抜け出したくても抜け出せない底なし沼。
その時初めて、私は
「自分は病気で、周りとは大きく違う。」
と改めて実感した。

その実感と共に、私は進級することが出来ないかもしれないという現実も突きつけられた。

そのとき私は、転校というものを決心した。
もちろん今の学校を辞めることはとても苦しかった。
けれど、自分の状態を客観的にみたとしても、お世辞にも健康とは言えないし学校に通えているとも言えないような状態だった。

そんな状態でここにいることは、無理だと悟った。
だから、転校を選んだ。

私の1番の願いはみんなと卒業をすることだった。
留年せずに、同年代の子達と、同じ年齢で卒業をする。
病気を持っていて、いくら周りと違ったとしても、そこだけは譲れなかった。
どうしても、卒業というものまで周りから離れることは嫌だと切に思っていた。

だから、私はみんなと卒業をするという1番の願いを叶えるために転校を決意し、両親に話をした。

もちろん、両親は戸惑って反対した。
まだその結論を出すのには早い。もう少し待ってみてもいいんじゃないか。
そう言われた。

だが、私の心は揺るがなかった。
もちろん転校したいという気持ちは嘘だ。
転校したいと願っている訳では無い。あくまで1番の願いを手放さないために選んだ手段の1つだった。

だから、両親に反対されても自分で決めた意思を貫く自信が付くまで話さなかった。

その決心が付き、両親に話をしたら案の定反対されてしまった。
けれど、私が何故転校を選んだのか、転校してどうしたいのかを自分なりに必死に伝えたところ、理解し了承してくれた。

正直、本当に申し訳ないと思っている。
期待を裏切ってしまったと、後悔している。
でもそれと同時に、私の決断を両親なりに悩み、苦しみながらも許してくれて尚且つ背中を押してくれたことに対して、感謝の気持ちで溢れた。

私は、本当に良い親を持ったと、そのとき初めて実感した。

それと同時に、私は自分に期待しない人生を送るようになった。
期待してしまったら、出来なかったときにまた心が壊れてしまうから。
また、周りを裏切ってしまうから。