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・【24 事件12.そもそも】
・
そもそも、何で俺はオナニーしていることがバレたんだ?
誰もいないところで、隠れてオナニーしたはずなのに。
元々つけられていた? 何で? そんなに俺がオナニーしそうだった? そんなことあるぅ?
というか今までの佐藤さんの言動を合わせると、もしかすると、俺コミュ障でそういう機微には全く疎かったけども、つまりは、そういうことなんじゃないか?
LINEは送った時点で、相手のスマホへ頭の文章が何文字か通知される。
またそれ以外にも既読をつけずに読む方法みたいなのもあると、ネットで調べている時に知った。
まあどっちにしろ、最初の文字は見えているわけだから、初めから核心を突くか。
細かく、何度も送ってさ。
佐藤さんが確実に家にいる時間帯、今までのやり取りの統計で、午後九時前後から、俺はLINEすることにした。
・
・
・
『俺のこと、好きなんでしょ?』
『オナニー見たの、ついてきたから?』
『俺のストーカーだったのでは?』
『俺の自尊心削ってさ』
『自分以外の女子へ行く気をさ』
『失わせたかったんじゃないの?』
『だから伊織さんには色々言って』
『池橋栄子と近くなったら悪評流して』
『俺のこと、好きなんでしょ?』
と書いた瞬間に、LINEが鳴った。
電話のマーク。
そう言えば、LINEで電話したことってあんま無いなと思いつつ、電話に出ると、
「あぁぁあああああああああ! そうだよぉぉおおおおおおおおおおお! あーしは益岡のことが大好きだし! ホントに大好きで! ずっとあーしのモノでいてほしいし!」
「じゃあ池橋栄子のことは気にしないで。本当に全て終わったからさ」
「あぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ! あぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「ただ叫ばれても」
何か妙に冷静に喋ることができている。
向こうが取り乱し過ぎているからだ。
こういう時は片方が淡々とするもんだ。
「好きだし! 大好きだし! ゴメン! ホントにゴメン! ……んんっ」
急に鼻声になった佐藤さんは小さな声で、こう言った。
「許して……ゴメンなさい……あーし以外に取られそうになったのが嫌で……あーしだけの益岡になってほしいしぃ……」
しおらしい声でそう嘆いた佐藤さん。
じゃあそうだなぁ、
「許すよ。じゃあ明日から高校で思い切り喋ろうよ、女子からの不快感って結局女子しか払拭できないからさ。俺と恋人同士で会話しよう」
「恋人同士……ホントぉっ? 嘘じゃないよねぇぇえええええええええ!」
「嘘じゃないから。俺は段々佐藤さんのこと、好きになっていったし」
「良かった……良かったぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!」
そこからずっと佐藤さんから”好き好き”言われた。
まあ明日、学校で話せればいいかなって。
次の日、登校して自主勉していると、後ろから声がした。
「益岡! おはよう!」
振り返るとそこには満面の笑みの佐藤さんが立っていて、でもだ、調子がいいなぁ、とは思ってしまう。
「あーしも好きって言うから、益岡も好きって言ってほしいし!」
と腕を広げてそう言ってきた佐藤さん。いや人前で……否、人前でやるほうがいろいろ払拭できるというものなのかな、いやハズイだろ、めっちゃ注目を既に浴びているし、そもそもって話もあるし、こういう状況になったのはって結果論過ぎだ、マジで。
本当に、本当の本当に。特にオナニー日記をバラまいたことについては。
そもそも納得いっていないんだ、そんなこと。
(了)
・【24 事件12.そもそも】
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そもそも、何で俺はオナニーしていることがバレたんだ?
誰もいないところで、隠れてオナニーしたはずなのに。
元々つけられていた? 何で? そんなに俺がオナニーしそうだった? そんなことあるぅ?
というか今までの佐藤さんの言動を合わせると、もしかすると、俺コミュ障でそういう機微には全く疎かったけども、つまりは、そういうことなんじゃないか?
LINEは送った時点で、相手のスマホへ頭の文章が何文字か通知される。
またそれ以外にも既読をつけずに読む方法みたいなのもあると、ネットで調べている時に知った。
まあどっちにしろ、最初の文字は見えているわけだから、初めから核心を突くか。
細かく、何度も送ってさ。
佐藤さんが確実に家にいる時間帯、今までのやり取りの統計で、午後九時前後から、俺はLINEすることにした。
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『俺のこと、好きなんでしょ?』
『オナニー見たの、ついてきたから?』
『俺のストーカーだったのでは?』
『俺の自尊心削ってさ』
『自分以外の女子へ行く気をさ』
『失わせたかったんじゃないの?』
『だから伊織さんには色々言って』
『池橋栄子と近くなったら悪評流して』
『俺のこと、好きなんでしょ?』
と書いた瞬間に、LINEが鳴った。
電話のマーク。
そう言えば、LINEで電話したことってあんま無いなと思いつつ、電話に出ると、
「あぁぁあああああああああ! そうだよぉぉおおおおおおおおおおお! あーしは益岡のことが大好きだし! ホントに大好きで! ずっとあーしのモノでいてほしいし!」
「じゃあ池橋栄子のことは気にしないで。本当に全て終わったからさ」
「あぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ! あぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「ただ叫ばれても」
何か妙に冷静に喋ることができている。
向こうが取り乱し過ぎているからだ。
こういう時は片方が淡々とするもんだ。
「好きだし! 大好きだし! ゴメン! ホントにゴメン! ……んんっ」
急に鼻声になった佐藤さんは小さな声で、こう言った。
「許して……ゴメンなさい……あーし以外に取られそうになったのが嫌で……あーしだけの益岡になってほしいしぃ……」
しおらしい声でそう嘆いた佐藤さん。
じゃあそうだなぁ、
「許すよ。じゃあ明日から高校で思い切り喋ろうよ、女子からの不快感って結局女子しか払拭できないからさ。俺と恋人同士で会話しよう」
「恋人同士……ホントぉっ? 嘘じゃないよねぇぇえええええええええ!」
「嘘じゃないから。俺は段々佐藤さんのこと、好きになっていったし」
「良かった……良かったぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!」
そこからずっと佐藤さんから”好き好き”言われた。
まあ明日、学校で話せればいいかなって。
次の日、登校して自主勉していると、後ろから声がした。
「益岡! おはよう!」
振り返るとそこには満面の笑みの佐藤さんが立っていて、でもだ、調子がいいなぁ、とは思ってしまう。
「あーしも好きって言うから、益岡も好きって言ってほしいし!」
と腕を広げてそう言ってきた佐藤さん。いや人前で……否、人前でやるほうがいろいろ払拭できるというものなのかな、いやハズイだろ、めっちゃ注目を既に浴びているし、そもそもって話もあるし、こういう状況になったのはって結果論過ぎだ、マジで。
本当に、本当の本当に。特にオナニー日記をバラまいたことについては。
そもそも納得いっていないんだ、そんなこと。
(了)