聖亜の家は今日も薄暗く、物音ひとつしない。でも二階に電気がついている。
僕はインターホンを押してみる。しかし反応がない。
だけどあきらめず、何度も押し続ける。
やがてカチャッと鍵が開く音がして、ドアが開いた。
「しつこい」
出てきた聖亜は僕が口を開く前に、めちゃくちゃ不機嫌顔で言った。
「あ、聖亜。あの……」
「俺、具合悪いって言っただろ? 顔見せんな! カスが!」
「ごめん。でもどうしても聞きたいことがあって……」
「嫌だ。帰れ!」
「ハルのことなんだ!」
僕の声に聖亜が、閉めようとしたドアを止める。
「聖亜が答えてくれるまで、帰らないから!」
聖亜は面倒くさそうに「ちっ」と舌打ちをすると、閉めかけたドアを開いた。
「入れよ」
意外と素直に入れてくれることに驚きつつ、僕は「お邪魔します」と言って靴を脱ぐ。
家の中は真っ暗だった。
玄関に散らかった靴や傘からはじまり、廊下にも部屋の入り口にも、ごちゃごちゃと物が置きっぱなしになっている。
どことなく嫌な匂いが漂い、一階にあるはずのキッチンも使われている様子がない。
「お、お父さんは……今日もいないの?」
背中を向けている聖亜が、もう一度舌打ちをして答える。
「知ってるんだろ? 親父がどこにいるか」
「え……」
「女のところに行ったきり、帰ってこねーんだよ」
聖亜が廊下にある段ボール箱を蹴飛ばしながら進む。
「じゃあずっと、聖亜はひとりで?」
「あんな親父、べつにいなくてもいい。仕事は上手くいってるらしくて、金だけは息子の口座に入れてくれるし」
そのわりに家の中が荒れ放題なのは、聖亜がちゃんと『生活』していないからだろう。
僕はなにも言えないまま、階段を上っていく聖亜のあとに続く。
二階に着くと、聖亜は自分の部屋に入って言った。
僕はインターホンを押してみる。しかし反応がない。
だけどあきらめず、何度も押し続ける。
やがてカチャッと鍵が開く音がして、ドアが開いた。
「しつこい」
出てきた聖亜は僕が口を開く前に、めちゃくちゃ不機嫌顔で言った。
「あ、聖亜。あの……」
「俺、具合悪いって言っただろ? 顔見せんな! カスが!」
「ごめん。でもどうしても聞きたいことがあって……」
「嫌だ。帰れ!」
「ハルのことなんだ!」
僕の声に聖亜が、閉めようとしたドアを止める。
「聖亜が答えてくれるまで、帰らないから!」
聖亜は面倒くさそうに「ちっ」と舌打ちをすると、閉めかけたドアを開いた。
「入れよ」
意外と素直に入れてくれることに驚きつつ、僕は「お邪魔します」と言って靴を脱ぐ。
家の中は真っ暗だった。
玄関に散らかった靴や傘からはじまり、廊下にも部屋の入り口にも、ごちゃごちゃと物が置きっぱなしになっている。
どことなく嫌な匂いが漂い、一階にあるはずのキッチンも使われている様子がない。
「お、お父さんは……今日もいないの?」
背中を向けている聖亜が、もう一度舌打ちをして答える。
「知ってるんだろ? 親父がどこにいるか」
「え……」
「女のところに行ったきり、帰ってこねーんだよ」
聖亜が廊下にある段ボール箱を蹴飛ばしながら進む。
「じゃあずっと、聖亜はひとりで?」
「あんな親父、べつにいなくてもいい。仕事は上手くいってるらしくて、金だけは息子の口座に入れてくれるし」
そのわりに家の中が荒れ放題なのは、聖亜がちゃんと『生活』していないからだろう。
僕はなにも言えないまま、階段を上っていく聖亜のあとに続く。
二階に着くと、聖亜は自分の部屋に入って言った。