・
・【09 事件4.子供が転ぶ・事件編】
・
『明日、海浜公園のテーブルに集まって、益岡のオカズ鑑賞会しようや』
地獄のようなLINEが届いた。
何で、俺の、オカズを、佐藤さんと、鑑賞しないと、いけないんだぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!
逆に勃起しそうになったじゃねぇか!
マジか、明日ってもう普通に土曜日だし、休日だし、休日にまで佐藤さんと一緒にいないといけないなんてマジかよ。
俺は一応、
『予定がある』
と嘘をつくと即座に、
『バラまくけどね 来ないと 手始めに 伊織に見せようかな』
『それは待ってください。伊織さんを巻き込まないでください』
すぐに返信してから、
『行きますから。予定もありませんでした、やっぱり』
『だろうね じゃあスマホ持ってこい』
その後、時間帯の指定も行なわれて、俺はボンヤリと窓の外を見るだけの物体となった。
休日まで抑えられるとは……もう俺もいよいよだなってね……。
次の日、午前十時。
海浜公園の、あの屋根のあるテーブルとベンチの元へ行くと、もう佐藤さんがいた。
最初の時と同じような座り位置。
佐藤さんの奥を見れば浜が見えて、俺の後ろには芝生なのか雑草なのかよく分からないけども、緑が生い茂って、子供から大人までまったり過ごしている。
人によっては優雅にバドミントンしている人や、もう遊び終えたあとなのか、フラフープや縄跳びを隣に放置して何もせずにダラっとスマホをイジっている集団もいる。
いいなぁ、いいなぁ。
俺 は こ れ か ら オ カ ズ 鑑 賞 会 で す 。
「つーわけで益岡、スマホでそのよく見てる池橋栄子とやらを見させてくれよ」
「別に。DMMで調べたら出てくるけども」
「いやぁ、あーしはそういうの疎いからさぁ」
知ってるくせに。
いやもういいんだ、俺はどうせ佐藤さんの奴隷なんだ。
DMMアプリを起動したスマホをそのまま渡すと、すぐさま笑い声が聞こえてきた。
「うわっ! 池橋栄子って人しか動画無いじゃん! 全部同じ人! こういうのっていろいろ見れたほうが良くね?」
「いいんだよ、俺は池橋栄子が好きなんだから」
「もうストーカーだし!」
「そんなんじゃないわ、別に」
「早速見てみようっと」
「あっ、音量!」
DMMアプリは前に見ていたところからスタートするため、
「あっ! くすぐったいよぉ!」
池橋栄子の声が響いたと同時に俺はスマホを奪い返して、音量を下げた。
俺は佐藤さんがどんな反応をしているか、顔を見ると、俯いていて。
「ぶふ」
一瞬オナラと思ったその破裂音は、佐藤さんの口から出たものだった。
「ふふふふふふふふふふふふふふっ! あっ!」
と言った時に佐藤さんは顔を上げた。
その表情は恍惚でもあり、また目の前の存在をバカにしていい存在だと信じ切ったような笑顔で、
「くすぐったいよぉぉおおおおおお?」
と軽く池橋栄子の声真似をしながら、そう俺に言い放ってきた。
ヤバイ、イジられている……完全にイジられている……えっと、
「くすぐったくは、ないでしょう……」
と何か訳分からん言葉を言ってしまうと、そこから佐藤さんは壊れた録音機械のように、
「くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ!」
と連呼し始めて、何か、俺のプライドは勿論、俺の中の池橋栄子像もドロドロに溶けていくような感覚がして、それ以上聞いたらもうトラウマになると思って、
「や! やめろ!」
とテーブルを叩きながら、立ち上がったんだけども、佐藤さんは止まることなく、
「くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ!」
と言い続けて、もうダメだ、頭がおかしくなると思ったところで、後ろから聞いたことのある声で、こう聞こえてきた。
「本当に、佐藤さんと益岡くんって仲良いんですね。くすぐり合っているんですか?」
佐藤さんはギョッとした表情で顔を固まらせて、俺は後ろを振り返ると、そこには伊織さんが小さな子供と手を繋ぎながら立っていた。
伊織さんが続けて、
「外でイチャついているって、ホントにもう」
と呆れるような顔でそう言った。
いや、
「別に、くすぐってなんか、ないでしょう。ほら、距離あるし」
「でもさっきから佐藤さんが」
