12章:新たな試練
亜梨沙が倒れた後、学園内はしばらく静けさに包まれていた。竜の力は完全に封じ込められ、赤月先生の計画は崩れた。学園が元の世界に戻ると、異次元の扉も閉じ、すべての異常なエネルギーが消え去った。しかし、亜梨沙の命を削った代償は大きく、彼女の意識は依然として戻らないままだった。
はるとは亜梨沙を抱きしめながら、保健室に運び、静かに彼女の命を守ることに集中していた。周囲の仲間たちもその状況を見守りながら、何も言わずにただ見守るしかなかった。亜梨沙の無事を祈る思いは、彼ら全員の胸に共鳴していた。
「亜梨沙、目を覚ましてくれ…」はるとはつぶやく。その声には、どこか無力さを感じていた。彼は、あの力を使い果たした亜梨沙が何とか回復することを信じ、祈りながらその手を握りしめていた。
愛海はその場に足を止め、亜梨沙の顔をじっと見つめていた。「亜梨沙…」彼女の目に浮かんだ涙は、どこか無力感を感じさせた。「あなたがあんなに頑張ってくれたのに…」
直悠が静かに近づき、愛海の肩に手を置いた。「彼女が選んだ道だから、俺たちはその結果を受け入れるべきだ。しかし、今は彼女を支えることが最優先だ。亜梨沙が目を覚ますことを信じて、待ち続けよう。」
その言葉に、愛海は静かに頷いた。亜梨沙を支えるために、みんなが一丸となる必要がある。彼女は涙を拭い、力強く顔を上げた。「はい…彼女を守るために、私たちも強くならなければならない。」
時間が経ち、亜梨沙はようやく目を開けた。その目は、少しだけぼんやりとしていたが、意識は戻ったようだった。はるとは、彼女の手を握りしめ、安心の表情を浮かべる。「亜梨沙、よかった…!」
「はると…」亜梨沙は小さな声でつぶやいた。その顔に浮かぶ微笑みは、疲れ切った表情だったが、どこか心の奥でその決意が感じられた。「みんな…ありがとう。」
亜梨沙の回復を見守っていた仲間たちも、ほっとした表情を浮かべる。だが、その背後には、まだ解決しなければならない問題が山積みだということを、みんなが強く感じていた。



