「……どうして見捨てないの」
「は?」
「どうして正美ちゃんはわたしを見捨てないの」
「おまえなに言ってるの?」
「だって正美ちゃんにはなんのメリットもない」
正美ちゃんとわたしはまるっきり違う。
いつもわたしがぺらぺらぺらぺらしゃべって、だらだらだらだら甘えてるだけで、正美ちゃんがわたしに頼ったりなにかを求めることは一度だってなかった。
わたしと居て、正美ちゃんにメリットはあるだろうか。
自分にたいした価値がないことはじゅうぶんわかってる。わかってるから、先輩を欺いた。
あのさ、と素っ気ない口調で正美ちゃんが切り出す。
「なかなかおもしろいよ、おまえと居るの。おまえはおまえと居られないからわからないだろうけど、そんなに悪くもない」
「正美ちゃん……」
「戻ってくるよ。あいつがでっちゃんに似てるなら、帰巣本能でおまえのところに戻ってくるよ。あ、室内飼いだと帰巣本能はないか」
「ちょっと正美ちゃん!」
つっこみを入れると正美ちゃんがいつも通り鼻で笑ったので、わたしも笑った。一瞬だけ、先輩が戻ってきてくれるんじゃないかと思った。
「は?」
「どうして正美ちゃんはわたしを見捨てないの」
「おまえなに言ってるの?」
「だって正美ちゃんにはなんのメリットもない」
正美ちゃんとわたしはまるっきり違う。
いつもわたしがぺらぺらぺらぺらしゃべって、だらだらだらだら甘えてるだけで、正美ちゃんがわたしに頼ったりなにかを求めることは一度だってなかった。
わたしと居て、正美ちゃんにメリットはあるだろうか。
自分にたいした価値がないことはじゅうぶんわかってる。わかってるから、先輩を欺いた。
あのさ、と素っ気ない口調で正美ちゃんが切り出す。
「なかなかおもしろいよ、おまえと居るの。おまえはおまえと居られないからわからないだろうけど、そんなに悪くもない」
「正美ちゃん……」
「戻ってくるよ。あいつがでっちゃんに似てるなら、帰巣本能でおまえのところに戻ってくるよ。あ、室内飼いだと帰巣本能はないか」
「ちょっと正美ちゃん!」
つっこみを入れると正美ちゃんがいつも通り鼻で笑ったので、わたしも笑った。一瞬だけ、先輩が戻ってきてくれるんじゃないかと思った。