1次会が終わり、皆が二次会に行く人、帰る人で別れる中、親友から声をかけられた。

「美優は二次会行くの?私は明日も仕事あるから行けないんだけど…帰るなら一緒に帰ろ!」

「んー、少しだけ二次会顔だして帰ろうかなって思ってるから、先に帰っていいよ。今日誘ってくれてありがとう。会えて嬉しかったし、すごく楽しかったよ。」

 嘘を、付いてしまった。大好きな親友に。
本当は二次会なんて行かない。元カレと、弘樹と2人で飲み直す。そんなこと言えるわけがなかった。

「そっか。美優が楽しんでくれたなら良かった〜!私も楽しかったよ!また2人でも会おうね〜!」

そう言って親友は駅へと向かって行った。

 私は不審に思われないように、道の端の方でスマホをいじっている振りをして話しかけられないようにしていた。そうしていれば、弘樹が声をかけてきた。

「ごめん、遅れた。あいつら何がなんでも俺の事二次会に連れて行こうとして聞かなくてさ。断るの大変で時間かかっちゃった。」

そう言って困ったように笑う顔は変わらなかった。

「そんなに誘われたなら、行ってくればよかったのに。」

つい、そんな嫌味な言葉が口から出る。

「いや、俺は今美優と飲みたいんだよ。あいつらとは散々飲んだからな。ゆっくり話しながら飲みたい気分なんだよ。」

 そういった彼は、お酒のせいもあり色気があってどんどんと私の心の中へと染み込んでくる。また、染まりそうになる。

「…そう。じゃあ、次のお店行こ。」

前を向いてそういうのが今の私の限界だった。

「おう!駅前に俺が気に入ってる飲み屋あるから、そこでいい?今日の美優の服装には…少し合わないかもしれないけど、」

 そういって彼は少し苦笑する。服を、ちゃんと見ていてくれた。それだけで胸が高まる。ダメだ、期待なんかしちゃだめ。

「いいよ、全然気にしないから。」

「ほんと?なら良かった!味は保証するし、居酒屋っていう居酒屋じゃないから綺麗なお店だよ。いこっか。」

そう言った彼に、まだ恋をしていることを実感してしまった。