「さて諸君、それではポカの実採取に出掛けようか」

 後片付けを終えて、マッシュが言う。真珠はマッシュのハンカチを借りて、フランクの口を拭いてあげていた。

「フランクは留守番よろしくね」
「うん。みんな気をつけてね!」

 マッシュを先頭に三人は森へ向かって歩き出す。成熟したこの森にはマザーツリーはもういない。歩きながらマッシュは真珠に説明する。ポカの実をつけるポカポカの木はどこにでも生えているわけではなく、マザーが巣立った森のみに生えるのだと。

「どうしてポカポカの木はマザーがいない森にしか生えないの?」
「なぜでしょうか?」クルックスも首を傾げる。
「私も植物学者ではないから詳しくはわからないが、まあここはエルセトラだからな」

 マッシュは珍しく適当に答えた。きっと答えを知らないのだ。知らないって正直に言えばいいのに。真珠はそう思いながら、話題を変えた。

「そういえば、この森は人の住む町が近いのよね?」
「そうだよ」
「フラシアス先生が言ってたわよね。エルセトラの人間は他の種族とはあまり交流を取らないって」
「ああ。なぜかエルセトラに住む人間は、他とは交流したがらないんだ。もちろんすべてがそうでもない。ノランのような人もいる」

 クルックスは少し怯えている。

「でも、もしフラシアス先生の言うとおりなら、フランクさんは大き過ぎて町に入ることができないので論外ですが、わたくしやマッシュさん、そして異国から来た真珠さんも危ないですね」
「ブルネラの町まで行くわけじゃないのだから心配は要らないさ」

 マッシュはジェリービーンズをパクリとやった。