次はどの花火にする?
これとかいいんじゃない?
でもこっちの色も気になるよね。

なんて、他愛のない話を全力で楽しんで笑いながら話していれば、本当に時間はあっという間に溶けていった。

5人で使うはずだった沢山の花火も、気が付けばほとんど無くなってしまった。

「あーあ、ぱーっと楽しんでたらもうこれしか残ってないや。」

みほが少し悲しそうに残念な声を出す。

「でもさ、俺らめっちゃ青春してなかった?海辺で全力ではしゃいで花火とか、めちゃくちゃ青春で最高に楽しかった!」

名残惜しそうなみほとは別で、かなたは嬉しそうに目を輝かせながらそう言った。

たしかに、こうやって海辺で手持ち花火を全力で楽しむ機会なんて人生で経験することは滅多にないだろう。
それを経験出来たのは、提案者のかなた、そして一緒にやってくれたみほがいたからだった。

そう考えると、私って思ってるよりも人に恵まれてるのかな。

2人の優しさ、明るさに今日は心底驚いた。
明らかに元気の無い私に対して、気にしない振りをして自然に話しかけてくれて、自然と笑顔にしてくれた。

そんな事をしてくれる、いや、しようとしてもできる人なんてこの世にほとんど存在しないだろう。
それを2人は意図も簡単にやってのけたのだ。
全く、本当に恐ろしい人達だ。いい意味で。