「お前さあ、この成績……4がついてる教科、全部、『思考・判断・表現』がBになってない……?」
「……え?」
 思考・判断・表現……?
 大雅は、ハハハ、と笑った。
「確かに、お前ってクソ真面目だけど、機転が効くとかそういうタイプじゃないよな」
「な、なんだと?」
「間宮大雅くーん」
「ごめん、呼ばれたわ」
 大雅が、俺の耳に顔を近づける。
「俊太って、天才的に、結構考えるの得意だったりするから、俊太の動きをよく見るといいかもよ」
 ……何を。何を言っているんだ?
「大雅ー?」
「は、はい今行きまーす」
 思考・判断・表現……。
 そうか!
 各教科、「知識・技能」「思考・判断・表現」「学びに向かう力・人間性など」の観点が用意されている。
 その3つの観点が全てAになって初めて、内申が「5」になる。
 音楽、理科、数学、体育は全て、「思考・判断・表現」にBがついている。
 なるほどな。
 つまり、音楽、理科、数学、体育の「思考・判断・表現」の観点をAに塗り替えれば!
 そうすれば、オール5が狙える……!
 でも、どうすれば……。
 思考・判断・表現って、どんな観点だろうか。
 思考。何かを考える力。
 判断。何かを判断する力。
 表現。何かを表現する力。
 その3つを伸ばすことを意識して、2、3学期を過ごせばいいってことか……。
『俊太の動きをよく見るといいかもよ』
 確かに、俊太がたまに天才的な発想をするって思う時はあるよな……。
 俊太、か……。俺にはなくて、俊太にはあるものが、「思考・判断・表現」の力なのかな……。