「図星、なんだね。
僕で良かったら、お姉さんの話いくらでも聞くよ?」

青年は、綺麗な瞳で私を見つめたまま真剣な表情で私を揺るがす。

「で、でも、私の話なんてつまらないし…。それに、君は私の話を聞いたって分からないことが多いよ。」

こんな若い子に心を許して愚痴を吐くなんて、大の大人がやることじゃない。何か聞いてあげるのはむしろ私の方だ。

「ふふっ、遠慮しなくていいのに。僕、こう見えて意外と大人だよ?年齢も、きっとお姉さんが思ってるより少しだけ上だと思うけど。」

「じゃあ、君はいくつなの?」

「秘密。」

青年は、口元に人差し指を添えてそう言った。
その仕草はあまりに絵になるもので、お酒の雰囲気も交わりつい見蕩れきってしまった。

「お姉さん、顔赤いよ?
お酒飲みすぎたんじゃない?」

そういう彼は心配の言葉とは裏腹に少し笑っている。
そう、お酒で顔が赤いわけじゃないのをとっくに見抜いているが、わざと私を試すように言葉を選んだのだ。

「…君、中々大人みたいだね。」

「だから言ったでしょ?僕はお姉さんが思ってるより、ずっと大人だよ。」

そういった彼は、どこかミステリアスで危険な香りがした。