「ありがとう。今日のかなたは沢山褒めてくれるね。」

少し恥ずかしい気持ちを誤魔化すようにそう言った。

「だって、お互いあんなに気持ちさらけ出して、もう隠すことなんてないだろ。
実際本当に凄いなって思ったから褒めたんだよ。
俺はこれから思ったことをそのままちゃんと伝えるって決めたから。」

「なんか…そこまできっぱりいわれると普通に恥ずかしいかも。もちろん嬉しいんだけど、やっぱりそんなはっきり言われることないから…むず痒い。」

そう言って笑うと、かなたも釣られて笑った。

「良いと思った所は、そのまま伝えるって決めたから、俺は素直にそれを伝える。だから褒められることにも慣れていけよな。」

「慣れるのも頑張らないとなぁ。」

そんなしょうもない話をして笑いながら帰った帰り道は、今までで1番の帰り道といってもいいぐらい気持ちのいいものだった。

「ごめんな、家着くの遅くなっちゃって。」

「ううん、私からしたら沢山話せて本当に良かったよ。花火もすっごく楽しかったし。」

「たしかに、今日の紫桜は本当に楽しそうに笑ってた。
何回も言う様だけど。
みほとも前よりちゃんと話せてたんじゃないか?」

かなたに言われて気が付いた。

確かに私、今日みほちゃんとちゃんと話せてた…。
今までは、どこか少し遠慮しながら話してたけど、遠慮しないで素直に話せてた。

「たしかに、言われたらそうかも…。今日は、途中から素直にちゃんと話せてた…!」

「ほら、ちゃんとお前は前向いて少しずつでも進んでるんだよ。だから大丈夫。」

言葉が全て優しい、すっと心の中に入ってくる。

「じゃあ、今日はもう帰るよ。また話そう。
お前が今悩んでることも、一緒に悩もう。」

「ありがとう。気をつけて帰ってね。」

そう別れの言葉といつかの約束を交し、お互い家へ帰った。
お互いとはいえ、私は家の前まで送ってもらったのでもう玄関を潜るだけだ。

一息ついて、玄関のドアを開けた。

「ただいま!」

そのただいまは、きっと私にとっても、私を家で待ってくれていた両親にとっても特別な声をしていただろう。