「ねぇ、聞いてもいい?」

「ん、どうした?」

2人で再び、ゆっくりと歩き出す中で私はかなたに話を切り出した。

「かなたは進路とか、決まってるの?」

「んー、俺はなんとなくだけど決まってるかな。
決めたわけじゃないけど、やりたいなって思える仕事を見つけたから、それになれるように進学しようと思ってる。」

「そっかぁ…。かなたは、もう決まってるんだね、」

「その言い方だと、紫桜はまだ決まってないんだな。
焦らなくていと思うよ。まだ全然時間あるし、お前が1番大切にしなきゃいけないのは紫桜の体と心なんだから。無理に急いで決めなくても大丈夫だよ。
心配になるのは分かるけど、これは無責任な大丈夫じゃなくて、本気の大丈夫。
何かあったら俺も一緒に考えるから。」

かなたの言葉はどれも乾いていた私の心にどんどんと染みていった。
まるで、私の欲しい言葉を知っているかのように言葉を紡いでいく。

「…うん、ありがとう。確かに不安だらけだけど、かなたが一緒なら大丈夫だよね。きっと。」

自分に言い聞かせるようにそう言った。
その言葉を聞き、かなたは言葉を続けた。

「紫桜は、したいことあるだろ?小さいときから看護師になりたいって言ってたけど、変わっちゃったの?」

「いや、変わったというか…。今、私は周りに助けて貰ってやっと生きることが出来ている状態で。
そんな状態で、人を助ける職業に就くことが出来るのかなって、不安になって気分も落ちちゃってて…。
別に諦めたわけじゃないけど、自分のことを客観的に見たとしても今の私じゃ看護師にはなれないなって。
精神的にも、体力的にも。」

私は、自分で思っていたことを初めてかなたに話した。もう、隠し事はなしって決めたから。