正直、かなたがそこまで私のことを心配してくれているなんて思っていなかった。
かなたはいつもそばにいてくれた。
病気のことを伝えた時でさえ、驚いたり動揺したりせず、私を不安にさせないよう、応援している。とだけ言ってくれた。
たまに家まで来て、顔色を見に来てくれることだって、心配してくれているからだと知っている。
それは、本当に私の心の支えだった。

でも、一つだけ不思議だった。

「…かなたは、どうして私にそこまでしてくれるの…?私たちは幼馴染で、ずっと一緒にいて…。でも言ってしまえばそれまでの関係で。
なのに、それなのにどうしてかなたは、そこまで心配してくれて、そこまでしてくれるの…?」

本心を語ってくれたかなたを前にし、私は涙を堪えることをしなかった。
とめどなく溢れて頬を伝う涙を一滴も拭うことなく、かなたにずっと思っていた疑問を問いた。


「紫桜はさ、さっき俺のこと、充実したよく見る高校生活を送ってて、高校生活を満喫してそうって言ってたけど、それは紫桜の思い込みだよ。
俺は、全然学校で青春っぽい事をしてないし、ありがちな満喫している高校生活は送れてないんだ。」

「…え?」

それは、とめどなく溢れて止まらなかった涙が止まった瞬間だった。