翌日、日曜日。
和代はお菓子の準備、陽子は最後の飾り付けをしていた。

「本当に着るの?」
「魔女さんと呼ばれているんですから期待に応えましょう」

陽子が用意したのは黒のロングワンピース。
露出はほとんど無く、そのまま普通の服としても使えるものにした。
魔女の衣装といえどおどろおどろしい格好では無く、この立派な洋館の主としてふさわしい服装が良いと陽子は考えた。
もちろん帽子はつばひろの魔法使いが被っているような黒の帽子を用意している。
陽子も帽子はしないものの、同じ服装で出迎えることにした。

こういうことをしたいが良いお店を知らないかと会社の人に陽子が聞くと、反応したのは若い人達だった。
あまり話したことの無い子まで集まってきたので陽子は少々面食らった。
何故コスプレなどをと聞かれたので事情を話すと彼女たちは真面目に考えて、色々な提案をしてくれた。

そのおかげでお店も絞れ好みの洋服も決めることが出来た。
洋服はワンピースなので安いわけでは無かったが、今後も着られるしお礼と思えば安い物だ。
若い人達からあとで是非写真を見せて下さい!と言われ、まさかこんなことであまり接点がなかった彼女たちと話すチャンスが出来たことを感謝した。