すると佐藤さんは顔を真っ赤にしてから、
「ギャグで言っていただけ! というかその子、何!」
と小さい子供のほうを指差して、別の話に持ってこうとしている意図をすぐに感じたので、俺としてもそっちのほうが都合が良いので、
「えっ? 弟? ボール持ってるし、今から一緒に遊ぶのか?」
伊織さんの弟と思われる子は急に指を差されたからだろう、ササッと伊織さんの陰に隠れた。
伊織さんは弟のほうをチラリと見てから、こっちを見て、
「そうだよ、年の離れた弟がいるんだ。じゃあね、あんま変なハッスルを外でしないほうがいいよっ」
と言って、その場を去った。
伊織さんが芝生のほうへ行ったことを見届けてから、佐藤さんが、
「マジで……まあもういいか、飽きたし」
と言ってくれて、助かったと思った。本当に伊織さんには感謝の意を。
というか飽きたのなら、と思いながら、
「じゃあそろそろ帰るか」
「いや、こっからイヤホンでマジ鑑賞会な」
と言ってイヤホンを取り出した佐藤さん。
いやマジかよ。
というかグラビアアイドルの動画を女子と鑑賞って、逆に……否、場合によっては本気で勃起しちゃうじゃん……。
「じゃイヤホン片方ずつ」
と言って俺に手渡してきて、もうマジでこれからそんなことするんだ、と思ったが、こっちには拒否する権利も無いので、言われるがまま一緒にグラビアアイドルの動画を見始めるしかない。
すると佐藤さんが、
「ちょっと遠いな、隣座れし」
と言ってきて、何か佐藤さんと肩を寄せ合いながら見ることになってしまったし、恥ずかしいというかもうこんなん新しい性癖に目覚めるだろ。
「うわっ、というかめっちゃ巨乳じゃん。やっぱ益岡、巨乳好きなんだぁ。伊織も巨乳だしなぁ」
「やっぱ、ってなんだよ。別にいいだろ。伊織さんはマジで関係無いしさ」
そこからは二人でグラビアアイドルの動画を見る。
ずっと佐藤さんが「でっか」とか「揺れるねぇ」とか「このアングルヤバいし」とか結構喋る。
俺は黙ることしかできないが、時折佐藤さんが俺のほうを見てきてニヤニヤして、何かもう、目覚めたかもしれない。
そんな時だった。
「うわぁぁああああああああああん!」
子供の泣く声が聞こえて、そちらに目をやると、なんと伊織さんの弟が転んだみたいで、ちょうどアスファルトになっている部分に膝をすりむいていた。
伊織さんの弟はフラフープや縄跳びを隣に放置して何もせずにダラっとスマホをイジっている集団の近くで転んでいて、どうやら状況的にフラフープに足を引っかけて転んだっぽい。
「なんっすか、なんっすか」
スマホをイジっているヤツがそのスマホを構えたまま、その弟のほうを向いたことに違和感を抱いた俺は、すぐに伊織さんの弟に駆けつけた佐藤さんとは別に、そのスマホをイジっているヤツの後ろをとって、何を見ているのか見てみると、なんとカメラで録画しているっぽくて、俺は『うっ!』と声を上げそうになってしまった。
何なんだコイツと思いつつ、俺は改めて伊織さんの弟のほうに行くと、伊織さんもやって来て、
「大丈夫! マサヒロっ!」
と弟さんに手を差し伸べた。
「まず傷口を洗ったほうがいいかもです。俺、マサヒロくんを背負って移動していいですか?」
と伊織さんに言うと、
「うん! お願い益岡くん!」
となって、三人でさっさと蛇口のあるほうへ移動した。
「染みるけども我慢して。ほら、伊織さんが洗ってあげて。俺のような部外者がマサヒロくんの傷口を払うことはできないから」
と伊織さんに言うと、伊織さんは頷いてから、
「大丈夫、大丈夫だよ、マサヒロ」
と言いながらマサヒロくんの傷口を軽く洗ってから、伊織さんが肩に掛けていたバッグから絆創膏を取り出して、付けてあげた。
まあこれで一応は大丈夫かと思っていると、伊織さんが、
「素早い対応、益岡くん、有難うございます。やっぱり頼りになるなぁ」
と感嘆の息を漏らしてくれて、何か自己肯定感が上がっていると、佐藤さんが、
「まあマサヒロくんが男子で良かったね、益岡は手つきがエロいから」
と急に訳の分からんこと言い出して、伊織さんは顔真っ赤っか。
俺は何かもうこの場に居られなくなって、
「じゃ! この辺で!」
と言いながら走り去ろうとすると、
「だーめぇ、あーしと一緒」
と言いながら俺の袖を掴んできて、俺は佐藤さんとまたさっきまでいたテーブルに戻ることになった。
戻ってから、俺は佐藤さんへ、
