他の家電と一緒に見て貰ったけれど、これは何? と言われる始末。それならばと、扇風機を引っ張り出すと、これなら知っているとフーロは親指を立てた。オーソドックスな丸い面に羽が三枚ついたそれは洒落っ気より価格に引かれて買ったものだった。
扇風機が必要なほど暑くなるかはさておき、今日は洗濯日和だとシーツを洗い、布団を干す。こんなことするの何年ぶりかと思いながら、ちょっとは生活力がついたと得意げに鼻歌が混じる。
一仕事終えた気分でミント水を沢山作り冷蔵庫で冷やし、パンと残り物で昼食を済ませた頃、店の前に馬の蹄と車輪の音が聞こえ止まる。今日は定休日だけれど、知らず来てくれたのならお詫びの一言でも言おうかと扉を少し開け顔を出すと、馬車から降りたばかりのベニーが駆け寄ってきた。
「ミオ、ごめんなさい! 昨日のこと謝りに来たんだ」
唐突に言われ目をパチリとしつつ、意図が分かりミオは口元を綻ばせる。不安そうに自分を見つめるエメラルドのような瞳に、しゃがみ視線がを和せるとにこりと微笑んだ。
「気にしないでください。ベニー様はあのあと怒られませんでしたか?」
「僕は怒られなかったけれど、お母様とお父様は喧嘩していた。ねぇ、あのハーブティー、お母様のお腹にいる赤ちゃんの毒になるの?」
「なりません。絶対にならない、だから大丈夫です」
ミオが強く否定すると、ベニーはホッと息を吐いた。力んでいた肩の力が抜けたところを見ると、ここまで随分不安な気持ちで来たのだろう。
「兎に角、中にどうぞ。あれ、そちらの方は?」
立ち上がった目線の先に、十代半ばほどの可愛らしい少女が立っている。カーサスやベニーと同じ翠色の瞳をした彼女は、軽く会釈をしながらこちらにやってきた。
「初めまして、カーサスの妹のサザリンと申します。兄の無礼を詫びに参りました」
見た目よりもずっと落ち着いた雰囲気で少女は深々と頭を下げた。
ミオの方が慌て胸の前で手をひらひらと振る。
「わざわざお越しいただきありがとうございます。こちらこそ、お騒がせして申し訳ありません。それから、昨日お出ししたハーブティーがマーガレット様を害することはありませんので、ご安心ください」
「はい。義姉にもそのように伝えます。それで、兄のことについて弁解の機を与えて頂ければと思うのですが」
扇風機が必要なほど暑くなるかはさておき、今日は洗濯日和だとシーツを洗い、布団を干す。こんなことするの何年ぶりかと思いながら、ちょっとは生活力がついたと得意げに鼻歌が混じる。
一仕事終えた気分でミント水を沢山作り冷蔵庫で冷やし、パンと残り物で昼食を済ませた頃、店の前に馬の蹄と車輪の音が聞こえ止まる。今日は定休日だけれど、知らず来てくれたのならお詫びの一言でも言おうかと扉を少し開け顔を出すと、馬車から降りたばかりのベニーが駆け寄ってきた。
「ミオ、ごめんなさい! 昨日のこと謝りに来たんだ」
唐突に言われ目をパチリとしつつ、意図が分かりミオは口元を綻ばせる。不安そうに自分を見つめるエメラルドのような瞳に、しゃがみ視線がを和せるとにこりと微笑んだ。
「気にしないでください。ベニー様はあのあと怒られませんでしたか?」
「僕は怒られなかったけれど、お母様とお父様は喧嘩していた。ねぇ、あのハーブティー、お母様のお腹にいる赤ちゃんの毒になるの?」
「なりません。絶対にならない、だから大丈夫です」
ミオが強く否定すると、ベニーはホッと息を吐いた。力んでいた肩の力が抜けたところを見ると、ここまで随分不安な気持ちで来たのだろう。
「兎に角、中にどうぞ。あれ、そちらの方は?」
立ち上がった目線の先に、十代半ばほどの可愛らしい少女が立っている。カーサスやベニーと同じ翠色の瞳をした彼女は、軽く会釈をしながらこちらにやってきた。
「初めまして、カーサスの妹のサザリンと申します。兄の無礼を詫びに参りました」
見た目よりもずっと落ち着いた雰囲気で少女は深々と頭を下げた。
ミオの方が慌て胸の前で手をひらひらと振る。
「わざわざお越しいただきありがとうございます。こちらこそ、お騒がせして申し訳ありません。それから、昨日お出ししたハーブティーがマーガレット様を害することはありませんので、ご安心ください」
「はい。義姉にもそのように伝えます。それで、兄のことについて弁解の機を与えて頂ければと思うのですが」



