私にとってかなたは、ずっと私の隣にいる当たり前の存在だった。友達でも家族でも恋人でもない。

それがどんな関係かと聞かれたら分からない。
けれど、私にとってとても大切な人。

かなたは少し不思議な人だった。
常に同じ人とずっと繋がりを持つということをせず、見る度に違う友人と触れ合っていた。
そのため、私から見れば交友関係は広いが浅い。というふうに見えた。

それはただただ広く浅い交友関係が好みなだけなのか、はたまたなにか理由があるのか。
少し気になりはしたが、わざわざ聞くことはしなかった。
だって、友人関係に口を出す権利は私にないから。
それを決めるのは、かなただから。
ただただかなたの性格としか思っていなかった。

かなたは幼少期から友達も多く、活発だった為色んな友人と遊んでいた。
しかし、中学に入った頃からなんとなく印象が変わった。

確かに友人は多いようだが、深入りをせず少し遠くから友人たちを見て一緒につるんでいるように見えた。

これは私が幼少期から常に周りの目を気にして生きてきたから分かることなのか、それともずっと一緒に過ごしてきたかなただからこそ分かったことなのかはわからない。

だが、そんな風に友人と過ごしているかなたは充実しているようで、どこか穴が空いているように見えていた。