仕事終わり。いつも通り家へ直帰し、中へ入る前にポストを確認する。
ポストの中にはありがちな広告ばかりでどれもいらないものばかり。雑に目を通していたら、ふと大事なお知らせの手紙が入っていたことに気が付く。

 同窓会のお知らせ。

 そうか、もう同窓会の時期なのか。自分が思っている時間よりも世界は早く回っているようで、自分がもう高校生というものから卒業して7年経つを感じさせられた。
 この同窓会は毎年行われていた。高校3年生の最後のクラスはみんな仲が良かったため、こうして20歳で初めての同窓会を行ってから毎年の恒例行事となっている。私は20歳の成人式後の同窓会は出ていたが、それから毎年行っている同窓会には顔を出していなかった。仕事の関係というのが勿論一番の理由だったが、他にも行きたくないと思わせるような要因があった。

 当時付き合っていた元カレの存在だ。3年生になって私が一目ぼれをした。友人の少し強引な勧めで告白をし、奇跡的にお付き合いをできた。けれど、そんな恋人関係はそう長くは続かず、受験というものをきっかけに徐々に距離が開いていきそのまましれっとお別れをしてしまった。その後卒業し、お互い別の大学に進学した。連絡先は持っていたが、連絡することはなかった。

 そんな彼を、2年後成人式で見かけたらさらにかっこよくなっていて…。それを見て、別れてしまった後悔が急に押し寄せてきた。どうしてあの時、彼のことを好きなのに「しょうがない。」という心の一言であきらめてしまったのだろう。たしかに受験勉強で距離は離れてしまった。お互い大学が決まってさらにこれから会えなくなることが分かった。それでも、好きなのには変わらなかった。
 それを、なぜ言えなかったんだろう。

 そんな後悔が押し寄せてきて、彼に声をかけることが出来ずに、その日はせっかくの同窓会も避けて終わってしまった。
その日から、自分に自信がなく、また会うことが怖いからと言い訳をしてその次の同窓会から行かなくなってしまった。

「今年は、どうしよう…。」

 会いたい友人はいる。20歳から会っていない友人たちには会いに行きたいが、やはり怖くなってしまう。彼に、まだ忘れられていない彼に会うのが怖かった。

 そんなことを考えて出席か欠席か悩んでいたら、親友から連絡が届いた。

「同窓会の連絡届いた?初回から美優(みゆ)ずっと来れてないから久しぶりに会いたいな~。仕事の予定的に今年は来れそう…?」

「今年は行けると思うよ。職場に確認してみないと分からないけど。私もみんなに会いたいからね。」

「ほんと!?やった~!じゃあ会えること祈ってるね!」

 …言ってしまった。行くか迷っていたところでこの連絡が来てしまい、つい親友に会いたいということだけを考えて返事を出してしまった。でもこれで元カレから逃げる理由は無くなった。これはある意味、私にとっては良いことなのかもしれない。