「マジで変なこと言わないで。嘘じゃん、それは」
「じゃあホントのことのほうが良かった? 学校でオナニーしていたって」
「それはマジで言わないでっ」
「へへへへっ、どうかなぁ?」
あぁ、俺って一生遊ばれるんだ……の、前に、
「そう言えば、あのスマホイジっていた連中、カメラでマサヒロくんのこと撮っていたよ」
「マジで? 偶然ってこと?」
「まあそうなんだろうけども」
「人が転ぶところとか滑稽で面白いからバズるかもなぁ」
「アップロードしないでほしいって、あの、言ってきてよ」
すると佐藤さんはじっと俺の瞳を見てきてから、
「……益岡ってやっぱ男が怖いの?」
「やっぱ、って、言うなよ……」
と俺は俯いてしまった。だって図星だったから。
そう、俺は男が怖い。
だって、だって、と思ったその時だった。
「せめて男友達の一人や二人いたほうが良いと思うけどなぁ」
と何か菩薩というか、優しい笑顔でそう言った佐藤さん。
何か、こっからイジられまくると思っていたのに、拍子抜けしてしまった。前もこんな時あったような。
まあいいか、
「その、だから俺は言えないから、佐藤さんの陽キャパワーで」
「さすがにあういう訳分からん輩に正当な理由無く突っかかれないって」
「そっか、そうだよなぁ」
と会話した後、また鑑賞会に戻ってまた地獄……否、もはや天国だった。ちょっと興奮してしまった……否、だいぶ興奮したし、軽く勃起もした。
自宅に戻ったところで、両親は二人で出掛けるという置き手紙があったので、急いでオナニーすることにした。
でも今日はあえてイヤホンを付けて、さっきまでと同じ状況で、かつ、同じ動画でシコることにした。
何かもうさっきの空間(空気感)ごとシコりたい気分になっているからだ。
池橋栄子がフラフープで遊んでいるシーンが特にすごかった。
佐藤さんが「何でも揺れと直結するし」とか「というか益岡って池橋栄子と直結したいん? 入れたいん?」みたいなイジりもされて、完全に目覚めた瞬間だった。
池橋栄子が腰を揺らしてフラフープを回しつつ、上半身の胸もすごい揺れている。
真っ白い水着って、つまりはブラジャー似を想定していて、何か青空の下でブラジャーで(本当は違うけども)フラフープって、本当にグラビアアイドルの動画でしかなくて、でもそれが妙に興奮して。
こんな青春送りたかったなと思いつつ、こんな青春は存在しないんだよなと考えつつ。
でも、でもというかもう、シコる手は止まらないといった感じだ。
ここで佐藤さんの声がリフレインしていく。
「フラフープって健全そうだけども、映像はエロいし」
「これだと益岡がどこでもシコれるし」
「益岡って毎日こういうの見てるんだぁ」
「利き手はもう筋肉質じゃないのぉ?」
いく……!
ティッシュの中には大量の精子が入ったけども、まだやり足りない。
俺は即座に二回戦へ突入した。
シーンがちょっと変わって、池橋栄子がカウガールの恰好をしている。
俺はこのカウガールという恰好がめっちゃ好きだ。
何か分からんけども、細胞レベルで喜んでいることが分かる。
西部っぽいモノに憧れなんて一切無いけども、この妙なアメリカ感って、俺好きなんだよなぁ。
さっきまで使っていたフラフープに紐をつけて、ぶんぶん回している。
また佐藤さんの囁きが聞こえてくるようで。
「カウガールってどこがいいの? でも何かエロい感じもするし」
「もしかすると益岡ってこういうのいいんだぁ、意外かも」
「振り回すだけでも揺れてるって感じぃ」
「というかもしかするとこの時は脇見てる感じ?」
「全身堪能してるんだぁ」
全身堪能しているって……! そうだよ! その通りだよ! 池橋栄子の全てでシコってるんだよ!
うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
出るぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!
……あっ、あっ、あぁっ、あー、あっ、あっ、あっ、止まらない……ドピュが止まらない……くぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう、気持ち良いぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
母音が止まらない。母音て。またボイン……もう一発いくか!
