「あっと! その前に二人に食べてもらいたいものがあるんだ!」
「ええ!? 何でしょう! わたくし、アマルさんが作ったものなら何でも食べたいです!」
クルックスは飛び上がってワクワクしている。マッシュを探しにこっそり出ていこうとしていたことをすっかり忘れて、真珠も体を乗り出した。
「何? いったい何を食べさせてくれるの?」
アマルが急ぐ足をわざと抑えるようにして、いそいそと保冷庫まで行った。もじもじしているようにも見える。扉を開けると、冷やしてあるトレイを取り出して二人に見せた。
「ジャジャーン! フランクゼリー!!」
そう言って見せられたのはなんと、フランクの形に模られた白いクジラ型ゼリーだった。
トレイの上に、小さな白クジラのゼリーが二つ冷やされていた。雲を模った白いクリームも添えられている。
「ああ! ああ!」
クルックスは感動のあまり、それ以上言葉が出ない。
「すごい! いつの間に!?」
「昨日、あんたたちにアガアガを混ぜてもらってただろ? あれにミルクとメープルシュガーを混ぜて冷やしたものが、あたしの店の定番メニューのミルクゼリーなんだ。あんまり量が作れないから普段は小さめのカップに入れて売ってるんだよ。あんたたちが二階に上がった後でお父ちゃんからあんたたちのことを聞かされてね。喜んでもらえるかと思って昨日お父ちゃんと徹夜で型を作ったのさ」
――昨日? ああ、夜遅く聞こえていた金属の音はきっとこれだったのね。
二人がアマルを見つめると、アマルは照れたように鼻を擦った。
「こんなゼリーがお店に並んでたらワクワクしてしまいますね!」
「おっ! その案いただきだな! 今から仕込んで冷やせばいくつかは店に出せるしな!」
「わたくしがんばります!」
「わたしも!」
さらにアマルは洗い場から何かをよいしょっと持ち上げた。
「それからな! 実はまだあるんだ。ほら!」
それは真珠の顔よりも大きいクジラの型枠だった。中は空だ。
「わあ!」
「こ、これはまたすごい♪」
「こっちはフランクに食べてもらおうと思って作ったんだぜ。型から出す時がかなり大変だったんだけどな! 朝お父ちゃんと二人で格闘しちまったよ」
アマルが笑う。その型枠のあまりの大きさに真珠もクルックスも驚いて笑った。
大きなフランクゼリーは、ノランが持って朝出ていた。
真珠とクルックスは、食べるのがもったいないとしきりに繰り返しながらフランクゼリーを食べた。
フランクゼリーはしっかりとしているのに、ものすごく柔らかい。その舌触りはほんのりと甘いのに、プルンと喉に飲み込むと、濃厚な甘い香りが体の奥に伝わってくる。美味しい!
――やっぱりアマルさんはお菓子作りの天才だ!
二人ともそう思った。
「よし! それじゃあ始めるか!」
三人は賑やかにおしゃべりしながら仕込みを続けた。
開店後も二人はしっかりとお店を手伝い、昼頃までにはいくつかのフランクゼリーもお店に並べられていた。
アマルのミルクゼリーは、普段はショーケースの下段左端にひっそりと置かれているらしい。真珠が理由を聞くと、あまり売れても困るからと、アマルは答えた。
アマルは、白クジラを模った今日のスペシャルゼリーをその右隣にいそいそと陳列し、ショーケースを表から眺めて満足そうに肯いた。アマルが嬉しそうに厨房に戻ってくる。大きな声で真珠たちに言った。
「よし! じゃんじゃん作ろう! 型の数がないからゆっくりしか作れないけどな」
その時、店のドアにつけられたベルがカランコロンと鳴り、お客さんが入ってきた。
「いらっしゃーい!」
そう言ってアマルは店内へ戻っていった。
「ええ!? 何でしょう! わたくし、アマルさんが作ったものなら何でも食べたいです!」
クルックスは飛び上がってワクワクしている。マッシュを探しにこっそり出ていこうとしていたことをすっかり忘れて、真珠も体を乗り出した。
「何? いったい何を食べさせてくれるの?」
アマルが急ぐ足をわざと抑えるようにして、いそいそと保冷庫まで行った。もじもじしているようにも見える。扉を開けると、冷やしてあるトレイを取り出して二人に見せた。
「ジャジャーン! フランクゼリー!!」
そう言って見せられたのはなんと、フランクの形に模られた白いクジラ型ゼリーだった。
トレイの上に、小さな白クジラのゼリーが二つ冷やされていた。雲を模った白いクリームも添えられている。
「ああ! ああ!」
クルックスは感動のあまり、それ以上言葉が出ない。
「すごい! いつの間に!?」
「昨日、あんたたちにアガアガを混ぜてもらってただろ? あれにミルクとメープルシュガーを混ぜて冷やしたものが、あたしの店の定番メニューのミルクゼリーなんだ。あんまり量が作れないから普段は小さめのカップに入れて売ってるんだよ。あんたたちが二階に上がった後でお父ちゃんからあんたたちのことを聞かされてね。喜んでもらえるかと思って昨日お父ちゃんと徹夜で型を作ったのさ」
――昨日? ああ、夜遅く聞こえていた金属の音はきっとこれだったのね。
二人がアマルを見つめると、アマルは照れたように鼻を擦った。
「こんなゼリーがお店に並んでたらワクワクしてしまいますね!」
「おっ! その案いただきだな! 今から仕込んで冷やせばいくつかは店に出せるしな!」
「わたくしがんばります!」
「わたしも!」
さらにアマルは洗い場から何かをよいしょっと持ち上げた。
「それからな! 実はまだあるんだ。ほら!」
それは真珠の顔よりも大きいクジラの型枠だった。中は空だ。
「わあ!」
「こ、これはまたすごい♪」
「こっちはフランクに食べてもらおうと思って作ったんだぜ。型から出す時がかなり大変だったんだけどな! 朝お父ちゃんと二人で格闘しちまったよ」
アマルが笑う。その型枠のあまりの大きさに真珠もクルックスも驚いて笑った。
大きなフランクゼリーは、ノランが持って朝出ていた。
真珠とクルックスは、食べるのがもったいないとしきりに繰り返しながらフランクゼリーを食べた。
フランクゼリーはしっかりとしているのに、ものすごく柔らかい。その舌触りはほんのりと甘いのに、プルンと喉に飲み込むと、濃厚な甘い香りが体の奥に伝わってくる。美味しい!
――やっぱりアマルさんはお菓子作りの天才だ!
二人ともそう思った。
「よし! それじゃあ始めるか!」
三人は賑やかにおしゃべりしながら仕込みを続けた。
開店後も二人はしっかりとお店を手伝い、昼頃までにはいくつかのフランクゼリーもお店に並べられていた。
アマルのミルクゼリーは、普段はショーケースの下段左端にひっそりと置かれているらしい。真珠が理由を聞くと、あまり売れても困るからと、アマルは答えた。
アマルは、白クジラを模った今日のスペシャルゼリーをその右隣にいそいそと陳列し、ショーケースを表から眺めて満足そうに肯いた。アマルが嬉しそうに厨房に戻ってくる。大きな声で真珠たちに言った。
「よし! じゃんじゃん作ろう! 型の数がないからゆっくりしか作れないけどな」
その時、店のドアにつけられたベルがカランコロンと鳴り、お客さんが入ってきた。
「いらっしゃーい!」
そう言ってアマルは店内へ戻っていった。