結菜はギュッと胸元あたりの服を掴みながら、一歩下がろうとしたところで、足元に転がっていた空き缶をうかつにも蹴ってしまった。缶がどこかに飛んでいった音に気付いたその人が、じろりと結菜を見た。
丸眼鏡をしていなければ、イケメン度アップ間違いなし。
なぜかこのタイミングで茉優の言葉を思い出してしまった。しかし、茉優が言っていた通り、イケメン度が上がった状態で三善先生はそこにいた。
「……お前、確か」
目を細めて結菜を見ている三善先生を目の前に、大きく開けてしまった口を慌てて手で押さえて、回れ右をして駅に向かう道を走り出した。
ありえない、ありえない、ありえない。
三善先生と言えば、ファンクラブができるほどのイケメンで、生徒想いの人で、授業もわかりやすいと生徒の中で専らの評判だ。
全体の雰囲気だって、猫を思わせるような緩さを感じさせる。見た目に反しての緩さに、授業中だって、にやける生徒が多いほどだ。
授業もわかりやすく、丁寧だから、苦手意識があった結菜でも化学少しだけ苦手じゃなくなった。そんな生徒は結菜以外にも多く、三善先生のように理科の教師を目指すと宣言するクラスメイトもいるほどだ。
それなのに、今のアレはなに?
見間違えに違いない。いや、見間違いであって欲しい。それか、先生の双子かもしれない。
いずれにせよ、結菜は自分の目で見たことを受け入れる余裕がないまま、星が瞬く空の下、なんでと大声で叫びそうになりながら、結菜は全力疾走で駅の改札口まで向かった。電車に乗っても、家にたどり着いても、ベッドの中に潜りこんでも三善先生らしき人の姿が瞼の裏に焼き付いたままだった。
丸眼鏡をしていなければ、イケメン度アップ間違いなし。
なぜかこのタイミングで茉優の言葉を思い出してしまった。しかし、茉優が言っていた通り、イケメン度が上がった状態で三善先生はそこにいた。
「……お前、確か」
目を細めて結菜を見ている三善先生を目の前に、大きく開けてしまった口を慌てて手で押さえて、回れ右をして駅に向かう道を走り出した。
ありえない、ありえない、ありえない。
三善先生と言えば、ファンクラブができるほどのイケメンで、生徒想いの人で、授業もわかりやすいと生徒の中で専らの評判だ。
全体の雰囲気だって、猫を思わせるような緩さを感じさせる。見た目に反しての緩さに、授業中だって、にやける生徒が多いほどだ。
授業もわかりやすく、丁寧だから、苦手意識があった結菜でも化学少しだけ苦手じゃなくなった。そんな生徒は結菜以外にも多く、三善先生のように理科の教師を目指すと宣言するクラスメイトもいるほどだ。
それなのに、今のアレはなに?
見間違えに違いない。いや、見間違いであって欲しい。それか、先生の双子かもしれない。
いずれにせよ、結菜は自分の目で見たことを受け入れる余裕がないまま、星が瞬く空の下、なんでと大声で叫びそうになりながら、結菜は全力疾走で駅の改札口まで向かった。電車に乗っても、家にたどり着いても、ベッドの中に潜りこんでも三善先生らしき人の姿が瞼の裏に焼き付いたままだった。



