18章:封じられし力
学園の地下室に再び足を踏み入れたはるとたちは、深い不安を抱えていた。異次元の力が暴走し、学園全体を再び呑み込もうとしている。その力の源は、赤月先生が残した儀式の場にあった。彼の遺した装置がまだ学園の地下に残り、異次元との扉を開く力を持ち続けていた。
「このままだと、学園がまた異次元に引き寄せられる…」愛海が顔を歪め、学園内の静けさの中で何かが歪み始めていることを感じ取っていた。「亜梨沙があの力を使っても、完全には封じ込められなかったってことだ。」
直悠は無言で前を歩き、冷静に歩調を合わせながら言った。「竜の力は一度開かれた扉を簡単に閉じることはできない。だが、封じ込める方法はまだ残されている。赤月先生の装置を破壊すれば、学園の異次元との繋がりは完全に断ち切れるはずだ。」
「だけど、その装置を破壊すれば、今度こそ亜梨沙が力を使うことができなくなる。もう彼女を犠牲にはできない…」はるとは心の中で葛藤していた。亜梨沙が力を使いすぎた結果、彼女がどれほど命を削ったのか、目の前でその答えを見つけるのが怖かった。
「亜梨沙の力を使うためには、彼女の命をどう守るかが最重要だ。」直悠の言葉は、どこか遠くから響くようだった。「だが、この学園が異次元に飲み込まれたら、すべてが無駄になる。」
「俺たちが学園を守るためにできることは、それしかないんだ。」はるとは決意を固めると、再び地下深くへと向かって歩みを進めた。心臓が鼓動を速くし、足音が重く響く。亜梨沙の力、赤月先生の計画、学園の未来—すべてがかかっている。
地下室の扉を開けると、そこにはかすかな赤い光が漂っていた。異次元の力がまだ残っていることを示す証拠だ。学園内の他の部分には、すでにその力の痕跡は消えているが、この場所は別だ。赤月先生が使った儀式の場は、まだ力を保っている。
「これが…赤月先生が遺した装置か。」直悠が呟きながら、その前に立ち止まる。装置は大きな石のようなものに囲まれ、その表面には複雑な紋様が刻まれている。まるで生きているかのように振動しており、その周囲には異次元の力を感じさせる不気味なオーラが漂っていた。
「この装置を壊せば、異次元の力を完全に封じ込められる。」はるとは決意を込めて言った。「でも、それには相当な力が必要だ。亜梨沙があの力を使う準備をしなければ、これを壊すことはできない。」
その時、後ろから足音が響き、愛海が近づいてきた。「亜梨沙はまだ目を覚ましていない。彼女が目を覚まさない限り、力を解放することはできない。」
「でも、今は亜梨沙を待つ時間がない。」はるとは毅然と答えた。「もし、赤月先生がこの装置を完全に起動させたら、学園は異次元に引き寄せられてしまう。俺たちにはその時間すらない。」
直悠は一歩前に出て、装置をじっと見つめた。「亜梨沙が目を覚まさなくても、何か方法はあるはずだ。この装置のエネルギーを吸収し、逆転させる方法を見つける。」
その時、ふと空気が変わり、亜梨沙が少しずつ目を開けた。彼女の目はまだぼんやりとしており、体はかすかに震えていた。だが、その瞳には決意の光が宿っていた。「みんな…ごめん…遅くなった。」
「亜梨沙!」愛海が彼女に駆け寄り、肩を支えた。「大丈夫?無理しなくても…」
亜梨沙は微笑み、力強く言った。「もう、止めるべきだ。私がやらなければ、この学園は消えてしまう。」彼女の目に宿るその力強さに、はるとは心を打たれる思いだった。彼女は本当に学園を守るために、全てを賭ける覚悟を持っていた。
「亜梨沙…」はるとは息を呑んだ。「でも、お前の命が削られるんだぞ…!」
「わかってる。でも、私が戦わなければ、何も守れない。」亜梨沙はその言葉をしっかりと受け入れて、力を解放し始めた。その手から放たれる光が徐々に強くなり、学園内の空間が再び歪み始めた。
「この力を、私に貸して。」亜梨沙は全力で装置を見つめ、祈るように手をかざす。すると、装置の中から一筋の光が彼女に向かって放たれ、異次元の力を逆転させるための道を開こうとした。
その瞬間、学園全体が揺れ、異次元との扉が再び開こうとする。亜梨沙の力と装置が反応し、学園の空間が一気に歪んでいく。竜の力が再び暴れ始め、学園内に響く轟音が響き渡る。


