉の意味を、咀嚼するように黙って歩いた。
たしかに、静のなかには、“変えない”と決めているものがある。
それは剣の使い方だったかもしれないし、命に対する線引きだったかもしれない。
その芯が、彼の“白さ”であり――“孤独”の源でもあった。
※
その夜、水嶋が静に話しかけてきた。
「なあ、静。……隊長が言ってたんだが、近くの谷に物資を送る任務、やっぱ俺たちのとこに回ってくるらしい」
「補給線が近い方が早いですからね」
「おまえも来る?」
「命令なら」
「命令じゃなくてもさ、おまえがいれば安心だって、皆そう言ってる」
水嶋は、どこかそれを誇らしげに言った。
静は少しだけ目を伏せた。
「……そういう言葉が、いちばん怖いんです」
「え?」
「“安心だ”とか“静がいれば平気”とか。……それが重なると、誰かが判断をやめてしまう。考えるのをやめて、命を預けるようになる」
「でもそれって、信頼だろ?」
「違います。信頼は、責任とともに成立します。でも、あれは……」
静の声は、低く、少しだけ震えていた。
「……甘えです」
水嶋は、その言葉に何も返せなかった。
※
翌朝、霧が出た。
視界は五十歩先が限度で、森の奥は白く染まっていた。
その霧の中で、異変は起きた。
哨戒に出ていた先遣隊が、戻らなかった。
通常であれば、四刻もあれば帰還するはずの部隊が、五刻を過ぎても戻らなかった。
天幕内に緊張が走った。
隊長が指示を出すより早く、静が立ち上がった。
「行きます」
「ひとりでか?」
「足跡がまだ残っているはずです。矢野さん、もしよければ、あとから合流をお願いします」
その言葉に、矢野が即座に立ち上がる。
「俺も行く」
「静、おまえ――」
今村が言いかけたそのとき、静が振り返った。
「まだ、誰も死んでいません」
その言葉に、誰も何も言えなくなった。
そのとき、天幕の外で誰かが走ってくる音がした。
「帰還者です! ひとり、帰還しました!」
※
佐々木だった。顔に裂傷、肩から血を流し、声にならないうめき声をあげていた。
水嶋が彼を抱えたとき、佐々木はうわごとのように言った。
「囲まれた……三十、いや、四十……谷に……罠が……源田が……っ……」
そこで言葉が途切れた。
静がすぐに腰を上げた。
「矢野さん。行きましょう」
矢野は言葉を交わさず、頷いた。
※
濃霧の森の奥、静と矢野は、血の匂いを辿った。
足跡はぐずれ、倒木の裏に蹲るように、ふたりの兵の亡骸があった。
そして――。
さらにその奥に、罠にかかり、負傷しながらも弓を構える源田がいた。
彼の周囲には、十を越える敵影。
「矢野さん、僕が行きます」
「静――おまえ、待て、数が――」
だが、次の瞬間には、もう姿がなかった。
白装束が霧を裂いて舞う。
剣が、叫びを残さず人を斬る。
その音は、風だった。
※
敵兵は十四名。
すべて、成人の男だった。
剣を握る手には力が宿り、目の奥には、ためらいのない殺意があった。
ここは谷の入り口、木々の枝が折れて斜面に散らばり、雨水がぬかるみを作っていた。
その真ん中に、源田がいた。
左足を罠に挟まれ、身動きのとれないまま、片手で弓を構えていた。
震える指先。擦り傷からは血が滲み、雨で濡れた頬に泥が張りついている。
それでも彼は、諦めていなかった。
だからこそ、静は、そこへ降り立った。
白装束が、霧を裂いて現れる。
その姿に、敵兵たちはわずかにたじろいだ。
――なにか、おかしい。
そう直感した者がいた。
だが、言葉にする前に、静は動いた。
「この人に、指一本触れさせません」
静の声は、音ではなく、“斬撃の予兆”のようだった。
「なんだこいつ……」
そう呟いた敵兵が、一歩踏み出そうとしたその刹那――
空気が断たれた。
白が、疾った。
剣閃が、時間を裂いた。
斬られた男の首が、音を立てるより先に落ちた。
血は、静の装束に一滴も届かなかった。
「囲め! 一気にやれ!」
叫んだ男が突進する。
二、三、四。――複数の剣が同時に静へと振るわれた。
だが、静は踏み出さない。
ただ、立っているだけに見えた。
しかし次の瞬間、敵兵の膝が折れた。
「ぐ……あっ!」
剣を持ったまま倒れた男の肩に、深い裂傷が刻まれていた。
「後ろだ!」
誰かが叫んだ。
振り向いたときには、もう遅い。
静の剣が、第二の男の胸元に、深く食い込んでいた。
刃が抜かれたとき、血が霧と混じり合い、空中に細い紅の筋を描いた。
剣戟の音が木霊する。
斬られたのは敵ばかりだった。
誰一人、静の身体に触れられなかった。
その動きは、“殺意”ではなかった。
ただ“止める”ための斬撃だった。
踏み込みも、抜刀も、刃の角度も。
すべてが、敵を“止める”ためだけに計算されていた。
「この……化け物が……!」
三人目が叫びながら突き出した剣を、静は左手で鞘ごと受け止め、
右手の剣でその腕を斬り裂いた。
「うわああっ!」
男の叫びは霧のなかに溶けた。
源田は、その光景を呆然と見ていた。
まるで、芝居を観ているようだった。
あまりにも現実離れしていた。
戦っているというより、“演じている”かのようだった。
静は、血を纏わぬまま、次々と人を斬っていく。
怒りも、憎しみも、なかった。
あるのは、たったひとつの意志――
“この人を守る”。
それだけだった。
七人目が、後方から斬りかかる。
静は振り返りもせず、体を斜めに傾け、背後に剣を差し出す。
刃が、相手の顎を裂く。
動きに、迷いがなかった。
戦場で育った者ではない、なにか“それ以上”の存在。
十三人目が尻餅をつき、剣を取り落とす。
「た、助けて……!」
それを見た十四人目が、背を向けて逃げ出した。
足がもつれ、斜面に転がる。
静は、追わなかった。
ただ、源田のもとへ戻る。
ゆっくりと、ふたたび、白い布が揺れる。
剣を鞘に納める音が、やけに鮮明に響いた。
霧が、また静けさを取り戻す。
敵兵たちは、動けなかった。
生き残った者も、立ち上がる気力を失っていた。
静は、剣の柄から手を離し、しゃがみ込む。
源田と目を合わせる。
「……俺……俺……怖くて……!」
源田の声は震え、頬には涙が混じっていた。
「怖くて、当たり前です」
静は、泥で汚れた膝をつき、源田と同じ高さに目線を落とす。
「怖いという感情は、あなたの中の“生きたい”という願いの現れです。……それが、いちばん正しいことなんです」
源田は、剣ではなく、言葉に泣いた。
その夜のことを、彼はのちに語った。
――あの人は、敵を倒したから怖かったんじゃない。
俺の“怖い”を、否定しなかったから、救われたんだ。



