まさか、ここで教師と生徒ととして会えるなんて思ってもみなかった。
もう会わないつもりだったのに。
会ったらもうどうしたって抑えが効かないと思っていたから、妃唯が退院したと分かっても会いに行かなかった。
妃唯に忘れられた現実を打ちのめされたくなかったのもあるけど。
唯那さんのお願いをちゃんと守るつもりでもあったから。
なのに、まさかね……
会えて嬉しいという気持ちと妃唯からしてみればもう他人なんだという切ない気持ちが入り混じる。
でも、もうこの気持ちには蓋をしないと……
「せんせーい、全員自己紹介終わりましたよ!」
その声にハッと我に返った。
途中から聞いてなかったらしい。
「はい。改めてよろしくお願いします。高校生になったばかりですから、いろいろ不安があるでしょうけど、君達の高校生活が楽しいものになるよう僕も頑張りたいと思います。困ったことがあったら、クラス皆で助け合っていきましょう」
「はーい」
「おー」
取り繕った僕の言葉に何かしら反応してくれた。
まだまだ僕としても不安はある。
でも、このクラスなら大丈夫なんじゃないかって思えた。
その後は入学式や学活など授業がなく、無事に終えることができた。