美男美女カップル。
これは弥宵と結歌璃にはしっくりと当てはまる。
これこそまさにドラマや映画撮影の現場のようで、内容はもちろん高視聴率を狙えるラブストーリーだ。
「弥宵のほうこそ、こんな所で何やってるの? 学校は?」
結歌璃の腕はまだ弥宵の腕にクネクネと絡みついており、その豊満な胸を押し当てている。
そして、そんな美男美女のじゃれあいに蚊帳の外にされた一人の冷たい男の声が届く。
「さすが学校のアイドル。おモテになりますね」
弥宵は糢嘉の顔が怖くて見れない。
結歌璃は最初から糢嘉のことなど眼中にない様子で、まったく無視している状態だ。
「短い間でしたが、どうもありがとうございました」
糢嘉の他人行儀な挨拶に弥宵は振りだしに戻ってしまったとあせり、結歌璃の腕を乱暴に振りほどいた。
「ちょっと待って! 待ってよモカ! 何か勘違いしてない⁉」
「勘違いもなにも俺は男ですから、滝寺さんのように柔らかい胸がありません」
抑揚のない声で言った後、糢嘉は弥宵の腕を鋭く睨みつける。
数分前まで糢嘉はあの腕に抱きしめられていた。とても居心地が良かった。
その腕が大半の男が喜ぶであろう巨乳に奪われた。
「モカ、嫉妬?」
白々しく訊いてくる弥宵に糢嘉はますます悔しくなり、歯ぎしりをさせながら絶対に認めてやるものかと自尊心が邪魔をする。
「ちっげーよ! 永倉が誰と付き合おうが話そうが俺には全然関係ない! メチャクチャかっこ良いからって、みんながメチャクチャにチヤホヤすると思うなよ! 図に乗んな! 勘違いすんな!」
まくし立てた暴言の数々から完全に糢嘉の本音を読み取った弥宵は込み上げてくる愛しさと嬉しさに、もう一度問いかける。
「モカ。嫉妬しているんでしょう?」
何回訊いてきたとしても何回でも否定してやるという糢嘉の固い決意は、
「あー、そーだよ! 悪いかよ!」
意外と脆かったようであっさりと砕け散ってしまった。
「これが〝俺〟なんだよ! 考えなおすなら今のうちだぞ!」
嫉妬して感情的になり、当たりちらしたりなんかしてみっともない。
恋はかがやもあれば、みっともないことの連続でもある。
愛情が深ければ深いほど、嫉妬心と独占欲も強くなる。
弥宵が満面の笑顔でいることに糢嘉は自分だけが惨めになっているのだと癪に障った。
だけど糢嘉は気がついていない。
弥宵は結歌璃にはけっして見せない朗らかな笑顔を糢嘉にだけ見せるのだという事実に。
糢嘉がどんなに子供っぽく拗ねたとしても、弥宵の糢嘉への恋愛感情が冷めることは絶対にない。幻滅することもない。
「嫉妬してくれるなんて嬉しい」
なんとも想っていない相手に嫉妬はしない。
弥宵は最も愛する恋人を安心させるかのように糢嘉の耳元に唇を寄せると、蕩けてしまいそうなほどの甘い声で囁く。
「僕はモカだけだよ」
そして軽く耳にキスもした。
まだ秋にはほど遠いが、糢嘉の耳だけが季節外れに紅葉だ。
これは弥宵と結歌璃にはしっくりと当てはまる。
これこそまさにドラマや映画撮影の現場のようで、内容はもちろん高視聴率を狙えるラブストーリーだ。
「弥宵のほうこそ、こんな所で何やってるの? 学校は?」
結歌璃の腕はまだ弥宵の腕にクネクネと絡みついており、その豊満な胸を押し当てている。
そして、そんな美男美女のじゃれあいに蚊帳の外にされた一人の冷たい男の声が届く。
「さすが学校のアイドル。おモテになりますね」
弥宵は糢嘉の顔が怖くて見れない。
結歌璃は最初から糢嘉のことなど眼中にない様子で、まったく無視している状態だ。
「短い間でしたが、どうもありがとうございました」
糢嘉の他人行儀な挨拶に弥宵は振りだしに戻ってしまったとあせり、結歌璃の腕を乱暴に振りほどいた。
「ちょっと待って! 待ってよモカ! 何か勘違いしてない⁉」
「勘違いもなにも俺は男ですから、滝寺さんのように柔らかい胸がありません」
抑揚のない声で言った後、糢嘉は弥宵の腕を鋭く睨みつける。
数分前まで糢嘉はあの腕に抱きしめられていた。とても居心地が良かった。
その腕が大半の男が喜ぶであろう巨乳に奪われた。
「モカ、嫉妬?」
白々しく訊いてくる弥宵に糢嘉はますます悔しくなり、歯ぎしりをさせながら絶対に認めてやるものかと自尊心が邪魔をする。
「ちっげーよ! 永倉が誰と付き合おうが話そうが俺には全然関係ない! メチャクチャかっこ良いからって、みんながメチャクチャにチヤホヤすると思うなよ! 図に乗んな! 勘違いすんな!」
まくし立てた暴言の数々から完全に糢嘉の本音を読み取った弥宵は込み上げてくる愛しさと嬉しさに、もう一度問いかける。
「モカ。嫉妬しているんでしょう?」
何回訊いてきたとしても何回でも否定してやるという糢嘉の固い決意は、
「あー、そーだよ! 悪いかよ!」
意外と脆かったようであっさりと砕け散ってしまった。
「これが〝俺〟なんだよ! 考えなおすなら今のうちだぞ!」
嫉妬して感情的になり、当たりちらしたりなんかしてみっともない。
恋はかがやもあれば、みっともないことの連続でもある。
愛情が深ければ深いほど、嫉妬心と独占欲も強くなる。
弥宵が満面の笑顔でいることに糢嘉は自分だけが惨めになっているのだと癪に障った。
だけど糢嘉は気がついていない。
弥宵は結歌璃にはけっして見せない朗らかな笑顔を糢嘉にだけ見せるのだという事実に。
糢嘉がどんなに子供っぽく拗ねたとしても、弥宵の糢嘉への恋愛感情が冷めることは絶対にない。幻滅することもない。
「嫉妬してくれるなんて嬉しい」
なんとも想っていない相手に嫉妬はしない。
弥宵は最も愛する恋人を安心させるかのように糢嘉の耳元に唇を寄せると、蕩けてしまいそうなほどの甘い声で囁く。
「僕はモカだけだよ」
そして軽く耳にキスもした。
まだ秋にはほど遠いが、糢嘉の耳だけが季節外れに紅葉だ。