死ぬまでにしたいことは、三つあった。
一つ目は、空を飛ぶこと。
一つ目は、笹ヶ瀬くんが叶えてくれた。
飛行機に乗ったり、翼が生えて飛んだわけじゃない。
でも、あの大きな望遠鏡で星を見たとき、飛んでる、と思った。
見たこともない広い星空を、空よりもっと遠くにある宇宙を、翼がはえたみたいに自由に飛んでいた。
飛行機なんて乗らなくても、外国に行かなくても、空は飛べたんだ。
二つ目は、七菜に謝って、仲直りをすること。
半分は叶って、半分は叶わなかった。
仲直りどころか、もう会いたくないと言われてしまった。
でも、気持ちは伝えた。
七菜が学校に来なくなって初めて、自分の気持ちをちゃんと言葉にして伝えることができた。
七菜は新しい一歩を踏み出そうとしていた。
もう会えなくても、七菜の勇気を応援したいと思った。
三つ目は、叶わない願いだ。
これは絶対、死ぬまで誰にも言わないと決めている。
どんなに願ったって叶えられないことだから。
だから誰にも教えない。
家族にも、笹ヶ瀬くんにも。
これは私の中の、私だけの秘密だ。