ちょっとマジで止まらない。
イヤホンの中の音。
池橋栄子の吐息。
佐藤さんの言葉。
あのさっきまでの状況。
好きなグラビアアイドルの動画を見ながら、黒ギャルから罵られつつも、一緒に鑑賞して。
こんな、あんな、あぁ、天国過ぎるかもしれない。
もう完全に目覚めた。
俺は佐藤さんの奴隷でいい。
ずっとこんなことしてくれるなら、それでいい。
オナニー最高だ。
俺はセックスなんてしなくていい。
ずっとずっと、こういうオナニーだけをしていたい。
うぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!
三回目なのに早い!
気持ち良過ぎる!
出るぅぅうううううううううううぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ぐぁぁぁっ! あっ! あっ! あぁぁぁあああああ! ぁっ! ぁっ! ぁっ! ぁぁぁあああああああああああああああああああああ! あ、あ、あ、あ、あ……すげぇ……。
知ってる。
陳腐だって。
俺の脳内は陳腐過ぎるって。
表現が雑だって。
でもリアルで必死にオナニーしてんだもん。
バカみたいになるのは当然じゃん。
というかマジですごい量が出た……部屋の換気しないとダメだな。
シコティッシュは一旦ベランダに出して、太陽の光で消臭と共に乾かそう。
あーぁ、あーぁ、あっ……これも、オナニー日記しないとダメなのか? というかそうだ、やっぱダメだったかも。佐藤さんと鑑賞していた動画でオナニーするって。完全にあの時、オナニーしたかったと同義じゃん。女子と一緒にいて、オナニーしたくてしたくてたまらなかったヤツということと完全に同義じゃん。いやまあそういうことだったんだけども、そうだということが完全にバレてしまうのはまた別で。うわうわうわ、ヤバイことしたかも。言葉がどんどん脳内に溢れていく。どうしよう。さすがにオナニー日記、嘘をつきたい。しかも帰ってきてすぐ三回って。絶対変態だと思われる。でもここで嘘ついて、もし仮にバレてしまったら……さすがに学校でオナニーしていた写真をバラまかれるのは異次元だ。やっぱりここは嘘をつくことができない……と思いつつも。
ここは冷静に。と思いつつも。
もうこんなことをしていた自分を佐藤さんにバレたい自分もいるのではないか。
佐藤さんに言葉責めされたいのではないか。
いやいや尊厳。
自尊心。
でももうそんなものは無くて。
一緒にグラビアアイドルの動画を鑑賞していた時の脳と心臓が同時に熱くなるような。
炎天下の日差しの中に立っていて、ボヤァとしてくるような感覚に似ていて。
熱中というか熱射病というか、もうオナニー中毒なんだろうな、俺は。
もう佐藤さんからのLINEの文字でもシコれそうだ。
それをオナニー日記で送ったら……それはキモがられるから、さすがにしないけども。
……まあLINE、送るか。
『池橋栄子がフラフープをしたり、カウガールになったシーンで三発出しました』
すぐに既読がつき、返信も返ってきた。
『マジ!? あーしと鑑賞してたヤツだよね! もうあの時からたまらなかったんだ!』
もうここは正直に答えたほうが”ご褒美だ”という思考になっていて、
『正直めっちゃシコりたかった』
と答えると、矢継ぎ早に佐藤さんが、
『それはあーしの副音声アリで?』
と核心を突いてきたので、ここはもう観念しようと思って(というかこういう文章が送られてきている時点で向こう側もそうだと自信があるだろうし)。
『そう、何か佐藤さんの声もリフレインして』
『えっろぉ!!!!!』
という返信のあともすぐにまた佐藤さんのLINEが連続で届いて、
『変態過ぎ! 益岡ってホントえろいんだね! すごいね!』
と書かれて、何かもう完全に褒められた気分になってしまった。すごいって言ってくれたし。
あぁ、もう、これでいい、俺の青春ってこうなんだ、マジで目覚めたから気持ちが良い。
また佐藤さんからLINEがきて、
『あーしでオナニーしてるということになるんじゃね? ウケる!』
ウケてくれるならもうこれ以上無い幸せ……って、完全に調教されてしまった感じがする。でもそれがたまらなく心地良い。
『ねぇ あーしでオナニーしてましたって送ってきてよ 真実ならさ』
そんな、あえて書かせるなんて……もう、指が止まらない……。
『佐藤さんでオナニーしてました すみません』
と送ると一瞬で返信がきて、
『謝んなくていいし! じゃあ休日は毎回鑑賞会する?』
うわぁぁああ、有難き幸せ……もう本当に奴隷だ、でももうそれでいい、完全にハマってしまった。
佐藤さんとの鑑賞会後のオナニー、これから毎週できるってことかよ。最高過ぎる。
その後、そんな予定を立てて、LINEはつつがなく終了した。
・【09 事件4.子供が転ぶ・事件編】
・
『明日、海浜公園のテーブルに集まって、益岡のオカズ鑑賞会しようや』
地獄のようなLINEが届いた。
何で、俺の、オカズを、佐藤さんと、鑑賞しないと、いけないんだぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!
