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和代の家に引っ越しはとんとん拍子に進んだ。
提案された二階の部屋は和室だったが、陽子の部屋より広く何より窓から見える景色が良い。
元々ベッドではなく布団だったので和室で問題は無い。
お風呂も最新ではないが、陽子の借りていた部屋はユニットバス。
トイレだけは別だが狭いのは仕方がないと割り切っていた。
それがバスタブの外に身体の洗い場があるなんて天国だ。
広い洋館で、和代と陽子の同居が始まった。

「一緒に住んでも所詮は他人。
これは家族でも言えるけれど、適度な距離感が大切だと思うの。
あまり知らない方が良いときもあるのよね。
あとは相手への敬意や礼儀を忘れないこと。
私は家主だけれど、陽子さんへの敬意や礼儀を大切にしたいと思っているわ。
これが同居に当たって守って欲しいことかしら」

和代は同居に当たってこれだけはお互いに守りましょうと陽子に伝えた。
陽子としては同居と言うよりも住み込みさせてもらったという感覚なので、もっと何かしなくてはと考えてしまう。