ドーン!───ドーン!

爆音と共に2つの白い光が八方に弾けた。

牡丹の花ように広がったかと思うと、落ちてくる無数の光は枝垂れ、薄紅色に変化しながら静かに舞いながら小さくなり消えていった。


一瞬咲いた大輪の花が弾けて、1つ1つ小さな花となり枝垂れながら舞い落ちる様は、枝垂れ桜が風に舞う姿に似ていた。

その様を藍は涙の滲んだ瞳で見つめながら、家茂のからくり人形を人間らしく息づいているように操った。


藍は花火の美しさに誰もが観とれ、家茂の姿など誰も観てはいないことを祈った。

藍は、家茂の傍らに置いてある行灯をそっと気付かれないように倒し、家茂のからくり人形に火を点けた。



ドーーーン!!


先ほどより一層、大きな音が響いた。

一回り大きな白い牡丹の花が、漆黒に浮かび上がった。八方に伸びた光が一斉に降ってくる。

薄紅に色を変えながら枝垂れるように───。


藍、観ているか? 俺の花火


藍は、ふと龍斗の声を聞いたような気がした。