『なんか、ごめん』

そう言った15歳の彼の横顔が、夜空を彩る花火の明かりにパッと照らされた。

大きな音が境内にも心臓にも響き、少し離れた場所から歓声が聞こえる。
浴衣姿の私は、巾着の紐をぎゅっと握りしめた。
なんとも居心地の悪い空気が自分のせいな気がして、ゆっくりとうつむく。

『こっちこそ……ごめん』

2年前の私たちは、それ以外に言葉を見つけることができなくて、そのまま別々の道を通って帰った。

まだ花火は終わっていなかったけれど、最後まで見ようという気にはならなかった。