「よし、じゃあ俺達も帰るか〜。」

「そうだね、ゆっくり帰ろ。かなたはしゃいだから疲れてるでしょ。」

「お前俺の事バカにしすぎ。お前の何倍も体力あるからあんなんじゃ全然疲れませんー。」

「嘘つけ。帰り際座ってて立ち上がる時歩くのめんどくせぇなって顔してたくせに。」

「うわ、何お前そんなとこ見てたのかよ…。バレてないと思ってたのに。ちょっとだけ疲れただけ!」

「やっぱり。でもかなためちゃくちゃ楽しんでくれてて良かった〜。なんかこっちまで元気もらっちゃったや、今日は誘ってくてありがとう、かなた。」

「それはこっちのセリフだよ。」

急にかなたが優しい声になり、思わずかなたの方を見る。

「紫桜が、今日この時間のことを楽しかったって声を震わせながら伝えてくれたこと、俺すげぇ嬉しかった。
正直、半分無理やりお前のこと連れ出して俺らのやりたいことに付き合わせてたんじゃないかって思ってて。でも、そうじゃなくて。俺とみほがバカ騒ぎしてるのを見て笑っている紫桜の姿見て、なんか俺、すげぇ安心したんだよ。安心したし、もっとお前の心からの笑顔を見たいって思った。もちろんそれは、変な意味じゃなくて…。なんて言うか、俺はお前が苦しい、しんどいって気持ちを抱えながら生きてる所を見てきたからさ。お前の気持ちは分かってあげられないけど、力になれてるんだって思えて、すごい嬉しかった。だから、俺の方こそありがとう。」

「かなた…。」

何も、いえなかった。言葉が出なかった。