「何やってんだよ⁉」
突然、帝の怒鳴り声が弥宵と芽羽の耳に飛び込んできた。
驚いた弥宵と芽羽は同時に帝のほうに視線を向けた。
「弥宵、芽羽に何やってんだよ⁉」
声をふるわせながら帝が弥宵に問いつめる。
帝の立場からしてみたら、あまりにも情報量が足りなすぎる。
だからこそ真実を何も知らない帝は弥宵が芽羽にいかがわしい行為をしているのではないのかと疑心暗鬼になっている。
これが現実だなんて信じたくはない。できれば夢であってほしい。どうか違っていてほしいと、帝は現状、自分が今、弥宵の身の潔白を証明できるものを何一つ持っていないことに苛立っていた。
「見ればわかるでしょう? 芽羽を抱きしめていたんだよ」
抑揚のない声で淡々と話す弥宵の振る舞いに帝は呆れ返る。何もかもが理解不能だ。
「は? 抱きしめるだけなのに芽羽のその格好はなんなんだよ⁉」
帝に言われて、自分の姿を認識した芽羽が乱れた衣服を急いで整える。
「芽羽を抱きしめてたら、芽羽の体の色んなところを触りたくなっちゃったんだ」
弥宵は自分の無実を主張するどころか、芽羽の体に性的な興奮をしているのだと認めた。
「それで芽羽の服を脱がそうとしたって言うのかよ⁉ そんなの普通に考えておかしいだろ⁉ ただのキモい変態野郎じゃねーか⁉」
激情する帝を虚ろな瞳で弥宵が見据える。
弥宵の呼吸はいたって正常で臆する様子もなく、言動も当事者ではなくまるで他人事のように冷めている。
これが本当に無関係の傍観者であったのならば、どんなに良かっただろうか。どれだけ弥宵と芽羽の心が楽になれただろうか。
「芽羽! 弥宵が言ったことは本当なのか⁉」
芽羽は頷くこともなく、首を左右に振ることもなく放心状態だ。
芽羽の煮え切らない態度に帝の疎外感と焦燥感は頂点に達してしまった。
「なんで二人とも否定しないんだよ! なんでこれはちょっとした冗談で嘘なんだと言ってくれねーんだよ!」
このままでは弥宵が悪者になってしまう。
今すぐ誤解を解かなければならないと頭ではわかっていても、芽羽は真実を話す勇気もなく臆病になっている。
「ちょっと帝~? 何をそんな大声で叫んでんのん?」
弥宵と帝を探しにきた冬嗣に、帝は弥宵が芽羽に何をしたのか事細かに説明した。
それを聞いた冬嗣は耳を疑ったが、帝と弥宵、どちらの肩を持つこともできずに困惑している。
冬嗣にとって弥宵も帝も大切な友達であり、どちらかだけの味方をして、どちらかを切り捨てるなど到底できるはずがないのだ。
「弥宵、見損なったよ」
弥宵が芽羽に恋愛感情を抱いているのなら、帝はそんな弥宵の恋心を素直に応援したであろう。
それをまさかこんなふうに間違った解釈をされてしまい、誤解を招いたままの状態で帝に届けるのは芽羽からしてみたら不本意かつ無念でしかない。
帝の冷徹な声が風に乗って空気中に木霊する。
普段から時折見せる、可愛く不貞腐れたかんじの怒りではない。ここまで怒りを露わにする帝の姿を見るのは生まれて初めてな芽羽は慄然とする。
突然、帝の怒鳴り声が弥宵と芽羽の耳に飛び込んできた。
驚いた弥宵と芽羽は同時に帝のほうに視線を向けた。
「弥宵、芽羽に何やってんだよ⁉」
声をふるわせながら帝が弥宵に問いつめる。
帝の立場からしてみたら、あまりにも情報量が足りなすぎる。
だからこそ真実を何も知らない帝は弥宵が芽羽にいかがわしい行為をしているのではないのかと疑心暗鬼になっている。
これが現実だなんて信じたくはない。できれば夢であってほしい。どうか違っていてほしいと、帝は現状、自分が今、弥宵の身の潔白を証明できるものを何一つ持っていないことに苛立っていた。
「見ればわかるでしょう? 芽羽を抱きしめていたんだよ」
抑揚のない声で淡々と話す弥宵の振る舞いに帝は呆れ返る。何もかもが理解不能だ。
「は? 抱きしめるだけなのに芽羽のその格好はなんなんだよ⁉」
帝に言われて、自分の姿を認識した芽羽が乱れた衣服を急いで整える。
「芽羽を抱きしめてたら、芽羽の体の色んなところを触りたくなっちゃったんだ」
弥宵は自分の無実を主張するどころか、芽羽の体に性的な興奮をしているのだと認めた。
「それで芽羽の服を脱がそうとしたって言うのかよ⁉ そんなの普通に考えておかしいだろ⁉ ただのキモい変態野郎じゃねーか⁉」
激情する帝を虚ろな瞳で弥宵が見据える。
弥宵の呼吸はいたって正常で臆する様子もなく、言動も当事者ではなくまるで他人事のように冷めている。
これが本当に無関係の傍観者であったのならば、どんなに良かっただろうか。どれだけ弥宵と芽羽の心が楽になれただろうか。
「芽羽! 弥宵が言ったことは本当なのか⁉」
芽羽は頷くこともなく、首を左右に振ることもなく放心状態だ。
芽羽の煮え切らない態度に帝の疎外感と焦燥感は頂点に達してしまった。
「なんで二人とも否定しないんだよ! なんでこれはちょっとした冗談で嘘なんだと言ってくれねーんだよ!」
このままでは弥宵が悪者になってしまう。
今すぐ誤解を解かなければならないと頭ではわかっていても、芽羽は真実を話す勇気もなく臆病になっている。
「ちょっと帝~? 何をそんな大声で叫んでんのん?」
弥宵と帝を探しにきた冬嗣に、帝は弥宵が芽羽に何をしたのか事細かに説明した。
それを聞いた冬嗣は耳を疑ったが、帝と弥宵、どちらの肩を持つこともできずに困惑している。
冬嗣にとって弥宵も帝も大切な友達であり、どちらかだけの味方をして、どちらかを切り捨てるなど到底できるはずがないのだ。
「弥宵、見損なったよ」
弥宵が芽羽に恋愛感情を抱いているのなら、帝はそんな弥宵の恋心を素直に応援したであろう。
それをまさかこんなふうに間違った解釈をされてしまい、誤解を招いたままの状態で帝に届けるのは芽羽からしてみたら不本意かつ無念でしかない。
帝の冷徹な声が風に乗って空気中に木霊する。
普段から時折見せる、可愛く不貞腐れたかんじの怒りではない。ここまで怒りを露わにする帝の姿を見るのは生まれて初めてな芽羽は慄然とする。