7章:最終決戦
竜の力が暴走し、学園全体が震え続けていた。外からは激しい雷鳴が響き、遠くで異次元から呼び寄せられたような不気味な音が鳴り響く。地下室にいたはると、愛海、亜梨沙、直悠は、次第にその力に飲み込まれそうになっていることを感じ取っていた。竜の力は、ただのエネルギーではなく、学園そのものを異世界の次元へ引き寄せるための触媒だったのだ。
「亜梨沙、離れて!力を制御しないと、学園が完全に異次元に引き寄せられる!」はるとは、亜梨沙の肩を強く掴み、必死に叫んだ。
亜梨沙は、顔を歪めながらもその手を振り払おうとはしなかった。「ダメよ、はると…私しか、できないの。」彼女の瞳は力強く、しかしその奥には限界を感じさせる影が見え隠れしていた。
「でも、君がこの力を受け入れたら、自分自身が消えてしまうかもしれないんだ!」はるとはそのまま亜梨沙を抱きしめようとしたが、亜梨沙は力を込めてその手を止めた。
「私が消えても、みんなが生き残るならそれでいい。」亜梨沙の声は静かで、確固たる決意が込められていた。その言葉に、はるとは何も言えなかった。彼は自分ができることが何かを考えたが、亜梨沙の決意に胸が締め付けられた。
その瞬間、竜の力が一気に爆発的に膨れ上がり、空間が歪んでいく。竜の影が再び巨大化し、赤月先生が背後に現れた。その顔は冷徹で、どこか誇り高い表情を浮かべている。
「遂に目覚めたか、竜の力。」赤月先生の声は低く響き、亜梨沙を見つめる。「お前がその力を制御できるとは思わなかったが、それでもお前には限界がある。」彼の目はどこか悲しげで、しかしその裏にある冷徹さが際立っていた。
亜梨沙は赤月先生に向かってゆっくりと歩み寄り、声を絞り出すように言った。「あなたがこの力を使って何をしようとしているのか、もうわかっている。学園を異世界に引き寄せることで、かつての失われた力を取り戻すつもりでしょう?」
赤月先生はその問いに微かに笑みを浮かべた。「その通りだ。だが、今のお前たちでは、この力を完全に止めることはできない。学園が異世界に引き寄せられれば、すべての命は新たな秩序の中で再生する。」
その言葉に、はるとは怒りを覚えた。「お前が言ってるのは、ただの支配だ!力を奪って、みんなの自由を奪うことだ!」
「自由など、この力の前では無意味だ。」赤月先生は冷ややかな笑みを浮かべながら言った。その顔には、既に学園を変え、新たな秩序を作り上げるという確固たる意志が感じられた。しかし、はるとはその表情に決して引き込まれることはなかった。
「亜梨沙、君に頼む。もう少しだけ、耐えてくれ!」はるとは力強く叫んだ。その声に、亜梨沙はわずかながらも目を開け、彼に向かって力強く頷いた。
「私がやる…最後まで。」彼女の手が再び箱に触れ、竜の力が再度膨れ上がる。その瞬間、学園全体が揺れ、異次元の空間が開けていくような感覚が広がった。
「みんな、今のうちにここから出ろ!」直悠が叫びながら、急いで愛海と一緒に出口を目指す。しかし、はるとは亜梨沙と赤月先生を残し、必死にその力を抑えようとした。
「亜梨沙、君が力を使いこなせるなら、学園を守れるかもしれない!」はるとの言葉に、亜梨沙は微笑んだ。しかし、その微笑みの裏にある悲しみを感じ取ったはるとは、自分ができることを考え、亜梨沙の決意を全力でサポートする覚悟を固めた。
その時、竜の力が突如として暴れ、空間がひずんでいく。亜梨沙は全身を震わせながらも、その力を完全に抑え込むことを決意した。
「私は…みんなを守る。」その言葉が響くとともに、亜梨沙の身体から力が一気に解放され、竜の力がそのまま異次元に封じ込められた。
そして、学園は静まり返った。空間の歪みが収まり、異次元からの力が一気に消えた。だが、亜梨沙はその力に耐えきれず、倒れ込んだ。