逆に勃起しそうになったじゃねぇか!
マジか、明日ってもう普通に土曜日だし、休日だし、休日にまで佐藤さんと一緒にいないといけないなんてマジかよ。
俺は一応、
『予定がある』
と嘘をつくと即座に、
『バラまくけどね 来ないと 手始めに 伊織に見せようかな』
『それは待ってください。伊織さんを巻き込まないでください』
すぐに返信してから、
『行きますから。予定もありませんでした、やっぱり』
『だろうね じゃあスマホ持ってこい』
その後、時間帯の指定も行なわれて、俺はボンヤリと窓の外を見るだけの物体となった。
休日まで抑えられるとは……もう俺もいよいよだなってね……。
次の日、午前十時。
海浜公園の、あの屋根のあるテーブルとベンチの元へ行くと、もう佐藤さんがいた。
最初の時と同じような座り位置。
佐藤さんの奥を見れば浜が見えて、俺の後ろには芝生なのか雑草なのかよく分からないけども、緑が生い茂って、子供から大人までまったり過ごしている。
人によっては優雅にバドミントンしている人や、もう遊び終えたあとなのか、フラフープや縄跳びを隣に放置して何もせずにダラっとスマホをイジっている集団もいる。
いいなぁ、いいなぁ。
俺 は こ れ か ら オ カ ズ 鑑 賞 会 で す 。
「つーわけで益岡、スマホでそのよく見てる池橋栄子とやらを見させてくれよ」
「別に。DMMで調べたら出てくるけども」
「いやぁ、あーしはそういうの疎いからさぁ」
知ってるくせに。
いやもういいんだ、俺はどうせ佐藤さんの奴隷なんだ。
DMMアプリを起動したスマホをそのまま渡すと、すぐさま笑い声が聞こえてきた。
「うわっ! 池橋栄子って人しか動画無いじゃん! 全部同じ人! こういうのっていろいろ見れたほうが良くね?」
「いいんだよ、俺は池橋栄子が好きなんだから」
「もうストーカーだし!」
「そんなんじゃないわ、別に」
「早速見てみようっと」
「あっ、音量!」
DMMアプリは前に見ていたところからスタートするため、
「あっ! くすぐったいよぉ!」
池橋栄子の声が響いたと同時に俺はスマホを奪い返して、音量を下げた。
俺は佐藤さんがどんな反応をしているか、顔を見ると、俯いていて。
「ぶふ」
一瞬オナラと思ったその破裂音は、佐藤さんの口から出たものだった。
「ふふふふふふふふふふふふふふっ! あっ!」
と言った時に佐藤さんは顔を上げた。
その表情は恍惚でもあり、また目の前の存在をバカにしていい存在だと信じ切ったような笑顔で、
「くすぐったいよぉぉおおおおおお?」
と軽く池橋栄子の声真似をしながら、そう俺に言い放ってきた。
ヤバイ、イジられている……完全にイジられている……えっと、
「くすぐったくは、ないでしょう……」
と何か訳分からん言葉を言ってしまうと、そこから佐藤さんは壊れた録音機械のように、
「くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ!」
と連呼し始めて、何か、俺のプライドは勿論、俺の中の池橋栄子像もドロドロに溶けていくような感覚がして、それ以上聞いたらもうトラウマになると思って、
「や! やめろ!」
とテーブルを叩きながら、立ち上がったんだけども、佐藤さんは止まることなく、
「くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ! くすぐったいよぉ!」
と言い続けて、もうダメだ、頭がおかしくなると思ったところで、後ろから聞いたことのある声で、こう聞こえてきた。
「本当に、佐藤さんと益岡くんって仲良いんですね。くすぐり合っているんですか?」
佐藤さんはギョッとした表情で顔を固まらせて、俺は後ろを振り返ると、そこには伊織さんが小さな子供と手を繋ぎながら立っていた。
伊織さんが続けて、
「外でイチャついているって、ホントにもう」
と呆れるような顔でそう言った。
いや、
「別に、くすぐってなんか、ないでしょう。ほら、距離あるし」
「でもさっきから佐藤さんが」
すると佐藤さんは顔を真っ赤にしてから、
「ギャグで言っていただけ! というかその子、何!」
と小さい子供のほうを指差して、別の話に持ってこうとしている意図をすぐに感じたので、俺としてもそっちのほうが都合が良いので、
