「まぁ……」
にんにくのにおいが微かに残る家に戻り、二人で物だらけのリビングに寝転ぶ。
「まぁ、人生ってこんなもんだよね」
今日の総括をすると、デデンカはため息をついて起き上がった。
「だりい……歯磨いてもう寝る」
そうして洗面所へ向かい、しばらくジャコジャコと歯磨きする音を聞く。
私は敗北のトロフィーをテーブルに並べた。
「いやこれ、マグネットじゃん。ラバストですらないし」
開けてみて分かったが、ストラップかと思ったそれはどうにも使えそうにないマグネットだったので、私は冷蔵庫に二つともくっつけた。
「私も歯磨いて寝るか……」
今日はもうこのまま泊まろう。洗面所へ行くと、デデンカが顔を拭きながら言った。
「私物置くな!」
私の歯ブラシの柄で頬をつついてくる。その凶暴さたるや。
「いいじゃん別に。減るもんじゃないしさぁ」
歯ブラシをつかんでデデンカを追い出す。不服そうな彼女の背中はプリプリ怒っていて面白い。
それから私は、やたら辛い歯磨き粉で今日の垢を全部落とした。