2人は、私の気持ちを聞いて、少し黙っていた。
ほんの数分のはずだが、私にとっては長い長い時間に感じ、変なことを言ってしまった、困らせてしまった、どうしよう。と頭の中が忙しなくぐるぐると回っていた。

なんとか話題を切り替えなくてはと思い、とりあえず言葉を発しようとしたそのとき、かなたが口を開いた。

「そっか!お前が素直にそうやって言葉にして伝えてくて嬉しい。ありがとう、紫桜。
俺はお前がそう思ってるって知れただけで今日はもう満足だよ。」

そう言ってかなたはくしゃっと嬉しそうに笑い、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

「ちょ、やめてよ。恥ずかしいし髪ぐちゃぐちゃになるでしょ…。」

きちんと話を聞いてくれて、言葉を返して嬉しい半面少し恥ずかしかった。

今日は、2人に振り回されてばっかりだな…。

きっと恥ずかしいなんて小さなプライドもお見通しなのだろう。

かなたの言葉に続いて、みほも言葉を紡いだ。

「うん。私も紫桜ちゃんの言葉が聞けて嬉しかったよ。私は、かなたよりも紫桜ちゃんのこと全然知らない。それでも、今日紫桜ちゃんがそうやって、私たちと今日遊んだことをすごく楽しいって思ってくれたことが何より嬉しいよ。かなたと同じで、紫桜ちゃんが満足したなら私も満足!」

そう言って、満足気ににこにこと、もう日が暮れて見えないはずの太陽がそこで笑っていた。