彩葉としても今後の参考になるのでしっかりと忠告を心に留めておく。
「そして、ここが最後です。彩葉さまの棟になります」
「ええっ!?」
あまりの広さに驚きの声をあげてしまう。部屋でさえも、広いと思ったのに、宮になるとどうなってしまうのだろうか。
「こ、こんな大きな場所、使っても良いのですか」
「もちろんです。彩葉さまの棟ですから」
広さにおののきつつも、中に入るときれいに磨き上げられているのがわかった。
柱のから、廊下まで隅々ときれいになっている。相当、優秀な侍女が磨いたようだ。
長年、秋穂の命で屋敷を掃除していた彩葉でさえ、こうは磨けないのではないだろうか。
「きれい......ぴかぴかです」
「よかったです。私がきれいにしたので」
急に茉央が少し照れたようにはにかむのを見て驚く。
冷静でいい意味で表情をくずさない侍女だと思っていたけれど、照れる一面もあるらしい。