「えっ? 弟? ボール持ってるし、今から一緒に遊ぶのか?」
伊織さんの弟と思われる子は急に指を差されたからだろう、ササッと伊織さんの陰に隠れた。
伊織さんは弟のほうをチラリと見てから、こっちを見て、
「そうだよ、年の離れた弟がいるんだ。じゃあね、あんま変なハッスルを外でしないほうがいいよっ」
と言って、その場を去った。
伊織さんが芝生のほうへ行ったことを見届けてから、佐藤さんが、
「マジで……まあもういいか、飽きたし」
と言ってくれて、助かったと思った。本当に伊織さんには感謝の意を。
というか飽きたのなら、と思いながら、
「じゃあそろそろ帰るか」
「いや、こっからイヤホンでマジ鑑賞会な」
と言ってイヤホンを取り出した佐藤さん。
いやマジかよ。
というかグラビアアイドルの動画を女子と鑑賞って、逆に……否、場合によっては本気で勃起しちゃうじゃん……。
「じゃイヤホン片方ずつ」
と言って俺に手渡してきて、もうマジでこれからそんなことするんだ、と思ったが、こっちには拒否する権利も無いので、言われるがまま一緒にグラビアアイドルの動画を見始めるしかない。
すると佐藤さんが、
「ちょっと遠いな、隣座れし」
と言ってきて、何か佐藤さんと肩を寄せ合いながら見ることになってしまったし、恥ずかしいというかもうこんなん新しい性癖に目覚めるだろ。
「うわっ、というかめっちゃ巨乳じゃん。やっぱ益岡、巨乳好きなんだぁ。伊織も巨乳だしなぁ」
「やっぱ、ってなんだよ。別にいいだろ。伊織さんはマジで関係無いしさ」
そこからは二人でグラビアアイドルの動画を見る。
ずっと佐藤さんが「でっか」とか「揺れるねぇ」とか「このアングルヤバいし」とか結構喋る。
俺は黙ることしかできないが、時折佐藤さんが俺のほうを見てきてニヤニヤして、何かもう、目覚めたかもしれない。
そんな時だった。
「うわぁぁああああああああああん!」
子供の泣く声が聞こえて、そちらに目をやると、なんと伊織さんの弟が転んだみたいで、ちょうどアスファルトになっている部分に膝をすりむいていた。
伊織さんの弟はフラフープや縄跳びを隣に放置して何もせずにダラっとスマホをイジっている集団の近くで転んでいて、どうやら状況的にフラフープに足を引っかけて転んだっぽい。
「なんっすか、なんっすか」
スマホをイジっているヤツがそのスマホを構えたまま、その弟のほうを向いたことに違和感を抱いた俺は、すぐに伊織さんの弟に駆けつけた佐藤さんとは別に、そのスマホをイジっているヤツの後ろをとって、何を見ているのか見てみると、なんとカメラで録画しているっぽくて、俺は『うっ!』と声を上げそうになってしまった。
何なんだコイツと思いつつ、俺は改めて伊織さんの弟のほうに行くと、伊織さんもやって来て、
「大丈夫! マサヒロっ!」
と弟さんに手を差し伸べた。
「まず傷口を洗ったほうがいいかもです。俺、マサヒロくんを背負って移動していいですか?」
と伊織さんに言うと、
「うん! お願い益岡くん!」
となって、三人でさっさと蛇口のあるほうへ移動した。
「染みるけども我慢して。ほら、伊織さんが洗ってあげて。俺のような部外者がマサヒロくんの傷口を払うことはできないから」
と伊織さんに言うと、伊織さんは頷いてから、
「大丈夫、大丈夫だよ、マサヒロ」
と言いながらマサヒロくんの傷口を軽く洗ってから、伊織さんが肩に掛けていたバッグから絆創膏を取り出して、付けてあげた。
まあこれで一応は大丈夫かと思っていると、伊織さんが、
「素早い対応、益岡くん、有難うございます。やっぱり頼りになるなぁ」
と感嘆の息を漏らしてくれて、何か自己肯定感が上がっていると、佐藤さんが、
「まあマサヒロくんが男子で良かったね、益岡は手つきがエロいから」
と急に訳の分からんこと言い出して、伊織さんは顔真っ赤っか。
俺は何かもうこの場に居られなくなって、
「じゃ! この辺で!」
と言いながら走り去ろうとすると、
「だーめぇ、あーしと一緒」
と言いながら俺の袖を掴んできて、俺は佐藤さんとまたさっきまでいたテーブルに戻ることになった。
戻ってから、俺は佐藤さんへ、
「マジで変なこと言わないで。嘘じゃん、それは」
「じゃあホントのことのほうが良かった? 学校でオナニーしていたって」
