ヤバい教師ー赤月先生ー


13章:決意の時
学園内の空気は一変していた。亜梨沙が目を覚ましたことで、ようやく一息ついたかに思えたが、彼女が力を使い果たした代償は重く、今後の戦いに向けて何も解決したわけではないことを、誰もが理解していた。
はるとは、亜梨沙が眠る保健室の前で静かに佇んでいた。外の空気はひんやりとしており、風が木々の間を抜けていく音が遠くから聞こえてくる。その音に、彼の心の中の不安がかき消されることはなかった。亜梨沙があの力を使い続けることで、自分たちが守れるものと引き換えに、彼女の命が削られていく。
「亜梨沙が、もう二度とその力を使えないようにしたい。」はるとは心の中で呟いた。
その時、愛海がやってきた。彼女の表情はいつもよりも少し硬い。「はると、どうしたの?亜梨沙のこと、気になるよね。」
「うん、でも…」はるとは少し言葉を詰まらせ、視線を下に落とした。「亜梨沙があの力を使い続ける限り、僕たちが学園を守ったとしても、彼女はどんどん弱っていく。あの力を制御する方法を見つけないと、いつか彼女は…」
愛海は彼の言葉を遮るように、静かに言った。「わかってる。私もそれを感じてる。でも、亜梨沙が選んだ道だよね。私たちが今できることは、彼女を支え続けることだけだと思う。」
「でも…」はるとは心の中で何かを押し殺すように言葉を飲み込んだ。愛海のその言葉には、彼女自身の不安と、亜梨沙を守ろうとする強い意志が感じられた。
その時、直悠が近づいてきた。いつも冷静な彼の顔にも、やはり何か不安を抱えている様子が見て取れる。「お前たち、何を悩んでいる?亜梨沙は回復した。それなら、次の手を考えよう。」
「でも、赤月先生が完全に消えたわけじゃない。」はるとは直悠の目を見つめ、続けた。「あいつが仕掛けた異次元の力、あの竜の力を引き寄せる装置は、まだ学園内に残っている。それを完全に封じなければ、いつまた異常が起こるかわからない。」
直悠は少し考え込み、「それは理解している。しかし、あの装置を封じる方法も、正直、まだ見つけられていない。」と答えた。「亜梨沙が力を使えない限り、俺たちの手は限られている。」
「その力を制御できる方法を探すのが、今の最優先だ。」愛海が静かに言うと、直悠はうなずいた。「俺たちは、あの力を扱うために何か策を考えなければならない。」