「さぁさ、アケル様。随分と予定が押していますので、お急ぎください」
アケルとケルビムはふたり、虹の橋を渡っている。
「ねぇ、どうしておねえちゃんにあんな話したの? あれじゃ印のことが気になってモヤモヤが残っちゃうんじゃないの?」
「おや? わたくしとしたことがうっかりしておりました。また主人に叱られてしまいます」
ケルビムは頭をうなだれた。
「ドジねぇ、ケルビムは……」
「そういうアケル様こそ、なぜ楓様の記憶がないなんて嘘を?」
「わかってたの?」
アケルは立ち止まりケルビムに言った。
ケルビムも立ち止まり、アケルに振り返ると優しく言った。
「もちろんですとも。わたくしに見透かせぬものなどございません」
アケルの体が震えている。今まで我慢していた感情が爆発寸前まで達していた。
「だって……、だって……、わたしに楓の頃の記憶が蘇ってるって知ったら、かえでがつらくて別れられなくなっちゃうもん!」
アケルは声を大にしてわんわんと泣いた。
「わたしはかえでに泣いててほしくないもん! ずっと笑っててほしいんだもん!」
アケルの泣き声が虹の橋の上でいつまでもこだましていた。
「まったく……。おふたりとも手の掛かるお方たちだ……」
ケルビムはアケルの手を繋ぎ虹の橋を渡っていった。
「エデンに着けば貴女のその記憶も失われます。今のうちに、思い出せる限り彼女のことを想っておきなさい」
「ゔゔわーああーん!」
アケルの泣き声は虹の橋のたもとでいつまでもこだましていた。
アケルとケルビムはふたり、虹の橋を渡っている。
「ねぇ、どうしておねえちゃんにあんな話したの? あれじゃ印のことが気になってモヤモヤが残っちゃうんじゃないの?」
「おや? わたくしとしたことがうっかりしておりました。また主人に叱られてしまいます」
ケルビムは頭をうなだれた。
「ドジねぇ、ケルビムは……」
「そういうアケル様こそ、なぜ楓様の記憶がないなんて嘘を?」
「わかってたの?」
アケルは立ち止まりケルビムに言った。
ケルビムも立ち止まり、アケルに振り返ると優しく言った。
「もちろんですとも。わたくしに見透かせぬものなどございません」
アケルの体が震えている。今まで我慢していた感情が爆発寸前まで達していた。
「だって……、だって……、わたしに楓の頃の記憶が蘇ってるって知ったら、かえでがつらくて別れられなくなっちゃうもん!」
アケルは声を大にしてわんわんと泣いた。
「わたしはかえでに泣いててほしくないもん! ずっと笑っててほしいんだもん!」
アケルの泣き声が虹の橋の上でいつまでもこだましていた。
「まったく……。おふたりとも手の掛かるお方たちだ……」
ケルビムはアケルの手を繋ぎ虹の橋を渡っていった。
「エデンに着けば貴女のその記憶も失われます。今のうちに、思い出せる限り彼女のことを想っておきなさい」
「ゔゔわーああーん!」
アケルの泣き声は虹の橋のたもとでいつまでもこだましていた。