「それはマジで言わないでっ」
「へへへへっ、どうかなぁ?」
あぁ、俺って一生遊ばれるんだ……の、前に、
「そう言えば、あのスマホイジっていた連中、カメラでマサヒロくんのこと撮っていたよ」
「マジで? 偶然ってこと?」
「まあそうなんだろうけども」
「人が転ぶところとか滑稽で面白いからバズるかもなぁ」
「アップロードしないでほしいって、あの、言ってきてよ」
すると佐藤さんはじっと俺の瞳を見てきてから、
「……益岡ってやっぱ男が怖いの?」
「やっぱ、って、言うなよ……」
と俺は俯いてしまった。だって図星だったから。
そう、俺は男が怖い。
だって、だって、と思ったその時だった。
「せめて男友達の一人や二人いたほうが良いと思うけどなぁ」
と何か菩薩というか、優しい笑顔でそう言った佐藤さん。
何か、こっからイジられまくると思っていたのに、拍子抜けしてしまった。前もこんな時あったような。
まあいいか、
「その、だから俺は言えないから、佐藤さんの陽キャパワーで」
「さすがにあういう訳分からん輩に正当な理由無く突っかかれないって」
「そっか、そうだよなぁ」
と会話した後、また鑑賞会に戻ってまた地獄……否、もはや天国だった。ちょっと興奮してしまった……否、だいぶ興奮したし、軽く勃起もした。
自宅に戻ったところで、両親は二人で出掛けるという置き手紙があったので、急いでオナニーすることにした。
でも今日はあえてイヤホンを付けて、さっきまでと同じ状況で、かつ、同じ動画でシコることにした。
何かもうさっきの空間(空気感)ごとシコりたい気分になっているからだ。
池橋栄子がフラフープで遊んでいるシーンが特にすごかった。
佐藤さんが「何でも揺れと直結するし」とか「というか益岡って池橋栄子と直結したいん? 入れたいん?」みたいなイジりもされて、完全に目覚めた瞬間だった。
池橋栄子が腰を揺らしてフラフープを回しつつ、上半身の胸もすごい揺れている。
真っ白い水着って、つまりはブラジャー似を想定していて、何か青空の下でブラジャーで(本当は違うけども)フラフープって、本当にグラビアアイドルの動画でしかなくて、でもそれが妙に興奮して。
こんな青春送りたかったなと思いつつ、こんな青春は存在しないんだよなと考えつつ。
でも、でもというかもう、シコる手は止まらないといった感じだ。
ここで佐藤さんの声がリフレインしていく。
「フラフープって健全そうだけども、映像はエロいし」
「これだと益岡がどこでもシコれるし」
「益岡って毎日こういうの見てるんだぁ」
「利き手はもう筋肉質じゃないのぉ?」
いく……!
ティッシュの中には大量の精子が入ったけども、まだやり足りない。
俺は即座に二回戦へ突入した。
シーンがちょっと変わって、池橋栄子がカウガールの恰好をしている。
俺はこのカウガールという恰好がめっちゃ好きだ。
何か分からんけども、細胞レベルで喜んでいることが分かる。
西部っぽいモノに憧れなんて一切無いけども、この妙なアメリカ感って、俺好きなんだよなぁ。
さっきまで使っていたフラフープに紐をつけて、ぶんぶん回している。
また佐藤さんの囁きが聞こえてくるようで。
「カウガールってどこがいいの? でも何かエロい感じもするし」
「もしかすると益岡ってこういうのいいんだぁ、意外かも」
「振り回すだけでも揺れてるって感じぃ」
「というかもしかするとこの時は脇見てる感じ?」
「全身堪能してるんだぁ」
全身堪能しているって……! そうだよ! その通りだよ! 池橋栄子の全てでシコってるんだよ!
うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
出るぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!
……あっ、あっ、あぁっ、あー、あっ、あっ、あっ、止まらない……ドピュが止まらない……くぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう、気持ち良いぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
母音が止まらない。母音て。またボイン……もう一発いくか!
