飲み直しに選んでくれたお店は、確かに居酒屋ではあったが綺麗な個室もある居酒屋で雰囲気も良かった。その雰囲気の良さが、私の心をかき乱す。
もしかして、このあと何か起こったり…。なんて、あるわけないことに期待してしまう。期待するのは、タダだよね。だって、わざわざ声掛けてくれたんだし…。終電まで時間はもうあまりない。終電が無くなって…なんて、よくある話が起こってしまうのではないかと自意識過剰過ぎる妄想を1人でしてると
「…美優?どうかした?」
「え!?あ、なんでもないよ!ごめんちょっとボーッとしちゃって。」
「なんだよ、びっくりした。体調でも悪いのかと思って心配しちゃったよ。」
「ごめんごめん。じゃあ、飲みなおそっか。」
私の淡い期待を込めたこの言葉で2人の二次会が始まった。
お酒を飲みながら、私は弘樹に聞く。
「…ねぇ、なんでわざわざ2人で飲もうって誘ってくれたの?別にみんなで二次会行ったタイミングで話してくれても良かったのに。」
「いや、なんていうか…2人で落ち着いて話がしたかったんだよ。だから1対1が良かったって言うか…。ごめん、全然伝わらないよな。」
そう言って自分の言葉に苦笑する。
「大丈夫、何となく、伝わるから。」
「…そっか。なら良かった。俺さ、ずっと美優に謝りたかったんだ。」
「え…?」
「俺ら、受験勉強を理由に会う時間が減って、そのまま何となく別れちゃっただろ?そうじゃなくて、ちゃんと話し合いとかして別れるべきだったなって、ずっと後悔してて。でも俺、連絡先変えちゃったから改めて連絡することも出来なくて…。それを、ずっと謝りたかったんだ。」
「そう、だったんだ…。」
初めて知った。弘樹がそんな風に思っていたなんて。私は当時、彼から別れを切り出された。だからいくら忙しかったとはいえ、嫌われたと思っていたのだ。けれど、違った。弘樹もなんとなく別れを切り出しただけで、嫌いになんてなっていなかった。
でも、なんで今更それを…?いくら謝りたかったとは言え、なぜ今なのだろう。なぜ今日なのだろう。
…いまなら、また元に戻れるんじゃないのだろうか。そんな淡い期待が頭をよぎってしまう。だめだ。だめだって、期待なんかしないって決めたのに。彼を好きだった自分が、まだ好きな自分が期待してしまう。
「…私も、ずっと後悔してた。あの時にちゃんとまだ好きだったことを伝えてたら、何か変わったのかなって。…成人式の日、久しぶりに会って、すごく嬉しかった。でも、今までの空白の時間が長くて、緊張して、自信がなくて何も話しかけられなかったの。本当は、話したかった。」
「そうだったんだ…。俺もさ、あの日本当は話したかったんだ。あの日にこの話をしたかった。けど、俺も勇気が出なくて、周りのやつらと話すことに夢中になって気が付いたらもう話せなくて…。だから、今日5年ぶりに会えて話せてよかったよ。本当に。美優が同じ気持ちだって知れたことも、嬉しかった。」
そういって、彼は安心したように優しく笑った。
もしかして、このあと何か起こったり…。なんて、あるわけないことに期待してしまう。期待するのは、タダだよね。だって、わざわざ声掛けてくれたんだし…。終電まで時間はもうあまりない。終電が無くなって…なんて、よくある話が起こってしまうのではないかと自意識過剰過ぎる妄想を1人でしてると
「…美優?どうかした?」
「え!?あ、なんでもないよ!ごめんちょっとボーッとしちゃって。」
「なんだよ、びっくりした。体調でも悪いのかと思って心配しちゃったよ。」
「ごめんごめん。じゃあ、飲みなおそっか。」
私の淡い期待を込めたこの言葉で2人の二次会が始まった。
お酒を飲みながら、私は弘樹に聞く。
「…ねぇ、なんでわざわざ2人で飲もうって誘ってくれたの?別にみんなで二次会行ったタイミングで話してくれても良かったのに。」
「いや、なんていうか…2人で落ち着いて話がしたかったんだよ。だから1対1が良かったって言うか…。ごめん、全然伝わらないよな。」
そう言って自分の言葉に苦笑する。
「大丈夫、何となく、伝わるから。」
「…そっか。なら良かった。俺さ、ずっと美優に謝りたかったんだ。」
「え…?」
「俺ら、受験勉強を理由に会う時間が減って、そのまま何となく別れちゃっただろ?そうじゃなくて、ちゃんと話し合いとかして別れるべきだったなって、ずっと後悔してて。でも俺、連絡先変えちゃったから改めて連絡することも出来なくて…。それを、ずっと謝りたかったんだ。」
「そう、だったんだ…。」
初めて知った。弘樹がそんな風に思っていたなんて。私は当時、彼から別れを切り出された。だからいくら忙しかったとはいえ、嫌われたと思っていたのだ。けれど、違った。弘樹もなんとなく別れを切り出しただけで、嫌いになんてなっていなかった。
でも、なんで今更それを…?いくら謝りたかったとは言え、なぜ今なのだろう。なぜ今日なのだろう。
…いまなら、また元に戻れるんじゃないのだろうか。そんな淡い期待が頭をよぎってしまう。だめだ。だめだって、期待なんかしないって決めたのに。彼を好きだった自分が、まだ好きな自分が期待してしまう。
「…私も、ずっと後悔してた。あの時にちゃんとまだ好きだったことを伝えてたら、何か変わったのかなって。…成人式の日、久しぶりに会って、すごく嬉しかった。でも、今までの空白の時間が長くて、緊張して、自信がなくて何も話しかけられなかったの。本当は、話したかった。」
「そうだったんだ…。俺もさ、あの日本当は話したかったんだ。あの日にこの話をしたかった。けど、俺も勇気が出なくて、周りのやつらと話すことに夢中になって気が付いたらもう話せなくて…。だから、今日5年ぶりに会えて話せてよかったよ。本当に。美優が同じ気持ちだって知れたことも、嬉しかった。」
そういって、彼は安心したように優しく笑った。