「本当にお祭りに行くの?」

 「行くと言ってもお庭だよ?」


 今日は、星まつり。

 この村には毎年、同じ日に空から星が降り注ぐ。

 光輝く雨のように見える星が消える前に願い事をすると願い事が叶うらしい。

 去年まではずっと体調が悪くてベットで寝ていたけど、今年は外に出られるくらいの体調まで回復した。

 その代償に明日あたりは普段以上に悪くなる。

 体力、命を削っても、行きたかった。

 たとえ迷信でも、幼い私には一筋の希望だった。







 初めて外に出て見たのは空に光る満天の星空だった。


 「エテル、見える?今、流れたのが流れ星。願い事をすると叶えてくれるんだよ」


 「あ、いた!ほら、こっちだよ」

 「お兄ちゃん、行ってらっしゃい。友達が待っているんでしょ?私のことはいいから」


 心配性のお兄ちゃんが大丈夫なように笑って言う。


 「それなら......。行って来るね」

 「行ってらっしゃい」


 暗闇の中お兄ちゃんは私を置いて友達のところに行った。

 羨ましくないなんて言ったら嘘になる。

 元気な体でお兄ちゃんみたいに動き回りたい。


 コトンッ


 「これは......?」


 いつの間にか足元には澄んだ石がはめ込まれたネックレスが落ちていた。


 「きれいね......」


 指先が触れると橄欖石のような石が放つ輝きは消えて、黒く濁り始めた時にはもう私に意識がなかった。

 僅かに光る石には、一つの流れ星が映っていた。