ちょっとマジで止まらない。
イヤホンの中の音。
池橋栄子の吐息。
佐藤さんの言葉。
あのさっきまでの状況。
好きなグラビアアイドルの動画を見ながら、黒ギャルから罵られつつも、一緒に鑑賞して。
こんな、あんな、あぁ、天国過ぎるかもしれない。
もう完全に目覚めた。
俺は佐藤さんの奴隷でいい。
ずっとこんなことしてくれるなら、それでいい。
オナニー最高だ。
俺はセックスなんてしなくていい。
ずっとずっと、こういうオナニーだけをしていたい。
うぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!
三回目なのに早い!
気持ち良過ぎる!
出るぅぅうううううううううううぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ぐぁぁぁっ! あっ! あっ! あぁぁぁあああああ! ぁっ! ぁっ! ぁっ! ぁぁぁあああああああああああああああああああああ! あ、あ、あ、あ、あ……すげぇ……。
知ってる。
陳腐だって。
俺の脳内は陳腐過ぎるって。
表現が雑だって。
でもリアルで必死にオナニーしてんだもん。
バカみたいになるのは当然じゃん。
というかマジですごい量が出た……部屋の換気しないとダメだな。
シコティッシュは一旦ベランダに出して、太陽の光で消臭と共に乾かそう。
あーぁ、あーぁ、あっ……これも、オナニー日記しないとダメなのか? というかそうだ、やっぱダメだったかも。佐藤さんと鑑賞していた動画でオナニーするって。完全にあの時、オナニーしたかったと同義じゃん。女子と一緒にいて、オナニーしたくてしたくてたまらなかったヤツということと完全に同義じゃん。いやまあそういうことだったんだけども、そうだということが完全にバレてしまうのはまた別で。うわうわうわ、ヤバイことしたかも。言葉がどんどん脳内に溢れていく。どうしよう。さすがにオナニー日記、嘘をつきたい。しかも帰ってきてすぐ三回って。絶対変態だと思われる。でもここで嘘ついて、もし仮にバレてしまったら……さすがに学校でオナニーしていた写真をバラまかれるのは異次元だ。やっぱりここは嘘をつくことができない……と思いつつも。
ここは冷静に。と思いつつも。
もうこんなことをしていた自分を佐藤さんにバレたい自分もいるのではないか。
佐藤さんに言葉責めされたいのではないか。
いやいや尊厳。
自尊心。
でももうそんなものは無くて。
一緒にグラビアアイドルの動画を鑑賞していた時の脳と心臓が同時に熱くなるような。
炎天下の日差しの中に立っていて、ボヤァとしてくるような感覚に似ていて。
熱中というか熱射病というか、もうオナニー中毒なんだろうな、俺は。
もう佐藤さんからのLINEの文字でもシコれそうだ。
それをオナニー日記で送ったら……それはキモがられるから、さすがにしないけども。
……まあLINE、送るか。
『池橋栄子がフラフープをしたり、カウガールになったシーンで三発出しました』
すぐに既読がつき、返信も返ってきた。
『マジ!? あーしと鑑賞してたヤツだよね! もうあの時からたまらなかったんだ!』
もうここは正直に答えたほうが”ご褒美だ”という思考になっていて、
『正直めっちゃシコりたかった』
と答えると、矢継ぎ早に佐藤さんが、
『それはあーしの副音声アリで?』
と核心を突いてきたので、ここはもう観念しようと思って(というかこういう文章が送られてきている時点で向こう側もそうだと自信があるだろうし)。
『そう、何か佐藤さんの声もリフレインして』
『えっろぉ!!!!!』
という返信のあともすぐにまた佐藤さんのLINEが連続で届いて、
『変態過ぎ! 益岡ってホントえろいんだね! すごいね!』
と書かれて、何かもう完全に褒められた気分になってしまった。すごいって言ってくれたし。
あぁ、もう、これでいい、俺の青春ってこうなんだ、マジで目覚めたから気持ちが良い。
また佐藤さんからLINEがきて、
『あーしでオナニーしてるということになるんじゃね? ウケる!』
ウケてくれるならもうこれ以上無い幸せ……って、完全に調教されてしまった感じがする。でもそれがたまらなく心地良い。
『ねぇ あーしでオナニーしてましたって送ってきてよ 真実ならさ』
そんな、あえて書かせるなんて……もう、指が止まらない……。
『佐藤さんでオナニーしてました すみません』
と送ると一瞬で返信がきて、
『謝んなくていいし! じゃあ休日は毎回鑑賞会する?』
うわぁぁああ、有難き幸せ……もう本当に奴隷だ、でももうそれでいい、完全にハマってしまった。
佐藤さんとの鑑賞会後のオナニー、これから毎週できるってことかよ。最高過ぎる。
その後、そんな予定を立てて、LINEはつつがなく終了した。