「ふふふ」
「ふっふふ~…」
外が真っ暗になった軽音部部室で、ニヤニヤが抑えられない俺ら5人。
「ふふっ。校長先生のズラ、ズレてたね」
「それ言ったら取り消されるやつです!!」
「でも、凄かったです」
「本当……今日くらい、自画自賛しても良くない?」
校長先生たちの前で披露したオリジナル曲『青春!恋慕唄』
曲名のセンスの無さに笑われたけれど、曲は物凄く良かったと先生全員が褒めてくれた。
勿論、校長先生にも納得して貰えたようで。文化祭のステージ発表で、軽音部の枠をきちんと用意して貰えることが決定した。
「大哉先輩、莉奈先輩。神崎、そして明梨ちゃん。本当に皆さん、ありがとうございました」
そう言って立ち上がり、深く頭を下げる。すると皆も立ち上がって、俺の頭を酷くわしゃわしゃした。
「バ~カ!! こちらこそありがとうだよ」
「柊斗1人が抱えることじゃなかったんだから。お礼なんて言うな。当然のことだろ」
5人全員で微笑み合い、「よっし、帰るぞ~」と言う大哉先輩の声で、大哉先輩と1年生は自分の荷物を持って部室から出て行った。
最後に残った、俺と戸締り当番の莉奈先輩。
鍵を持った先輩に向かってそっと手を差し出すと、同じくそっと手を乗せてくれる。そんな小さな手を撫でるように握ると、先輩は勢いよく俺の体に向かって飛び込んできた。
「柊斗くん、お疲れ様」
「莉奈先輩もお疲れ様です。でも……これからが本番です。文化祭に向けて、そしてその先の定期公演に向けて……より一層頑張るところです」
「そうだね……」
2人で小さく頷き合いながら、部室の戸締りをして外に出た。