引き出しにしまってあった柚葉からの手紙を読んで、僕は号泣した。

 柚葉はもういない。
 いなくなってしまった。

 わかってたんだ。

 もう生きられないことがわかってて、それでも、産むと決めていたんだ。

 僕は手紙をしまって、生まれたばかりの小さな体を抱き上げた。

 物心ついた頃には母さんがいなくて、寂しい思いをした。

 この子にも同じ思いをさせてしまうと思うと、胸が痛んだ。


 でも、


 ずっとそばにいる。

 365日、いつでも。

 離れていても。

 できるだけ寂しい思いをさせないように。

 そして、君がいた世界を、この子にも好きになってもらえるように。


 これからたくさんの美しいものを、一緒に見よう。