物置小屋にはよく分からない荷物がたくさん置いてあり、ひな乃が使える場所は僅かだ。
荷物を動かして隙間風が通り抜けていくのを防ぐのが、精一杯の防寒方法だった。
幸いなことに、物置小屋の荷物は誰も管理していない。
ひな乃は時間を見つけては、中から色々な物を探し出して役立てていた。
藁だけではこの寒さを凌げない。
夜になったら厚手の布を探さないといけないわ。
お客様が頻繁に出入りするからという理由で、日中は外に出ることも物音を立てることも許されない。
夜明け前の庭掃除と朝の屋敷掃除が終わると、この暗く湿った物置小屋で眠って過ごすのがひな乃の日課だった。
けれど夜になれば少しは自由に動くことが出来る。
月明かりを頼りに、服に空いた穴を繕ったり、こっそりと残り物を食べることが出来る。
物置小屋の荷物や捨てられたゴミの中から着、物や布団の代わりになるものを探すことが出来る。
夜は唯一の自由時間だった。
だからひな乃は夜が好きだった。
――早く夜にならないかしら。今日は食べ物を手に入れられなかったし、夜になんとかしなくちゃ……。
疲れたひな乃はいつの間にか眠ってしまったようだ。
「おい、起きろ。時間だ」
小屋の外から呼ぶ声に、ひな乃は身をぶるりと震わせた。
今日は夜だというのに月明かりがない。
あぁ、今日は新月なんだ。
微かな失望感を噛みしめる間もなく、ひな乃は物置小屋の外に引っ張り出される。
「当主様がお待ちだ」
ひな乃のもう一つの仕事――毒巫女の時間がやってきたのだ。
荷物を動かして隙間風が通り抜けていくのを防ぐのが、精一杯の防寒方法だった。
幸いなことに、物置小屋の荷物は誰も管理していない。
ひな乃は時間を見つけては、中から色々な物を探し出して役立てていた。
藁だけではこの寒さを凌げない。
夜になったら厚手の布を探さないといけないわ。
お客様が頻繁に出入りするからという理由で、日中は外に出ることも物音を立てることも許されない。
夜明け前の庭掃除と朝の屋敷掃除が終わると、この暗く湿った物置小屋で眠って過ごすのがひな乃の日課だった。
けれど夜になれば少しは自由に動くことが出来る。
月明かりを頼りに、服に空いた穴を繕ったり、こっそりと残り物を食べることが出来る。
物置小屋の荷物や捨てられたゴミの中から着、物や布団の代わりになるものを探すことが出来る。
夜は唯一の自由時間だった。
だからひな乃は夜が好きだった。
――早く夜にならないかしら。今日は食べ物を手に入れられなかったし、夜になんとかしなくちゃ……。
疲れたひな乃はいつの間にか眠ってしまったようだ。
「おい、起きろ。時間だ」
小屋の外から呼ぶ声に、ひな乃は身をぶるりと震わせた。
今日は夜だというのに月明かりがない。
あぁ、今日は新月なんだ。
微かな失望感を噛みしめる間もなく、ひな乃は物置小屋の外に引っ張り出される。
「当主様がお待ちだ」
ひな乃のもう一つの仕事――毒巫女の時間がやってきたのだ。