「えっ、まじ? おれもその辺に住んでた! なんか合いそうだな、おれたち」

 先輩は犬歯を見せつけるようにニイと笑って、目を細めた。

 反則でしょう、それは。

 じたばたしてしまいそうな衝動を誤魔化したくて、わたしは大きく笑ってフライドポテトをつまみ、ジンジャーエールで流し込んだ。油脂と炭酸でもみくちゃになった胃が、ぐぐぐぐぐ、と多幸感に押し上げられる。なんて気持ちのいい苦しさ。

「おれも服がすごく好きで。バイト代、ほとんど服で消えてんの。服屋でバイトしてそのバイト代で店の服買うって、意味わかんねえよな」

「お店に貢献しまくってますね」

「だよな。おれほど貢献してる奴いないよな」

 ふふふふふ。笑いながらTシャツの下で火照っていく肌を感じていると、ふいに先輩の友達が先輩を肘で小突いた。

「おいおい、おまえら。飲み会だってのに、なにずっとふたりでしゃべってんだよ。カップルコーデって言われたからって、調子のってんなよな」

「のってねえよ」

 先輩はうれしそうに友達を小突き返した。