初めは、やっぱり戸惑った。だって、初めての恋人が同性だなんて…。慣れないにもほどがある。ましてや相手は校内でも人気だという男だ。戸惑いがないわけない。でも、裕介は今まで恋人が出来たことがなかった俺に、何かをせかしたりすることはなく、ゆっくりと僕のペースに付き合ってくれていた。きっと本当は物足りなかったり、もどかしい思いもあっただろうに、裕介はいつも笑って「彰のペースでゆっくりやってこ。」と、そう言ってくれた。そんな優しさと笑顔に溢れた裕介に、僕はどんどんと惹かれあという間に大好きな存在になった。
なのに、どうして今このような言い合いをしているのかというと…。
「もう付き合って三か月だよー?なんで好きの一言も言ってくれないんだよ!」
そう。このやり取りは僕が未だに好きと伝えたことがないことについて不満を持たれ言及されている。でも、僕だって言いたくない理由があるから言わない。その理由も言わないのがいけないんだけど。
「…もしかして、流れで付き合って、もう好きじゃない?それとも最初からそういう意味の好きじゃなかった?」
裕介の声色が変わり、そう言われた。
「違うそんなんじゃない!」
「じゃあなんで言ってくれないの?」
「別に、言わなくたって伝わってればいいだろ…。」
「俺はちゃんと言葉で聞きたいの。もちろん好きでいてくれてるんだなってことは伝わってるよ。でも、ちゃんと伝えてほしい。」
その真剣な言葉に心が揺らぐ。沈黙が、僕らの中に訪れる。
「…ねぇ、そんなに嫌なの?」
「好きだよ。」
「え?今なんて…。」
その言葉を遮るようにがむしゃらになって伝えた。もうどうにでもなってしまえ。
「だから!好きって言ってんの!今まで言わなかったのは、こうやって一回でも好きってことを伝えたら、いつも思ってる優しいところとか、僕のペースに合わせてくれるところとか、キラッキラの笑顔で笑うところとか、そういう好きなところ全部全部気持ち溢れるの嫌だったから言わなかったのに。全部台無し…。言ったら言霊みたいに、どんどん溢れて止まらない気がしたから言わなかった、言えなかったんだよ!」
「なに、その理由…。嫌の二文字言えるくせに、好きの二文字をいうのにそんなに勇気いるのかよ…。」
裕介は、あっけにとられたような顔をしていた。鳩が豆鉄砲を食ったようとはまさにこのこと。
「そ、そうだよ!悪かったな、こんな理由で。」
ぶっきらぼうにそう答えると、裕介は愛おしそうな顔をして僕の顔を見た。
「なんだよ、その理由…。可愛すぎんだろ、反則。」
お互いの顔が、みるみる真っ赤になっていくのが分かる。
「…うるさい、。」
「なーんだ。心配して損したー。俺が思ってるよりも、俺のこと好きでいてくれたんだな。ありがとう。俺もお前のそういう素直じゃないけどすぐ顔に出ちゃうところ大好きだよ。」
そういった裕介の顔は、やっぱりまぶしすぎるほどキラキラした笑顔で、最近はもう慣れてたと思ったのに、ドキッとしてしまった。そんな裕介に手を握られ、赤くなった頬を悟られないようにしてその手を握り返した。
あんなに嫌だった「好き」というの言葉を届けることが出来ただけでこんなにも幸せな気持ちになれるなんて。今までずっと、「嫌」と返事をしていた自分が馬鹿らしくなる。
同じ二文字なのに。
その日の帰り道は、いつもよりも夕焼け空が赤く染まっている気がしたのは、きっと気のせいじゃない。
なのに、どうして今このような言い合いをしているのかというと…。
「もう付き合って三か月だよー?なんで好きの一言も言ってくれないんだよ!」
そう。このやり取りは僕が未だに好きと伝えたことがないことについて不満を持たれ言及されている。でも、僕だって言いたくない理由があるから言わない。その理由も言わないのがいけないんだけど。
「…もしかして、流れで付き合って、もう好きじゃない?それとも最初からそういう意味の好きじゃなかった?」
裕介の声色が変わり、そう言われた。
「違うそんなんじゃない!」
「じゃあなんで言ってくれないの?」
「別に、言わなくたって伝わってればいいだろ…。」
「俺はちゃんと言葉で聞きたいの。もちろん好きでいてくれてるんだなってことは伝わってるよ。でも、ちゃんと伝えてほしい。」
その真剣な言葉に心が揺らぐ。沈黙が、僕らの中に訪れる。
「…ねぇ、そんなに嫌なの?」
「好きだよ。」
「え?今なんて…。」
その言葉を遮るようにがむしゃらになって伝えた。もうどうにでもなってしまえ。
「だから!好きって言ってんの!今まで言わなかったのは、こうやって一回でも好きってことを伝えたら、いつも思ってる優しいところとか、僕のペースに合わせてくれるところとか、キラッキラの笑顔で笑うところとか、そういう好きなところ全部全部気持ち溢れるの嫌だったから言わなかったのに。全部台無し…。言ったら言霊みたいに、どんどん溢れて止まらない気がしたから言わなかった、言えなかったんだよ!」
「なに、その理由…。嫌の二文字言えるくせに、好きの二文字をいうのにそんなに勇気いるのかよ…。」
裕介は、あっけにとられたような顔をしていた。鳩が豆鉄砲を食ったようとはまさにこのこと。
「そ、そうだよ!悪かったな、こんな理由で。」
ぶっきらぼうにそう答えると、裕介は愛おしそうな顔をして僕の顔を見た。
「なんだよ、その理由…。可愛すぎんだろ、反則。」
お互いの顔が、みるみる真っ赤になっていくのが分かる。
「…うるさい、。」
「なーんだ。心配して損したー。俺が思ってるよりも、俺のこと好きでいてくれたんだな。ありがとう。俺もお前のそういう素直じゃないけどすぐ顔に出ちゃうところ大好きだよ。」
そういった裕介の顔は、やっぱりまぶしすぎるほどキラキラした笑顔で、最近はもう慣れてたと思ったのに、ドキッとしてしまった。そんな裕介に手を握られ、赤くなった頬を悟られないようにしてその手を握り返した。
あんなに嫌だった「好き」というの言葉を届けることが出来ただけでこんなにも幸せな気持ちになれるなんて。今までずっと、「嫌」と返事をしていた自分が馬鹿らしくなる。
同じ二文字なのに。
その日の帰り道は、いつもよりも夕焼け空が赤く染まっている気がしたのは、きっと気のせいじゃない。