「ちょっとなんなのよこれ!」
まだ寝ていた彩葉は異母妹の春華の大きな声に飛び跳ねそうになった。
正直に言うと、最悪な目覚めである。
彩葉が急いで彼女の元に行くやいなや、突き飛ばされてうずくまった。
「これ、洗ってっていったわよね?」
「申し訳ありま____っ」
また、足でけられ、言葉が途切れる。
「あ〜もうほんっと、使えないわ。お母様!」
けられたお腹の痛みをこらえながら顔を上げれば、継母の秋穂がうずくまる彩葉を冷たい目で見下ろしていた。
秋穂はあざ笑うように彩葉を一瞥し、春華に目を向けた。
「春華、これはどういうことなの?朝から騒がしいわ。起きてしまったじゃない」
「聞いて下さい、お母様!おねえさまが私が洗ってと言っておいたものを洗わなかったのですわ。これは、悪いことじゃなくて?」
秋穂はこうなることがわかっていたかのようにこちらを見た。
「本当に使えないわよね。無能なりになにか努力をしようとか思わないのかしら。」