浄瑠璃「八百屋お七」



天和2年12月、江戸の大火。

火事で焼け出された江戸、本郷追分の八百屋の娘お七は、駒込の正仙寺(一説には円乗寺)に非難した。

お七は、そこで寺小姓の生田吉三郎と出会った。

吉三郎の実直さ、こまめな働きぶり気配り優しさに惹かれた。

情を通じ恋心が、互いに芽生えるのに時はかからなかった。

募る思いは日に日に深まったが、日を重ねるごとに別れの時も迫った。


吉三郎さま……別れたくない

お七の願いも虚しく、大火による被害で焼けた町は何事もなかったかのように、町人も吉三郎もお七も元の生活に戻った。


が、お七の吉三郎への思いは別れて尚、日毎に熱くなった。