その言葉で、かなたは話を終わりにした。

話が終わったあと、2人は涙でぐちゃぐちゃだった。
私が泣きじゃくっている間、かなたは自分の涙を気にもせずずっと私の背中をさすっていてくれた。
小さい時、私が泣いていた時のように。

ずっと、1人だと思っていた。
この孤独は誰にも分からない、分かってもらえないものだと思って心に蓋をして生きてきた。
けれど、違った。
本当は、ずっと1人なんかじゃなかった。
かなたが居てくれた。
それはただの幼馴染としてでは無く、同じ感情、苦しみを味わった人間として傍にいてくれた。
かなただって、誰にも言えず1人で抱え込んでさぞ辛かっただろう。私の心配ばかりして、自分のことなんてきっと随分疎かにしてここまで来たのだろう。
そんなことを思えば、余計に溢れて止まらなかった。
涙も、かなたへの思いも。

「…かなた。沢山、沢山話してくれてありがとう。
本当のかなたのことを話してくれたことももちろん嬉しい。でも、何より私は…そんなに、私のことを考えてくれていたことが嬉しかったよ。
かなただって辛かったはずなのに、その辛い経験を私のために使おうとしてくれたことが嬉しい。
だから…私の方がきっと、荷物を持ってもらうことが多いかもしれない。だけど、私も、持てる荷物は持ってあげるから。だから…2人で、一緒に頑張ろう?」

かなたの優しい暖かい手で収まっていた涙がまたじんわりと出てきた。
でも、その涙は苦しさや痛さではなくて、むしろ安心して出た暖かい涙だった。
その言葉を聞いて、かなたも目を潤ませながら、静かに頷いた。

その後は、お互いが落ち着くまで静かにお互いの背中をさすりあっていた。傍から見たら抱き合っているカップルに見えていたかもしれない。
けれど、そんなの2人ともどうでも良くて、ただただお互いの心を癒しあって、分かりあって、優しく解し合う時間が流れていった。