「俺さ、小さい時から友達作りが上手かったのはお前もよく知っていることだろ?それは中学に入っても変わらなくて、すぐ色んな友達ができた。
けど、中学ってさ、今までよりも色んな人が居る場所で。だからすぐに色んな友達が出来た。今までよりも沢山の考えを持つ人間がいるから。
でも、沢山出来たからこそ、俺の本当の居場所って何処だろうって思うことが増えていったんだ。」

話していくうちに、かなたの表情はどんどんと雲がかかっていった。

「沢山友達を作ったところで、本当の友達って呼べる人っているのかなって思い始めて。
俺には仲良くしてくれる友達がいる。けど、俺は本当の居場所が欲しくて、色んな人と沢山関わった。
でも、本当の友達を見つけることは出来なくて。でも、そうやって探してる間に、中学をそのまま卒業した。
その後高校に入って同じようにとりあえず友達を作った。けど、上手くいかなかった。
高校は、全然違っていたんだ。
高校は中学とは違って、ある程度同じような人間が集まるだろ?中学とは違って自分で選んで行く場所だから。
俺は、それについていけなかった。
なんとなく友達になって、輪の中に入っていたけど、本当は入れていないような気がしてならなかった。輪の中には入っているんだろうけど、なんとなく外にいるような、そんな感覚。
その時に、
あ、俺って本当は友達居ないんだ。って気づいてさ。
じゃあ、今までの奴らは何なんだろう、友達ごっこしてただけなのかなって思って、皆の言葉が全部嘘みたいに聞こえてきた。
そこからは、なんとなく友達になった奴らと話すことを辞めた。段々、最初に仲良くなった奴らから離れていった。
俺から離れて行っても、あいつらは俺の事を引き止めてくれるのか、気になって。
でも、あいつらは俺が居なくなっても何事も無かったように過ごしていた。
それを見て、もっと誰も信じられなくなった。
その後、俺に声をかけてくれるやつもいたけど、やっぱりどこか信じられなくて、そんな俺を見て皆消えていった。
それで、最終的に、俺は1人になった。」

それが、かなたが初めて話したかなたの本当の姿だった。